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奈緒さんはリアルタイム

 ジャック読者の皆様へ、長らくのご愛読有難うございなした。

第16部をもって物語は完結します。しかし、完結の設定はまだしばらく先にのばします。綾瀬がまだ、私に何かを求めているような気がするからです。

 しかし、自分が描けるのはとりあえずはここまでです。投稿後、彼女に報告

に行くつもりです。そして、綾瀬と奈緒さんの為にSTAR DUSTを弾きたいと思います。それが、彼女にしてあげられる最後の事だから。


        家に帰ろう

     (ジャック)を完結させる。それが綾瀬さんの願いであるのだ。

    完全に闇が全てを覆う前に墓地を出なければならない。狭くて急勾配の墓地の

    通路には勿論、照明はない。来た時同様尻餅をつきながら石段を降りていった。

    途中、腕を滑らせてしまい強かに石段に頭部を打ち付け今度は額からも出血し

    たが、まだ明るさ残るうちに墓地を後にする事ができた。

     暑さと痛みで意識が朦朧となる。(痛みを感じる事が出来るのは生きてる者

    の特権)綾瀬の言葉を思い出す。彼女はもうこの暑さも痛みさえも感じる事が

    できない。だから彼女の分まで感じていこう。痛みも苦しみも、悲しみも、命

    ある限り、それが自分の使命なのだ。

    

     急勾配の狭い一本道を墓地から見下ろすと来る時に見たレッカー車がまだ停

    まっていた。作業員が牽引の準備をしているようだ。

     麓のコンビニの交差点を一台の小型のワンボックスカーが左折してこちらに

    向かって上がって来てレッカー車の手前で停まった。無理に通ろうとすると

    脱輪しかねない幅だ。自分なら先を行くことを断念するだろう。しかしワンボ

    ックスカーは動き出した。

    「危ないなー、脱輪するんとちゃうか。・・・あれ・・・あの車、うちの車

     ちゃうのん?・・・まさか・キーは自分が・・・あ・・・思い出した。キー

     は助手席にほおったままだった。・・・という事は、あの車はひょっとして」

    そう思った時だった。

    「ガシャッ!」

    という嫌な音が鳴り前輪が脱輪した。続いて

    「ガシャッ!」

    ・・・と後輪も脱輪し車は右に大きく傾いた。そのままくるりと回転しながら

    道路脇の畑にサイコロの様に転がって堕ちていった。ほとんど止まった状態で

    堕ちたので真横に転がる感じだった。

    「ガシャン・・・ガシャン!」

    と大袈裟な音がして土煙があがり、車はドアも屋根も凹んだ。

    「あ~あーへったくそやなー・・なんで右に堕ちるかなー」

    レッカー車の作業員が大声でドライバーに呼びかける。

    「すぐに車から離れて下さい・・ガソリンに引火する事もあります」

    慌てて車外に出てきたのは、奈緒さんだった。続いて直人と美香も後部座席か

    ら出てきた。

    「奈緒さん!」

    「文夫君!」

    「お父さん!」

    奈緒さんと子供達が血まみれ文夫に気付き走りより繁々と見た

    「大丈夫?」

    「そっちこそ!」

    「文夫君、車のキー、助手席に置いたままだったよ!・・まあ、そのおかげで

     みんなここまで来れたけど」

    「そのおかげで車こんなになったけどね」

    膨れ顔になり口を尖らせて奈緒美は文夫の左足を軽く爪先で蹴った。

    「心配して来たのに!」

    「あ・・あ~---」

    悶絶する文夫を見て

    「文夫君、サンダルでここまで来たの?・・・バッカじゃないの!・・・あ・・   

     心・・折れた?」

    「ほ・・骨折れてんの!」

    「・・え・・マジで・・ごめん」


    奈緒さんは文夫をマジマジと見た。

    「どう・・・だったの?」

    「・・・あ・・綾瀬さんに・・会った」

    「・・そうなの」

    奈緒さんは驚かなかった。

    「それくらいの事があってもおかしくないよ。文夫君、来るべくしてここに来た

     のよ」

    「そう・・か!・・・奈緒さんジャック完結させるわ。綾瀬さんと約束

     したから」

    「そう・・文夫君が決めたのなら、そうすべきよ」

    「(Again)も(ジャック)も綾瀬さんに上手く誘導されて投稿してたと思う

      けど最後はやっぱり僕が完結させんとあかん」

    「そうよ、綾瀬さんの力がいろんなところにはたらいていたのよ。きっと今

     車が堕ちたのも」

    「いや・・・・それは単純に奈緒さんの運転・・・・・そ・・・・そういえば

     ハンドルのきれ方が異常だったような」

    「そうなのよ・・・急にハンドルが利かなくなったのよ!」

     それは脱輪してからの事でしょ!・・・でも奈緒さん君は正しい・・・    

     どんな時も・・正しい

  

     幸い車が堕ちたのは畑の駐車スペースのような所で作物に被害は無かった

     作業員が親切にも、ざっと点検してくれた。

    「ガソリン漏れは無いようですし、エンジンがかかれば乗って帰れるでしょう」


    車はAT車なので左足の骨折は問題ない。文夫の運転で帰ることにした。

    奈緒さんは極度のペーパードライバーなのだ。ドシャ降りの雨の中、自転車で

    500m離れたスーパーまで買い物にいくような人なのだ。

 

    助手席に乗り込んだ直人が心配そうに文夫を覗き込んだ

    「お父さん・・・大丈夫?」

    「大丈夫やって!・・ちょっと骨折しただけや」

    そう返したが直人の表情は晴れなかった


     走ると車はやはり時々(ガリガリッ)と異音を鳴らせたがなんとか帰れそう

    だった。

    「奈緒さんネックレスここにあったんしってたん?」

    「知ってたよ・・ネックレスが二つあることも、ヘソクリの場所も大体の金額

     もSheの場所も・・・あなたの行動から全て私は読み取れるのよ」

    「ち・・・ちなみにどういう行動からそれを?」

    「誰が教えるもんか!・・・バッカじゃないの・・あ・・・・」

    「もう慣れました・・・知ってて知らん振りしてたんや」

    「そうよ」

    「知っているのに知らん振りー何~故・何~故なのー・・やな」

    コンビニの所まで降りてきた。駐車場げ掃除していた店員に声をかける

    「すいませーん・家族が迎えに来てくれたのでこのまま帰ります

      有難うございました。」

    「????は・・・あ・・」

    あちこち凹んで泥だらけの車から額にも出血の跡を残した文夫がにこやかに

    挨拶するので、店員は困惑しているようだった。

    「なあ・・・お父さん・・さっきの(知っているのにー)て何?」

    後部座席から美香が聞いてきた。   

    「あ・・・奈緒さん・・・ってリアルタイムやんな・・お母さんに聞いたら

     分かる!」

    「あーーーー何それ・・・腹立つ!」

    奈緒さんは文夫の頭をぺんぺん叩いた

    「わっ・・・やめてよー・頭も怪我してるって」

    「死ねばいい!」

    (ガリッ・・ガリッ)と異音を鳴らしながら賑やかな家族の乗ったワンボッ

    クスカーはコンビニを後にした。


    ずっと暗い表情をしていた直人が信号待ちで話しかけてきた。

    「お父さん・・ほんまに死んだらいやや!」

    「お父さんはまだ死なへんって!」

    「ほんまに!・・・・ほんだら・・すぐ手術して・・仮性包茎の手術して!

     せやんと、お父さん、チンチン腐って死んでしまうよ!!・・・わーーーーー」

    「・・・・・・・・・」

  











       













    






















































   









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