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序章2 『重鎮会議にようこそ』

「さてアホ面?」

 

「だあれがアホ面じゃい」

 

「アホ面はアホ面よ。それより、実の親が危篤だと言うのによくもこう、のうのうとやってこれるわね。しかも一番最後だなんて……あなたほんとにそれで次期当主なんて狙ってるのかしら。冗談でしょう?」


 ラティアはいつも以上に饒舌で、それに毒舌な口でナツキを嘲る。

 

「――そこのメイドさん……少し、静かにしてくれないか」


 物静かそうな眼鏡のじいさんがラティアを不機嫌そうに見つめ、そう言った。


「それは出来ないわね。大体、こんな状況になってもまだ次の当主が決まってないとか、おかしいんじゃないのかしら。 そもそもあのポンコツ息子が候補ってのも気に食わないのよ」


 と、ナツキを指差し、ラティアが下僕を見るような目で毒を吐く。

 

「それはわしも同意見だがな。だからといって、よそのメイドのお主がそれをどうこう言える立場でもないだろう。少しは弁えなさい」

 

「まあまあ待ってくれよ。うちのメイドなんだよそいつぁ。いやいやヴィルバイドさんすまねぇな。ただまあ、私のメイドは少々頭が足りなくてなぁ。それに空気も読めんらしい。その、許してやってくれよ」


 主のユティスが仲介に入るが止まりそうにない。それどころか反抗しようとしたので、流石に自己防衛でユティスが抑え込む。

 

「おいラティア、メイドの分際で私に恥をかかせるなよ。なんのためにお前を当主候補にしたのか、よぉく考えろよ」


「っ……申し訳ありませんユティス様」


 ラティアは渋々頭を下げる。

 部屋の顔ぶれを考えると、ラティアのプライドが許さないのだろう。ラティアは下唇を強く噛んでいた。


「あら、下劣なメイドが深々と。ふふっ……滑稽ねぇ」


 金髪に真っ赤な華々しいドレスの、いかにもブルジョワな見た目をしたベヨネッタが嘲笑う。

  

 さて、ここまでナツキの目の前で繰り広げられている、この身内だけの身内による身内のための罵り合い。そして、この部屋の空気感。今すぐにでも飛び出したいくらいに最悪な雰囲気だ。それはもう、この際叫び狂って扉を突き破ってやろうかと思うくらいに。

 ある程度の予想はしていたが、一言で言うと限界。ナツキとアヤセは、自分史上最悪な寝起きに苛立ちを隠せずにいた。

 ナツキとアヤセは呆れたように互いを見合うと当然のようにため息を漏らした――

 

「皆様お集まりになられましたか。それでは当家の執事であるこのわたくし、ランドルフが円滑に進行させていただきます」


 その瞬間部屋の空気がどっと重くなった。


 

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