表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺人既遂  作者: 花筏糸垂
3/4

殺人既遂 第二話

HRの時間になった。

神賦先生が教室に入ってくる。

アサヒの席だけは、相も変わらず椅子が仕舞われた侭である。

それ以外は、普通だ、当たり前だ。

だと言うのに、何かが、いつもと違う。

そう感じられて仕方が無い。

神賦先生も、いつもと変わらない顔の筈だ・・・・・・

それでも、何故か、いつも以上に、いや、見た事無いほど、

険しさという物が感じられてならない。

他の生徒は気にしていない。

気にしている素振りも、いやそもそも、氣附いた素振りさえ見えない。

気にしすぎなだけなのか・・・・・・?

ライトの方を片目に見る。

目線が合った。

ライトも、何か、感じ取っているのだろうか・・・・・・?

普段通り、HRを始める朝礼が行われた。

其れが終わると神賦先生は神妙な面持ちで話し始める。

「見ての通り今日アサヒが来ていない。其れについて今日の一限目に、体育館で全校集会が開かれることになった」

教室が騒めく。それはそうだろう。

生徒が一人来ていないだけで、全校集会が開かれるなど、只事では無い。

騒めくとは言っても、反応は其々だ。

アサヒの身を按ずる者、何があるのかと恐怖する者、授業が潰れたと嬉しむ者、普段とは異なる様子に興味を示す者、様々だ。

神賦先生が話を続ける。

「其の他には特に連絡事項は無い。全校集会に遅れない様に」

其れだけ言うと、神賦先生はHRを終える礼を促す。

其れが終わると、そそくさと教室から出て行ってしまった。

神賦先生にしては珍しい・・・・・・

それ程何かが起きていると言う事なのだろうか・・・・・・?

アサヒに、何も無ければいいのだが。

ライトが席に近付いて来る。

「アサヒの身になんかあったってことだよな・・・・・・?」

「そうだよね・・・・・・態々アサヒの事を訊かれたって事は、行方不明とか・・・・・・?」

「でも行方不明で全校集会まで開くか・・・・・・?」

「さぁ・・・・・・?経験なんて有る訳も無いし・・・・・・」

「まぁそれもそうだよな・・・・・・」

そう一言二言交わし、体育館への移動を始める。

移動中に見る他クラスの生徒は、困惑している様子が見て取れる。

此れから始まる事への懐疑を抱きつつ、足早に移動する。


ーーーーーーーーー


程無くして、全生徒が体育館に蒐められた。

校長先生が演台に立ち、話を始める。

「今日、緊急でこの様な集会を開いたのは、我が校の生徒に、忌々しき、そして不幸な事件が発生したからです」

一同が騒めく。

この様に集会を開く程の事件とは、一体何なのか。自らの身は大丈夫なのかと、思案する声が聞こえる。

「静粛に!」

声が飛び交う生徒を、教頭先生が制す。

それを確認して、校長先生が続きを話し始める。

「名前は伏せます、が、今朝、この学校の生徒が死体となって発見されました」

状況の理解が出来無いという、最早断末魔と言える声を其の儘に、校長先生は続きを話す。

「死亡時刻は昨晩の深夜頃、死因は、刃物による刺殺と見られ、凶器は、」

一拍を挟み、その事実が伝えられる。

「付近に落ちていた、我が校が所有するカッターナイフであると見られています。

つまり、今此の場にいる、教師・生徒の中の誰かが、其の犯人である可能性が高いと推測が為されています」

体育館に様々な声が飛び交う。

其れが真実なのかと懐疑する声、自らに狂気の手が伸ばされないかと案ずる声、殺人犯と同じ場所には居られないとパニックに為る者。

決して已己巳己では無く、其々の反応には個性が出る。

其れが人間の面白い所でもあるが。

だが、僕はその事実に対して、あまり気にしていなかった。

いや、何も思わなかった。

同じ学校の生徒と言うだけで、他人なのだ。

そんなこと日頃常に何処かでは、起こっているじゃないか。

それに、凶器が見つかっているなら、普通は犯人も直ぐ分かるものではないのか?

死体も凶器も昨日今日で直ぐ見つかっているのだ、人を殺したいだけなら証拠は残さないが普通だろう。

なら自分にその被害が来る事は先ず無いのではないか?

そうやって、自分の無関心に言い訳を重ねていた所で、或る事を思い出す。

神賦先生は、HRの時間で、アサヒが居ない事についての集会と言った。

まさか・・・・・・死んだのは、アサヒ・・・・・・?

そうで無いと信じたいが、あの質問を思い返すと、

いやこの状況だと、そうとしか思えなかった。

でも・・・・・・アサヒが他殺されるなんて・・・・・・

あの男は、予言者か何かだったのか?

それとも、何か知っていた?

そこまで考えていると、ふと、

今迄に無かった疑問が浮かぶ。

生徒が、死体として発見されたんだぞ・・・・・・

もっと慌てるなり感情が溢れるなりしないのか・・・・・・?

何故先生達は、こんな、機械の様に事務をこなすだけみたいな・・・・・・?

お久しぶりです

花筏です

第一話とかなり時間が空いてしまいましたが、

ちゃんと書いています。

気まぐれではありますが、Youtubeにて、

これから茶番劇動画としても投稿していく予定です。

なにとぞよろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ