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おじさん異世界に行く!  作者: カネキ
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第 七 話 俺に任せろ!

 冒険者のビキニアーマー露出狂尻だしソニアと別れた俺とクレアは、引き続き街を目指して歩き出した。


 やっぱり、旅は楽しくいかないと!

 その点、俺は幸せ者だ。

 俺の隣には、綺麗で可愛い奥さんがいて、目の前には二足歩行の豚野郎。

「豚野郎?!」

 完全に油断しきっていた俺の目の前に豚の化け物が現れた!

 

「アキラ、下がってて。

 サクッとあのオークをやっつけてくるからね」

 何時ものようにクレアが俺に微笑んで剣に手をかけたが、ちょっと待て。

「奥さんにばかり働かせる訳にいかないだろ?

 ここは、俺に任せな」

 俺は、クレアにいってリュックから鉈を取り出す。

 その間、襲われないようにクレアにみていてもらって…… よし。


「アキラ、大丈夫なの?」

 クレアが物凄く心配そうな顔をしている。

 そんなに、俺って信用がないのかしら?

 心配無用。

「これから、この世界でやっていくなら、戦いは避けていけないだろ?

 自分の身くらい自分で守れるってとこをクレアに知ってもらいたいからな、任せろ!」

 俺は、鉈片手にクレアにウインクした。

 このオークっての、この前クレアが簡単に倒してたからな、雑魚キャラだろう。

 フフフ、俺も颯爽と倒して、クレアに良い恰好したい!


 いざ!


「おい、豚野郎! この俺が相手だ!」

 オークの前に雄々しく猛々しく立った俺は…… ちょっと待って。

 慌てて、クレアの所に戻る俺。


『ブヒ?』



「クレア、リュックちょっとみてて」

「うん、いいよ」

 こんなの担いだままじゃ、俺の身体能力が発揮できないだろうからな。

 この抜かりのなさ、まさに自分が末恐ろしいぜ。



「元気よく走って行ったけど、アキラったら、大丈夫かしら?」

 授業参観のお母さんの如くクレアはハラハラしていた。




「おう! 待たせたな!

 この俺がお前の相手だ、かかって来い!」

 鉈をオークに掲げ、カッコよく宣言した。


『なんだ、ゴブリンが生意気に俺様に喋りかけてきたブヒ』

「誰が、ゴブリンだ!

 ドッからどう見ても人間だろう!」

 失礼なオークめ、とんかつにしてやろうか!

 ぶっ殺し…… おっと、俺とした事が、こんな安い挑発に反応してしまうとは。

 戦いとは、冷静な者が勝つ。

 そういうもんだ。

 たぶん。

 知らないけど、そっちの方がカッコよさそうだからな。



「なんかアキラ…… 魔物と会話してる気がするけど???」

 クレアの耳には、オークがブヒブヒ言ってるようにしか聞こえないのだ。

 それなのにオークとアキラが会話しているように見えたのでクレアは疑問に思ったのだ。



『お前を食べると腹を壊しそうだけど、後ろの女は旨そうだブヒ』

「なんで、俺を食べるとお腹壊すんだよ?」

『だって、腐ってるからブヒ』

「誰が腐ってるだと! 失礼な! どっからどうみてもピチピチじゃねぇか!」

『ピチピチって……』

「隙ありぃぃぃいい!」

『いきなりズルいブヒ!』

 バカめ、会話しつつ警戒を解いたのだ俺は!

 自分の愚かさを呪いながら死にさらせぇ!


 


ガキンッ!


「いたぁい」

 手がじんじんする。

 なんだ、もう、固いな。

 俺は両手をブラブラさせて痛みを和らげようとし…… あれ? 俺の鉈は?


『汚い奴ブヒーー! 会話中に攻撃するなんて!』

「黙れ!

 ちょっと静かにしろよ! 俺の鉈ドコ!」

 鉈がどっかいって困ってるのに!

 ちょっとは人の事も考えるって考えが出来ないもんかね。

 せっかくホームセンターで奮発して良いのかったのに。

 ああ、もう…… 何処にいったんだよ……


 ん?


イラッ


「おい、お前さぁ、俺が困ってるように見えないか?」

『ブヒ?』

 なんだ、こいつイラつくな。


「ブヒじゃないよ。

 俺が必死で探してるんだからさ、手伝いましょうか? とかないわけ?

 ソレを、お前は、ボケーーっと、突っ立って。

 まあいい。

 ほら、ちょっと、お前も手伝え。

 ホームセンターでいい値段した、良い奴だからな、無くすわけにいかないんだよ」

『ブ、ブヒ……』



「なにしてるの?!」

 クレアが驚いた声をあげる。

 その先では、アキラとオークが四つん這いになって辺りをさぐっていた。



『見当たらないブヒ……』


「……ない」

 俺は、力なく立ち上がる。


「おい、もういいよ。

 見当たんない」

 まだ四つん這いになってるオークに声をかけてやった。


「18,150円したけど、ふう、18,000円でいいよ」

 にっこり俺はオークに言ってあげた。

 俺も鬼じゃない、端数は我慢するよ。


『ブ、ブヒ?』

 キョトンとした面で俺を見上げていやがる…… え?


「い、いや、弁償だよ、弁償」

 こいつ、惚ける気だろ?

 勘弁してくれよ!


『ブ、ブヒ? 弁償って? 意味が解らないブヒ』

「いや、違うだろ?

 お前にぶつかって、俺の鉈が、どっかいって無くしちゃったんだろ?

 お前のせいじゃん。

 だろ?

 そしたら、お前が保障するの当たり前じゃない?

 俺おかしい事言ってる?

 違わないだろ?」

『うわぁ、凄い因縁のつけかたブヒ!

 勝手に攻撃してきといて、こいつ被害者面ブヒ』

「うん、そんなのいいから、18,000円

 それが嫌なら、今すぐ同じ物買って来いよ!!」

『理不尽ブヒィィーー!!』



「ちょっとーー、そこの木に刺さってたわよ」

 鉈を手に、俺の元に来たクレアに呆れた感じで言われた。

「どこにあったの?」

「ほら、そこ」

 クレアが指差す木の幹に鉈が刺さった跡があった。

「あんなとこまで飛んでたのか」

「はい」

 クレアに鉈を手渡され俺は大事に胸に抱いた。

 1万超える刃物なんて買ったの初めてだったから、この鉈は俺のお気に入りなのだ。


『なんなのブヒ!』

 オークがなんだか怒ってた。


「ブヒブヒ煩いわね。

 街も近いし、サクッと殺して肉と素材を回収しましょう」

 クレアが剣を!

『ブ、ブヒィィィーーー!!』

 オークが恐怖で叫んだ。

 そりゃそうだ! 殺されそうなんだもん!

「ちょ、ちょっと待て!

 会話してたし、可哀想だから、殺すな!」

 慌てて俺は、クレアをとめた。

 もう、すぐ殺そうとして、ダメだよ、そんな考えは。


 ん?


「なんだよ?」

 クレアが驚いた表情で俺を見ている。

 なんだ、そんなに殺したいのか?


「ア、アキラ、あんたオークの喋ってる言葉が解るの?」

 はあ?

「いや、普通に会話できるだろ?」

「出来る訳ないでしょ! 魔物なのよ」

 そんなに怒鳴らなくても……


「おい、このクレアの言った通りなのか?」

『言った通りなのかと言われても人間の言葉は解らないブヒ。

 でも、お前の言葉は解るブヒ。

 お前はゴブリンの亜種だから仲間ブヒ☆』

「……」

 ブヒ☆ じゃねぇよ。

 

「おい、コイツ死にたいみたいだから、サクッと殺っちゃって」

 俺は、クレアに

『冗談ブヒ!

 軽いジョークブヒ!

 殺さないで!』

 あまりにも必死だから、最後、ブヒを忘れてるぞ。

 まあ、俺の冗談だから大丈夫だよ。

 フフフ、心配性だなって、ちょっとぉ!

「ストーーップ!」


 クレアの剣がオークの首元で止まった。

 あ、危ねぇ…… 迂闊に冗談でも殺せなんていえないな。


「ねえ、アキラ、コイツどうするの?」

 どうするって、クレア。

 ほっとく以外の選択など無いだろう。


『アキラ様! 助けてくれてありがとうブヒ!

 カッコいいアキラ様はオラの兄貴ブヒ!

 どこまでもついて行くブヒ!』

 俺がカッコいいだと?

 ほう…… 正直な奴だ。


「ブヒブヒと、ホントに煩いオークね。

 アキラ、なんて言ってるの?」

 

「ん? ああ。

 俺の子分になりたい、いやむしろ奴隷でも構わない。

 俺の男気、そしてそこはかとなく気品漂う俺がカッコよすぎだと言っている。

 俺から、カッコいいと言う事を学びたいそうだ」

「まあ!」

 このオークが俺をあがめていると思ってクレアが嬉しそうだ。

 フフフ、ホントにクレアは可愛いなぁ。


『そんな事まで、言ってないブヒ!』


「ウフフ、オークったら、喜んじゃって」


「あ、ああ。 まったくだ」

 少し言いすぎたかとも思ったが、まあ、いっか。

 それに街にいくなら、ちょうど良い護衛になってくれそうだしな。


 俺は、絶対に良くは思われないだろうからな。


 クレアはSランクの冒険者。

 って事は、金など腐る程もっているのだろう。

 俺はクレアにいくら持ってんの? なんて絶対に聞かないけど。

 クレアとの結婚が金目当てだと思われたら嫌だけど、そういう下種の勘ぐりする奴。

 俺を誘拐してクレアから金を巻き上げようって小悪党。

 そんな奴から俺を守る護衛にでもなってもらおう。

 俺が直に立ち向かっても良いが、フフ、俺は平和主義者だから!

 大体、クレアがSランクの冒険者って後から知ったんだから金目当てな訳が無いだろう!

 だけど他人にはそう思わないんだな、これが。

 まあ、どうとでも思わせておけばいいけど。

 街で俺は、俺の力で稼いで稼いで稼ぎまくって街の奴等に、俺の実力でクレアと結婚したんだと認めさせてやるんだ!

 そして、お金持ちの俺は、高級風俗をコンビニに行く感覚で気軽に利用するんだ!


「みんな、俺の為に頑張るぞ!」

 俺は、決意に燃えた!

手に汗にぎる戦闘回でしたが、どうでしたか?

次回、街に行きたいが、どうなるのか?!

それは、俺次第だ。

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