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おじさん異世界に行く!  作者: カネキ
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第 十五 話 出発!

 この地の領主であるラウルとの商談を終えた俺達は、大金を手にして、ちょっとしたお金持ちになった!

 しかも交渉により、念願の村を手に入れた俺。

 カラパ村って寒村らしいけど、俺には奥さんのクレアもいるし、仲間のオクルもいるからな、みんなで力を合わせれば、きっと良い村になるだろう。

 だから俺は、心配などしていない。

 そう、心配など微塵も無いのだ!



「ラウルが馬車を貸してくれたし、村に持っていくものを買い込んだら飲みに行くぞ!

 商売が上手くいき村を手に入れたぜ記念の宴会だ」

 ラウルの家を出た俺は堂々の宣言をした。


「いいわね、賛成!」

 馬車を運転してくれているクレアが賛同してくれた。

『やったぜ! 飲み食い出来るブヒ!』

 オクルも喜んでいるようだ。

 二人とも嬉しそうに言ってくれて、俺も嬉しいよ。


 ……しかし、三人だけってのも寂しいよな?



 やる気に満ち溢れた俺達。

 金が手に入った事もあり、ここゴンゾーラの街で新生活の道具、村人へのお土産として作物の苗や種、農具やお菓子とか色々買い込んだ。

 そして、俺達が買い物を終えた頃には、街に明かりがともり始める時間になっていた。

 

「今日はこのくらいにして、店に行こうぜ」


 荷物を積んだ馬車を宿に預け、俺達は、日中に目星を付けていた飲み屋に向かう。

 到着した頃には、店の明かりが通りを照らし、すっかり日が落ちていた。

 おっと、そうだ!

「クレア、先に入って席取っといて!

 俺、ちょっと用事してくるから。

 オクル、行くぞ!」

「えっ?!」

 クレアが驚いてる。

「すまん。

 すぐ戻るから!」

 俺は両手を合わせて頭を下げた。

『早く食事したいブヒ』

「うるさい、黙れ。

 後で好きな物注文して良いから、行くぞ!』

『行くブヒ』

 よし。

 俺は、オクルを連れ走り出す。

「ちょ、ちょっと、どこ行くのよーー!」

 背中にクレアの声が聞こえたが、俺は振り返らず手を振り走った。




ノース酒場――


「遅くなっちゃったかな?」

 クレアを待たせていた俺達が中に入ると、赤ら顔の冒険者や商人達で店内は賑わっていた。


「えっと、クレアは?」

 店内を見渡すと、奥のテーブル席につまらなそうに肩肘ついてるクレアを発見。

 俺達は、急いでクレアの取っておいてくれた席にむかった。

 


「お待たせ!」

「は? なんで、その女がここにいる」

 着席した俺に向かって、開口一番クレアが言った。

 まあまあ、落ちついて。

「クレア、宴会するからって、俺がソニアに来てもらったんだよ」

 言ったが、クレアがブスっとして不満を隠そうともしない。


「クレア、新たな門出の宴に同席させて欲しい」

 健気にも、ソニアがクレアに頭を下げた。

 当然尻が後ろに突き出される。

 当然俺は、凄く見たい! ガン見したいが、この状態では…… 無理だ! 


「解った。

 で、そっちは、誰だ?」

 クレアがソニアとオクルに両腕を掴まれている男を見て言った。

「ザコウだよ」

 クレアに教えてあげたが、ピンときてないみたいだ。

 可哀想に、冒険者ギルドでクレアに腕を捩じりあげられたのに覚えられていないようだ。


「嫌だ! 離せ! 俺は、お前達と一緒にいたくない!」

 ザコウが喚いている。

 フフ、そんなに嬉しいのか?

「な?

 こんな冗談言ってザコウって面白いだろ?」

 クレアに言ったが、興味がないようだ。

 全く。


「クレア、いい加減にしろよ。

 ソニアは、お前に憧れて冒険者になったんだぞ。

 そんな憧れのクレアと食事が出来る事をソニアがどれほど喜んだことか!

 俺達、今度いつこの街に来れるか解らないんだ。

 ソニアは、俺達の門出をぜひ自分も祝いたいとも言ってくれた。

 それなのに、お前は。

 ここは、「ソニア、ありがとう」と言うのが人情じゃないのか!」

 ビシッ! っと俺がクレアに注意すると、驚いた顔をされた。

「……」

 思わず偉そうな事を口走ったが、ぶん殴られんじゃないか?


 失敗したか?


「そ、そうね。

 ごめん、ソニア。

 今日は来てくれてありがとね」

 クレアがソニアに頭を下げた。

 恐怖により、もう少しで失禁しそうになったが、良かった。

 替えのパンツなど持ってきてないし、クレアが素直で心の優しい奥さんで!


「なんで、俺まで、呼ばれたの? 意味が解らない」

「うるさい、黙れ!

 せっかく宴会に招待したんだから、大人しく酒を奢られ、楽しんでいけ!」

 特に仲が良いわけでもなく、良く知らない俺達の宴会に連れてこられて困惑しているようですが、我慢しろ。


 ソニアとオクルにより強制的に着席させられたザコウ。


「ああ、もう! 大人しくするから、手を離せ!

 アキラとか言ったな、本当に奢りなんだろうな?」

 どうやら観念したようだ。

「当たり前だろ?

 楽しんでってくれよな!」

「遠慮などしないからな。

 ところで…… なんで俺は、お前達の宴会に呼ばれたんだ?」

「大勢の方が楽しいじゃん。

 すみませーーん!」

 俺は、ここに来て凄く日が浅いから知り合いなんて、この二人ぐらいなんだもん。

 ザコウへの説明責任を果たした俺は、華麗に注文の為、この店の店員に声をかけた。




 クレアは、良く笑い良く飲んだ。

 オクルも良く食べ良く飲んだ。

 ソニアも良く飲み火照った体がエロかった。

 ザコウは、ヤケクソで飲んで食って笑っていた。

 皆が、楽しんでくれているのが嬉しい。


 なんだかんだで気分の良い俺は、終始ご機嫌で遅くまで飲んでとても楽しかった。




 当然、次の日は飲みすぎたので二日酔い。

 気持ちが悪いし頭も痛い。

 それなのに行動を開始するなんて、勤労者の鏡のような男だぜ、俺。

 村に追加で、足りない物や必要になりそうなものを買いに行き、ついでにオクルの仕上がった服をブルーマウンテンに取りに行ったりとすごした。




◇◇◇




「アキラさん、用意が出来ました。

 いつでも出発OKです!」

 俺達の宿泊していた宿の前に来たラウルの家の使用人である青年が、俺に教えてくれた。

 俺達の買った荷物で満載の荷室。

 とても俺達が乗るスペースが無い。

 だが、心配ご無用だ。

 ラウルの従者が乗ってきた馬車があるからな。

 彼等がカラパ村まで先導してくれるのだが、その馬車に俺達も乗せてもらえるか聞いたら、そのつもりだと言われた。


「ありがとうね。

 クレア、オクル! ラウルがくれた荷物の積込みが終わったけど、宿に忘れ物とかないか?」

 

「大丈夫よ!」

『服もちゃんと持ってますブヒ!』


「よっしゃ、そんじゃ馬車に乗せてもらおうぜ!」

 ウキウキの俺は弾むような声で言うと、我先に馬車に乗り込む!

「ねぇ、アキラ、楽しみね!

 あーー、どんな村なんだろう」

 続けて馬車に乗り込んだクレアが、俺との新生活に期待しているように言った。

 フフフ、残念だが、俺の方がクレアとの新生活を期待しているからな!

 まいったか。

 キスしたいが、周りの目もあるし我慢、我慢。


『アキラ様!

 俺、頑張りますブヒ!

 立派で安心、安全な村にして、森のオーク族を一日でも早く呼び寄せたいです!』

 オクルが乗って馬車が大丈夫か不安だが……

「ああ、その為にも頑張ろうぜ!

 オクル、期待しているからな!」

『ブヒ!』

 オクルがブヒブヒ言ってやる気満々だ。

 心意気や良し!

 馬車が心配だから降りろなんて言えない。


「おい、アキラ。

 俺は、後ろの方の馬車にいるからな」

 馬車の外からザコウが声をかけてきた。


「冒険者さん、しっかり護衛頼みますよ!」

 ニヤニヤして俺が言ってやった。

「あのな、ホントに俺って必要か?

 Sランクのクレアがいるんだから」

「いや、今日は私は、お客様だからな。

 旦那様と一緒にゆっくりしていきたいから!」

 クレアが俺に抱きついてきた。

 可愛い!

「そうだぞ、ザコウ。

 ちゃんとギルドに金を払うんだから、頼むぞ」

「まあ、仕事を貰えるだけ、ありがたいけどな」

 呆れた感じで言ったザコウは、後ろの馬車の方へと歩いて行った。

 うん。

 ザコウ。

 お前は、俺が必要だと思ったから雇ったのだよ。

 フフフ、ハハハハハハハ!!!

 昨日、俺がちゃんとクレアに言っといて正解だぜ!



【 昨晩 】


クレアとアキラが泊まる部屋――


「明日は、冒険者を雇った。

 それは、クレアと一緒にゆっくりとした時間を過ごしたいからなんだよ。

 だから明日は、クレアも冒険者というのを忘れて、一人の女性として俺の傍にいて欲しい」

「アキラ……」

 クレアが納得した様子で俺に抱きついてきた。

 そして、俺達は熱いキスを……


「私は、前の方を警戒しているからな!」

「おう! ソニアもたのむぜ!」

 俺達の乗る馬車、御者の隣に座るソニアに言った。



 そう。

 ソニアを雇う事が本命なのだ。

 

 ソニアだけを雇うと、クレアに怪しまれる。

 最悪、ソニアの同行を断る羽目になるだろう?

 そこで賢い俺は、ザコウとセットでソニアを雇う事にしたのだ。

 おかげげで、ソニアが来たときクレアに変な顔をされたが、ザコウがいたおかげで特に何も言われなかったぜ。

 フフフ。

 道中、その素晴らしい尻を存分に眺めさせてもらうからな、ソニア!

 俺は、その為に雇ったのだから!

 うひょぉーー!



「しっかし、ラウルって本当に良い奴だな。

 村に行くのに馬車をくれただけじゃなくて、案内の為に馬車と手伝いに人まで寄こしてくれたんだから」

 たかがエロ本をあげただけなのだが。

「申し訳ないけど、助かるよな!」

 後ろめたい気持ちが少々あるが、好意に甘えさせてもらおう。


「アキラ、そんな風に思う事ないぞ。

 ラウルが馬車や案内人を用意したのは、アキラの商品にソレだけの価値があると奴が判断したからだ。

 だから、アキラは、アキラの力でこの待遇を勝ち取ったと胸を張ればいい」

「クレア……」

 あらやだ。

 俺の気持ちを察して言ってくれたクレアの事を惚れ直した。

 ホントに良い俺の奥さんだ。

 クレアの手を握ると俺は前の方に身を乗り出す。

 

「そんじゃ、行こう、俺達の村へ!

 御者さん、出発してください!」


「了解です!」

 御者がいうと、ゆっくり馬車が動き出した。

 俺達の村に向かって!

村までどれだけかかるのか解らないが、道中楽しく行きたいとソニアを雇ったアキラ。

そんな邪なアキラを待つカラパ村は、一体どんな場所なのだろうか?

次回も宜しくお願い致します。

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