もう1人のテレポーター
今日、あの花が咲く。
「オリビア、今までよく頑張ってきたね。約束通り魔法をかけよう。ママの顔覚えているだろう?」
「うん!」
「それじゃあ、しっかり思い出して。ママの所に帰りたいと願って。今度、目が覚めたらママが待ってるよ。僕の事は内緒だよ。この世界の悪い魔法使いから、君のような人を守らないといけないからね」
「ようじ!」
オリビアに初めて抱き着かれた。
「オリビアはいい子だね。これからもきっと大丈夫。何があっても君の味方は必ずいるから、諦めないで」
オリビアは帰って行った。
※ ※ ※
「ニューヨークに行く」
また、グレンの突然の報告だけれど慣れた。アップルパイは持って行きたい! カフェに行く、アップルパイと情報をもらい帰る。ミアから荷物を渡された。ミアは指を鳴らすニューヨークに来た。セントラルパークだ。懐かしい気持ちになる、初めて来訪者を帰した場所だ。
エレンがマンションにやって来た。
「ようじぃー! 会いたかったー!」
エレンが新しい情報をくれる。どうやら、シェルターを持たない来訪者がいるようだ。どうも、その人物は瞬間移動を使うらしい、その力を使って物を取って行くようだ。
「気が付いたら物が無くなっているの。確かに物取りは多いけど‥‥‥ここ最近特に被害が多くて困っているのよ」
ん~……捕まったら大変だ。早く見つけてあげないと……? さっきからエレンが今日はやたらと髪に触ってくる。
「ああーやっぱり素敵だわ~。その来訪者が見つかるまで毎日来てもいいかしら? ちゃんと情報は持ってくるし協力もするわ」
そんな笑顔見せられたら、いいよって言うしかないじゃないか。二人の顔を見る。グレンもミアも同じらしい。
……ほんとに毎日やって来た。
毎日僕の髪で遊んでいく。ポニーテール、ツインテール、三つ編み、編み込み……
普段は1つにまとめているが伸びたよなあ。これじゃあ女の子だ。溜め息をつく。
「やっぱり! このまま何もしない方が素敵だわ!」
今日はこれで帰るのか? と思ったら。
「出たわよ! 最近この辺りに多いわ」
と、地図を出して話す。近くじゃないか!
「だから、囮作戦よ。この子何故か高価な物はあまり取って行かないの、食料品なんかが多くてきっと食べる物が無いのかも」
エレンの作戦に乗った。
ミアが買い物をする。きっとお腹を空かせているだろう。調理済みの食糧を沢山抱える。ベンチに座るその時、人影が見えた‥‥‥物が無くなっている。ミアがその後を追いかける。
今取って来た食べ物にがっついて食べ始める。そこにミアが現れた。
「なんで! ここにいるんだ!」
追いかけて来たミアの姿を見て驚く。そして、逃げようとするその人物にミアは声を掛ける。
「お願い逃げないで! 私もあなたと同じよ。何もしないわ」
そこには、帽子を被った少年がいた。
「なんだそうかよ。その恰好は変装か?」
「いいえ。この姿は変えていない」
「俺を捕まえて。どうする」
「帰りましょう。元いた世界に」
ミアは少年に歩み寄ろうとする。しかし、少年は後退りをする。
「何を言ってる! そんな事出来る訳ないだろう? 帰りたくても……どうやって帰るんだ! 無理だ!」
「私達はもう何人も帰していますよ。何人も見送った」
「……」
ぐ~っとお腹が鳴いた。
「お腹が空いているのね、それ、食べていいのよ。あなたの為に買ったのだから」
それを聞いてむしゃむしゃと再び食べ始める。食べ終わると少年は口を拭きながら
「で? 俺はあんたと何処へ行けばいい」
「信じてくれるのね。ありがとう」
笑顔でミアは言う。
「なんで、お礼を言われないといけないんだ? 逆だろ?」
「それじゃあ、仲間の所に一緒に行きましょう」
ミアはその人物と一緒にマンションに帰って来た。




