とりあえず撃て、話はそれからだ
一発撃つ時の疲労感は短距離走を全力疾走した時の感覚だ。
最初の一発こそ慣れない感覚に襲われて膝が崩れそうになったけれど、撃てばそうなることさえ知っていれば大分マシになった。
息切れもしないし、撃って数秒待てば疲労感も消える。
そして連射時、これは危なかった。例えると大量の血液を抜かれた感じ。3発目を撃とうなんて気力はこれっぽっちも湧いてこなかった。
「現実的には間隔を空けて1発ずつ撃っていく感じかな」
「だいたいどれ位の間隔になりそうです?」
「撃って深呼吸した後は平気だから、早くて3秒。5秒なら確実に大丈夫」
といっても撃った直後に殴る蹴るが出来るほどの余裕は無いから実質固定砲台のようなものなんだけど。
いや、殴る蹴るをした後に撃てば問題ないのでは?
「銃の火力自体は問題ないですし、大型の獣やモンスターに確実にダメージを与えられるっていうのは大事な役目ですよ?」
「逆に身一つで敵を倒せるアリクイのほうが凄いと思うけど……」
悪い言い方をすれば身の丈ぐらいの棒きれを操って敵と戦っているのだ、HP的な概念がないし、痛いが熱いになっているとはいえ積極的に味わいたいものじゃない。なのに前線張って戦い続けているというのは十分に尊敬に値する。
「こういうのは慣れですねー。シノだって銃を扱えるでしょう? あたしは現実で多少扱えるだけのことですから」
現実で一体何をしてるんですかね……いや聞かないけど。
ともかくこの銃で注意すべき点もわかってきたし、そもすればさっきのより扱いやすいかもしれない。実質リロード要らずっていうのが大きいよね。
…………あれ、これもう銃の形をした別の何かでは?




