その銃は大飯食らいか、はたまた飯の貯蔵が少ないか
未だに弾丸無しで平気なんだろうかと半信半疑になりながら、銃の専門家がああ言ってるんだし信じるしかないかということで外に出た。
午前中同様まずはガブリンを標的にしてあまり群れてないのを狩る。
大丈夫かなぁ、と考えつつも、撃鉄を起こし照準はガブリンへ。
モンスターに食欲とか睡眠欲とかあるのかは知らないけど、ボーッと寝転がっているガブリンの様子は完全に日向ぼっこのそれだった。
「………………」
引き金を引く。
撃鉄がガチンと音を立てる。
瞬間、全身から何かを抜き取られたような違和感が襲いかかり――
「g――」
視界の先にいたガブリンは体を弾かせて粒子に溶けた。
「あぅ」
「ちょ、ちょっと大丈夫ですかシノ!?」
一瞬だけ立ち眩み。落ちそうになる膝に手を置いて姿勢を保持する。
「大丈夫、多分……うん、平気」
「銃を撃った瞬間に様子がおかしくなりましたけど、何があったんですか?」
それは私が聞きたい。
銃を撃った瞬間に気力のようなものが抜き取られたのだから。
まるで銃が私の精神力を吸い上げたみたい……に……
「ちょっと待って!」
「シノ?」
リロードの手順同様に銃のトリガーガードを引いて本来弾を込める場所を確かめる。
そこには弾丸を込めるはずの穴は無く。金属の表面には幾何学な紋様が描かれていた。
「なにこれ」
「ん? あー、それって多分、魔術を使う時ためのものじゃないですか? 魔導具とかに似た感じの模様が描かれていたのをみたことがあります。魔導具って結晶を使うタイプと使わないタイプがあるんですよねー」
今のアリクイの言葉を加味するなら、それは午前中に使っていた銃と今使った銃がぴったりと当て嵌まらないだろうか……
「つまり今、私はこの銃に自分の魔力を吸われて、その魔力で銃弾を撃ち出したってことになる?」
「あー、同じ魔法銃なのに銃弾を撃つための弾丸を込めないでどうやって弾を撃つのかを考えれば、結晶から抽出した魔力の代替物になるものっていったら使用者の魔力になるのは納得ですね!」
「ちなみに聞きたいんだけど、魔力がすっからかんになったらどうなるとかは……」
「さぁ、あたしもそこまでは……。でも今のシノの様子だと使いきったら良くても動けなくて、ベターで気絶、最悪死んじゃうかもしれませんねー」
「どれにせよ撃ち過ぎるのはマズいってことじゃん……」
ゲームの中の世界の割にファンタジー部分に現実感を引き立て過ぎでは?




