ゲームをするときはね……
どうして部長は私に対して「ゲーム楽しんで」なんて言い方をしたのかを考えようとして、これ以上考えるのは精神衛生上よろしく無いと本能が訴えてきたので思考は打ち切った。
天理フレデリカという少女は齢14にして本来中等部3年に所属するところを飛び級して高等部3年に座している。私にとって2つ上の先輩だ。彼女はあの高天原学園という魔境をもってしても異彩を放つ存在で詳細な情報こそ表に出ないが、わかっていることは大体黒く曖昧な噂であること。これは入部してたった3ヶ月で自らを部長という座に導き、それに反発した多くの部員が退部もしくは手のひらを返したように恭順、または部長とは一切目も合わせず避けるようになったという結果を知っていれば信憑性に大きく頷くことができるだろう。故に私達の学部に所属する射撃部には暗黙の了解がある。
――天理フレデリカには反目するな
これは彼女に対してイエスマンになれ、という訳ではない。ただ、下手に牙を剥くことは確実に当事者に不幸を招くことから来ている。これは散っていった先人たちが身を以て教えてくれた。また彼女は平時であれば特に部員に対して不当な行いをしているわけではなく、表面上だけで見れば部の雑事や面倒事を全て引き受けていてくれているので、害がないならまぁいいか精神を彼らは遺憾なく発揮し射撃部は穏便に天理フレデリカという少女の手に収まったのだった。
これに関して言いたいのは、触らぬ神に祟りなし。触りに来たら……南無阿弥陀仏。
「つまり私じゃん」
なるほど、今日はそこまででもなかったけど、よくよく思い出してみればあの部長に絡まれたあと、遠巻きに見ている部員がよくこちらに可哀想な目を向けていた気がする。あれ神に触られてる哀れな被害者を見る目だったわけねッ。増々嫌いになりそう。
しかしだ、しかし今日の面会は既に終わったのだ私。つまり今日そして2、3日ぐらいは顔を合わせなくてもいいということ。
「そして今の私にはこのゲームがある」
目の前には【Saga Frontier】をするためのVR機。AR射撃で滝のように流れた汗は射撃場内に併設されているシャワールームで流してさっぱりし、夕食の仕込みも既に終わっているので時間になるまで自由。つまり――
「課題!」
よりゲームに没頭するため、そして夕食までの2時間3時間をあの世界で過ごすというのは普通に短いと考えた私は、残っている今週分の夏期課題を処理すべく、机へと向かった。
神なのに仏……HAHAHA! クソみてーなセンスだな!!
気づいてるかもしれませんが前は設定後は愚痴みたいになってます。前書きでネタバレしてんじゃねーよタコとか思われてそうですがこれを上に書くほうが頭のおかしい人になるので後です。それにあき毎回毎回書くネタがあるわけでもないので……