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#神語り  作者: 神崎寧々
3/8

色恋

昨日は散々だった。

放課後先生に呼ばれて説教の後、ずっとギリシャ神話の事をくどくど話され気づけば部活が終わる時間になっていた。

キャプテンには怒られるわで怒られっぱなしだった。

そういえばなんで最近先生は神話の事ばっかり話すんだろうな。



「雷斗!」



先生は神を信じているようだったけど……ああ、バカバカしい。



「雷斗ってば!」



耳元で叫ばれて、ようやく女子生徒が声を掛けていたのに気がつく俺。



雷斗「ん?ああ、田荘か、おはよ。ごめん、気づかなかった。」


真由「おはよう。ボーッとしながら歩いてたけど、何か考え事?」



田荘真由(たどころまゆ)は同じ中学出身で同じ剣道部だ。

家が近いからこうやって朝途中から一緒に学校に行くことが多い。



雷斗「なぁ、お前は神って信じてたりすんの?」


真由「か、神っ!?様?どうしたの、イキナリ。」



田荘はクスクス笑って俺を見る。



雷斗「バカにしただろ?俺はいないと思ってるからな、神なんて。」


真由「私はいるって信じてるよ!神様に願掛けしたから雷斗と同じ高校に入れたんだし。」



田荘は顔を赤らめ、頬を手で覆い目を閉じながら言っている。

いやいや、神のおかげじゃないだろう、それは。



雷斗「それはお前が努力したからじゃねーの?」



俺は田荘の頭をポンポンと叩いてスタスタ歩き学校へ向かう。

彼女は叩かれたところを右手で押さえる。



真由「もう……鈍感……なんだから。」




学校に着くと何やら校内がざわついている。

下駄箱で靴を履き替えて2階に上がろうとするが、目の前の職員室の前にはたくさんの人集りが邪魔をする。

何があったんだと1番近くにいる奴に聞いた。



雷斗「なぁ、芸能人でも来てんのか?」


日野「天地君……ああ、最近修学旅行先に向かう飛行機が次々と墜落する事故が起こっているみたいなんだ。2年の修学旅行の件で先生達が会議しているようだよ。」


雷斗「マジ?だから飛行機はダメなんだよ。船で行ったらいいのにな。」



なんでも飛んでいる飛行機付近の気象が急に変化して、雷が飛行機に落ちるそうだ。飛行機はそのまま海に墜落。

搭乗していた学生達は皆行方不明だが、他の乗員は奇跡的に助かっている……不思議な話だ。



日野「そういえば今朝は美空さんと一緒じゃないのかい?」


雷斗「ん?アリス?今日はまだ見てねえな。あ、お前好きなん?」



アリスの事を気にする奴の顔を見て気が付いた。

そういえばこいつ同じクラスの奴じゃん。

俺がそんな事言うもんだから顔を赤くして、ずれてもないメガネの位置を直し早口で言った。



日野「そ、そういうんじゃないんだが……君達はいつも一緒だから。君こそ美空さんの事好きなんだろう?」


雷斗「は?俺?やめてくれよあんな怪力女……ぐぇ!?」



俺は後ろから首を絞められている……誰に?

ってこんな馬鹿力あいつしかいないだろ。



雷斗「ア……リス……てめぇ。」


アリス「ん?日野君おはよう!あ、雷斗君もおはよう。怪力呼ばわりする口はどの口かなぁ……?」


大洋「おい、謝るなら今だぞ。」


雷斗「ご…ごめんって!」



力を緩めたアリスの腕から逃げ出す俺。

女のくせに馬鹿力って……



アリス「まったく!こんなか弱い女が怪力なわけないでしょ。」


雷斗「へいへい。」



こんな女誰が好きになるんだよ。

ジーっと見てるとアリスは睨み返してきた。

日野も物好きだな。



大洋「さっき先生達が話してるのをちらっと聞いたんだが、修学旅行は行くみたいだな。」


雷斗「こんな状況で行くのかよ!?俺欠席しようかな。」


アリス「何よ、腰抜けね。」


雷斗「なんだと!?そんな強えなら、俺を守るくらいしろよ!」



そうやって冗談を言い残し俺は教室に向かう。

そうだ、俺よりアリスの方が強いだろ。


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