神様
地球が誕生するよりもずっと昔……
この世はカオス(混沌)そのものだった。
そこから様々な神が誕生し、地球その他惑星が誕生した。
そして人類も誕生することとなる……
難しい話は俺にはわからないが神なんて本当にいたのか?
人類が進化した生き物ということよりも神の存在の方が嘘くさい。
人は窮地に立ちはだかると神に頼ったりするよな。
何か意味があるのか?それで窮地を脱することができるのか?
答えはノーだろ。
俺は神を信じない……見たこともないものは信じられない。
だから
#もしも自分が神だったら
って例え話とか本当にありえない。
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先生「と、いうわけで全ての始まりはカオスから生まれることになる。……聞いているか?天地!」
俺は今とてつもなく気持ちいい眠りについている。
だが遠くの方で俺を呼ぶ声がする。
それはだんだん近くなって不快な雑音と化す。
アリス「雷斗!」
大洋「おい!起きろよ!」
先生「天地!」
はたして何人俺の名前を呼んでいるんだ?
そして意識がはっきりとしてきて、俺は目を覚ました。
雷斗「ああ、カオスだな……」
俺は頭をかきながらポツリと呟いた。
アリス「雷斗の顔がカオスよ。」
先生「天地は放課後職員室な。」
キーンコーンカーンコーン
先生の一言で授業は終わった。
ところで何故職員室に行かにゃならんのだ?
アリス「もう!せっかく推薦で入学してるのに退学になったらどうするのよ!」
こいつは美空アリス。俺と大洋の幼馴染であり、姉貴みたいな存在。いつも俺たちの世話をやく。部活は弓道部で期待の星。
ある事故があって以来、アリスは医者を目指している。小さい頃から弓道をやっていて、推薦でこの高校に入った。
大洋「お前、留年したら俺のこと先輩って呼べよな。」
アリス「私のこともねー!」
雷斗「は?なんでだよ。」
このイケメンは青海大洋。
こいつも幼馴染だ。
海から生まれたような名前だよな。
天は二物も三物も与えるようで、イケメン、優秀、運動神経抜群とモテ要素を備えられたいわゆるモテ男。そして優男だ。柔道一筋だから彼女はいないが、とにかく強くてカッコいい。
アリス「雷斗、本当に大丈夫なの?」
雷斗「何が?」
大洋「これ以上こいつの頭の心配するのやめよーぜ。」
雷斗「おいっ。」
そして俺は天地雷斗、天海高校2年。
俺の取り柄は……ねぇな。強いて言えば剣道家系で育ってるから剣道は誰にも負けない……ハズ。
まぁそんなもんだろ。
アリス「そういえば、もうすぐで修学旅行だね。沖縄は初めてだから楽しみだなぁ。」
雷斗「俺もだ。問題は飛行機だな……。」
大洋「お前飛行機ダメなの?」
コクリと頷く。俺は高い所も平気だし、バンジージャンプも平気。何があっても死ぬ気がしない。
なのに……そう、飛行機は大の苦手。
別に何かを経験したとかじゃなくて普通に……苦手だ。
あの鉄の塊がなぜ空を飛んでいるのか不思議でしょうがない。
アリス「大丈夫だよ!私と大洋がついてる。」
大洋「そうだな、あとは神にでも頼んどくんだな。」
雷斗「お前、神なんか信じるのか?」
俺はニヤニヤしながら大洋に問う。
大洋「あぁ、いるだろ、神。いなきゃ人類なんか存在しねーよ。」
呆れたように大洋は答える。
言いたいことはわかるが、俺はいないと思ってる。
雷斗「神ねぇ……んで、アリスは信じてたりすんの?」
アリスは真剣な表情を見せた。
アリス「私は……どうかな……」
斜め下を向き少し淋しそうに笑うアリスに俺と大洋は、
雷斗「なんだ?神と何かあったのか?」
大洋「神に失恋でもしたのか?。」
煽る俺たちにアリスはでこぴんをくらわす。
雷斗「でっ!」
大洋「っっ!」
アリス「ばっかじゃないの!?」
ベーっとしながらそう言って廊下の方に歩いて行ってしまった。
俺と大洋は目を合わせて【またやっちまったな】って顔をした。
雷斗「アリスはあんな事言ってたけど、忘れられるわけないよな。」
大洋「ああ、そうだな。でもそれはお前も同じだろ?」
雷斗「俺はもう大丈夫だけど……」
俺は幼い頃両親を事故で亡くしている。
俺とあいつの目の前で飲酒運転の車に轢かれて死んだ。
蘇生術を施しても、病院に運ばれた時には既に心肺は停止していた。
自分の親のように慕っていたアリス。
あいつが神はいないって思う理由はこの事故がきっかけだった。
それまでは神を信じていたんだよな。
そしてその日から医者を目指して勉強している。