転生
その時に死にたいと思った。
目を瞑りこれまでの日々に終止符を打って決心したんだ。
そして僕は屋上から飛び降りた………———————
誰にも気づかれないで死ぬなんて無理だと思う。
誰にも知られずに死んだとしてもきっと誰かには気づかれる。
だから家族の前で死ぬのは止めたんだ、せめて誰にも見られないように命を絶ったはずだった。
死んだ理由は簡単。生きている事に飽きたから、それだけ。
他人が、家族が聞いたら苦笑を浮かべまともな応答もせずに受け流すような理由だ。
だけど僕には死ぬ理由になったのだ。
毎日の行動がそう。
バイトをして、勉強をして、同じ顔を見て…………それが堪らなく嫌だった。
これからの人生がどう変わっていくのかは分からないが、きっと全員が同じだ。
働いて、恋をして、家族を持って、老衰の果てに命が尽きていく。
はっきり言ってクソ下らない人生だ…………
だから人間最大の逃避行である「死」という理を使い、僕はこの世界から姿を消そうと思った。
思ったはずだったんだけんど…………何でか痛みという痛みがない。
流石に即死だろうとは思ったけど痛みを感じないのはおかしい。
というよりも体に感覚を感じるのがまずはおかしかった。
「あぁ………んと、起きてるよな?」
男性の声がすると思い自然と目が開いた。
だけど視界が真っ白にぼやけてほとんど何も見えない。
「起きてるな。よし………!」
「あのー、誰ですか?」
いるのは分かるのに、見えないというのは何とももどかしい気持ちになる。
「あーあー、寝てろ寝てろ。今、体を再構築してやるから」
立ち上がろうとすると体を押さえつけられる。
そして今のが聞き間違いじゃなければ再構築とかなんとか言っていたが………それは?
「っと、再構築する前になんだけどー…………一ついいか?少年」
「はい?何ですか?」
「急なことなんだけどさ、俺の力は少年に預ける事になってしまったんだ。少年が悪用するやつに見えないからいいんだけど—————」
「いや急に預けられても………」
「まぁ待てよ少年。これから少年には俺の世界に転生して貰うことになったんだ。まぁなんつうか………魔法でドーン!!って感じの世界にな」
あれ?視界が急に暗く………
「まぁ……あれだ————
あいつらを救ってやってくれ」




