それは、奇跡へ続く物語
女は、とある王国の海の深くに住む魔女だった。
女は人魚姫の死後、自害することなく海面を漂っていた。
なぜなら死ねば世界が繰り返すから。
繰り返せばまた人魚姫が死ぬことになるから。
だから魔女は死ぬことなく、死んだように生きるのみだった。
それでも人魚姫を救いたい魔女は、今度は陸上で薬のレシピや材料を探す。
魔女は何度繰り返しても人魚姫を救うために世界をさ迷い続ける。
そして、魔女は辺境の地の民族に贄にされた。
女は、とある王国の海の深くに住む魔女だった。
魔女は国の宝物庫へ忍び込めず打ち首にされた。
女は、とある王国の海の深くに住む魔女だった。
魔女は国をいくつも滅ぼし、手を取り合った人間達に殺された。
▽ ▽ ▽
女は、とある王国の海の深くに住む魔女だった。
魔女はあることに気づく。
どんなに失敗した薬でさえもなんらかの効果がある事に。
魔女はあの時効果を発揮しなかった薬に興味が湧いてきた。
魔女はまた自らの舌を切り落とし、薬を作る。
作った薬に魔女は歓喜する。
この薬は海の中では人魚になり、陸の上で人間になる薬だったから。
相変わらず人間の時は声をだす事はできないが、人魚の時は声を出すことができる薬。
魔女は奇跡が起きることを願って自らの心臓にナイフを刺した。