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錬金薬学のすすめ  作者: ナガカタサンゴウ
御内隆也のエンドロール
196/200

そしてその手に花束を

「……おはよー」

 リビングに入るとコカナシがいた。昨日は先生と一日何処かへ行っていたらしいが帰って来ていたのか。

「だらしの無い顔ですね。寝ていないのですか?」

「調べたい事があってな……夜更かししすぎた」

「そうですか、それより……」

 コカナシはそういって左手をグーパーと動かす。

「何か言うことはありませんか」

 何かミスでもしたかと思ったがやけに機嫌が良い。語尾に音符が付いていそうな感じである。

 ならばこの質問の主語がわからなくなるが……大丈夫、俺は女性にこう聞かれた時の返しを知っている。

「髪きったのか」

「違います、お帰りください」

「ここ家なんだけど!?」

 漫才じみた会話をしていると智野が入ってくる。

「おはようございます」

「おはようございまーす……あれ!?」

 いきなり智野の目から眠気が吹っ飛んだ。

「コカナシさん、それって!」

「分かります? わかりますよね」

「えー! 昨日ですか! どちらから!?」

 なんだか女子特有のキャピキャピ感が出ている。

「あの、何を盛り上がっているので?」

「え、タカ分からないの」

 今の「え」には濁点がついていた。

「……髪じゃ無いことは分かってる」

「トモノ、あなたは苦労しそうですね」

「はい、大変そうです」

「いやいや何の話……」

「何の話をしている」

 最後に来たのはもちろん先生。コカナシが用意していたコーヒーを啜り、一言。

「イスカに行くぞ」

「今日ですか?」

「色々と報告しなきゃいかんからな」

「ああ……」

 恐らくネコのネットワーク、ネッコワークで伝わってはいるだろうが……アルスの事は直接言うべきなのだろう。


 *


 と、言うわけでイスカについたのだが……

「すまない、ボル様ケイタ様はネコ会議で離れておられる。明日には帰ってくるのだが……」と言われメディ家に泊まる事となった。


 その夕飯の席、全ての食べ物が揃ったタイミングで先生が咳払いをした。

「少し、話がある」

 アルスの事はさっき話していた。他に何が……?

 やけに真剣な雰囲気を感じて父親が新聞を閉じる。

「どうした、キミア」

「…………」

 沈黙の末、先生がコカナシの背を叩く。しかしコカナシはツンと顔を背けた。

「キミア様が言ってください」

「……む」


 またしばらくの沈黙。その後に観念したように先生はコカナシの方を持ち、自分の方に寄せる。

「結婚する事にした……以上、いただきます!」

 言うや否やご飯を駆け込む先生。

 数秒の思考停止の後、俺と父親は顔を見合わせ……


「ええええええええ!?」


 近所迷惑なくらいの大声を出した。

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