必中の槍
一枚の仕切りで隔てられた向こうから金属音が鳴り響く。アデルと三女の得物がぶつかり合っているのだ。
「さっきの鍵ソードは使わないのかい?」
「あれハ鍵だから、欠けたら大変」
「ははっ、ちがいない!」
アデルの一撃で三女がもつ剣が弾き飛ばされる。しかし三女は顔色一つ変えずに飛んで行った剣をチラリと見てバックステップ。
「あらら、じゃあ、次」
壁に背をつけた三女はアデルの追撃を右腕で受け止める。
「なっ……その腕!」
切り裂かれた服の下から見えたのは明らかな義手。怯む事なく屈んで切りつけたアデルはその下に義足を見つけ間合いを取る。
「まさか全身機械なのかい?」
「いいえ、半身だけなの」
三女の手には機械的な槍が握られている。
「弱くはないケド面白くないわね、終わりにしましょう」
三女の槍が機械音と共に発光する。
「標的入力、彼ノ心臓」
手から離れた槍の持ち手から火が出る。ジェット噴射の如く槍が飛行してアデルの元へと向かう。
難なく避けるが……
「やっぱり追尾機能付きかい、ほんとメカニカルだね!」
そう言いながら逃げ切れなかったアデルの胸に槍が飛び込み……槍が消滅した。
それを見た三女は「へえ」と声を上げてニヤリと笑う。
「面白いじゃない」