表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金薬学のすすめ  作者: ナガカタサンゴウ
錬金集合智『トリスメギストス』〜神愛なる少女〜
153/200

異界の才

「トリトスのNo.2……」

 そんな人にバレるというのは相当ヤバイんじゃ……

「警戒するなと言っておるじゃろ。ゲラシノスには言わん……条件次第では、な」

「条件かい? アンタの事だからろくなことじゃあなさそうだけど」

「カッカッ、マッカの姉ちゃんは厳しいのう! さて……」

 ビルケは分厚い眼鏡の縁を回して俺たちに眼光を飛ばす。

「錬金術師はそっちの二人、か……ほう! どっちも異界の才があるではないカ!」

「なっ! なんでそんな事まで」

「なんて事はない、エルフの目の劣化疑似再現じゃよ。テケリと違って外付けじゃがな」

 エルフ自体は珍しいが生命力を見るだけならここでは容易なのか……

「時間がないのはわかっているだろう? 条件を早くいいな、ビルケ」

 マッカさんの言葉にビルケはまたケタケタと笑う。

「なあに、簡単な事じゃよ。お前ら二人の異界の才を調べる。それが条件じゃ」


 *


「別に薬品とか塗っておらんよ」

 自身の研究室で溜息をつくビルケを他所に俺は注射器を見つめる。

 薬品の色、匂いなし……一応消毒もした。まあ、大丈夫だろう。

「本当に血を取るだけだろうな?」

「警戒心が強いのう……なんならお前ラでやるといい」

 俺から奪った注射器がマッカさんに渡される。

「全く、仕方ないねぇ」

「おや、ミス・マッカはそんな資格まで持ってるのかい?」

「もちろんさ、資格のマッカを舐めんじゃないよ。ほら、さっさと腕出しな」


 マッカさんは手際よく俺たちの血を採取した。それを受け取ったビルケは機嫌良さそうに俺を見る。

「お前さんの才はなんじゃ?」

「……エルフの目と似たようなモノ、目を切り替えれば生命力と体力が見える」

「ほう、体力まで見えるか。それはまだこの眼鏡でも再現出来ておらぬのよな……で、お前さんは?」

「あの……わたしは、えっと……」

 智野の才能は俺のように単純じゃない。わかっているのは人より少ない時間で錬金が出来るという事だけ。

 それがエルフのように体力の質によるモノなのか、それとも素材自体に影響を及ぼしているのか、はたまた体力を出し入れするスピードが速いのか……色々あってそこら辺は曖昧になったままだ。

 それを聞いたビルケは頬をあげてニタリと笑う。

「それは良い才能じゃ、再現出来たなら錬金界に革命が起きる。その才能が真に目覚めておれば研究も捗るというのに……惜しい、惜しいもんじゃ」

 そう、俺のように才能の開花を急いでない智野はボル様による命名を受けていない。もし才能が真に開花すれば色々とわかるのだろう。

「……まあよい、これでも相当なモンじゃ」

「終わりかい? じゃあアタシ達は行かせて貰うよ」

「まて、しばしまて。良い才能を見せてもらった、お釣りが出るわい」

 ビルケが一枚の紙を投げてくる。

「これは……地図だね。この施設の地図だ」

「でも地図ならマッカさんが持っていた……あれ?」

 マッカさんのモノには載っていなかった部屋などが幾つかある。

「それは幹部クラスに渡された真の地図。特殊素材の倉庫だったり聖堂だったりニャルの興味を引くモノはここに多くある、そうジャな……」

 ビルケがフロアの一画を指す。

「ここは特殊生物飼育場、ニャルはここがお気に入りじゃ」

 それだけ言ってビルケは俺たちの血を何かの機械にセットして操作を始める。

「ほら、研究の邪魔じゃ。さっさといけ」

 半ば無理矢理追い出され、俺たちは廊下に立つ。

「どうします?」

「特殊生物、確かにニャルのやつは好きそうだね。でも常に移動してるようなヤツだし、やっぱり三グループに分けようかね」

「ゲストだけで行動すると怪しまれます、ワタクシ達は分かれた方がいいと思います」

「そうだね、じゃあモウはトモノと一緒な行きな。アンタなら車椅子の不調くらいどうにか出来るだろ?」

 モウが頷いて智野の隣に立つ。その配慮はとてもありがたい。

「カリ、アンタはアデルと。アデルならカリの道具を説明無しに扱える」

「ああ、このアデル・セルピエンテに使えない物は無いさ!」

「で、タカはアタシとだね。消去法になったが不都合はないだろう」

「はい。よろしくお願いします」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ