2日目
次の日、私はまた錬金術促進部の部屋へと向かった。
ドアを開けるとそこにはユノさんがお茶を煎れて待っていた。
「おはようございます。アリアさん。どうぞ座ってください」
「はい。」
と、ここで私は部屋に師匠の姿がないことに気付いた。
「師匠って今日はいないんですか?」
「師匠・・・あぁ、マスターのことですか?あの人は、近いうちに錬金術の発表があるそうで王とその事について打ち合わせをしに行きました。」
「そうなんですか。じゃあ今日は・・・」
「いえ、今日は私が錬金術についてお教えしましょう。」とポケットから丸眼鏡を出し、掛けながら言った。
ひょっとしたら、ユノさんは意外と見かけによらないのかもしれない。
「それでは、まずは錬金術の基礎からお教えしましょう。」
「基本的に錬金術というのは等価交換なのです。例えば、物を買う時にはお金を払いますよね?そんな感じです。そもそも、錬金術はこの地面の中にあるエネルギーの流れからエネルギーを引き出して様々なことをします。それには、大きく分けて3ステップ!」そこでユノさんは、絵が描いてある黒板を持って来た。絵はとても上手だった。そして、大きく1と描いてある部分を指差す。
「まず、錬金術には錬成陣が必要です。1ステップ目は錬成陣で地面のエネルギーの流れからエネルギーを取り出す!ここはとても重要で錬成陣の出来によってどれだけのエネルギーが取り出せるのかが変わってきます。よって、錬金術師は錬成陣がきれいに書けなくてはなりません。ここまでokですか?」
「はい。分かりやすく教えていただいたおかげで」
「では、次に2ステップ目は1ステップ目で取り出したエネルギーを使って物質を元素まで分解します。
ここでは特筆すべきことはありません。」
「そして、3ステップ目は2ステップ目で分解した物質を再構成します。この情報も錬成陣に必要です。
ここでは上位の錬金術師になると元素の種類も変えることも可能らしいですよ。それでは、ここまでを踏まえて錬金術を練習して・・・」突然ユノさんは言葉を止める。
「どうかしましたか?」
「どうやら、この王城に侵入者があるようです。しかも王族を人質に立て込もっているようです。」
「どうしてわかるんですか?」
「私の目の細胞はこの王城のあちこちに付けてあります。
なので、この王城のだいたいの場所はみることができます。」
「見えるんですか?詳しいことを教えてください!」
「はい。どうやら今日は王と大臣そして各地の有力貴族の会議だったようです。
今、立て込もり犯は20人ほどいるようで、全員銃を持っています。その半分は12歳くらいの子供ですね。中にマスターはいないようなのでおそらくここに帰ってくるところなのでしょう。マスターなら大丈夫です。」
ここまで聞いたが、どうすればいいのだろうか。私だって姫なのだから父を助けたいが、どうすればいいのだろうか・・・私が悩んでいるとユノさんが口を開いた。
「行きましょうか。ここにいてもそのうち見つかるでしょう。それに、マスターと合流した方が安全ですので。」
「でもどこに行くんですか?それに犯人と遭遇してしまうかも・・・」
「大丈夫です。いざとなったら私が戦います。とりあえず出発しましょう!」
「・・・はい。」
いろいろ不安ではあったが、私とユノさんは王室に向かった。
その頃ユリウスは、
「ここは・・どこだ?」
おもいっきり道に迷っていた。