1日目
広い広い宇宙の中にその惑星は1つの衛星を従えて存在していた。
その惑星は陸地と海の割合は半々くらいで陸地はあちこちに点在している。その中の最も大きい大陸の北の方にウェルノ王国はあった。
この国は近隣の国との貿易で僅かではあるが裕福で町には活気が溢れていた。
しかし、そんな国に異変が起こった。今からちょうど100年前に妖精族が錬金術を世界中に広め始めたのだ。世界中にもたらされた錬金術は人々の生活を格段に楽にできるとして世界各国が研究した。
それはウェルノ王国も例外ではなかった。当時の王は錬金術にのめり込んでしまい、国の財政はどんどん火の車になってしまった。
そんな人物が王でいられるはずもなく、王の側近を中心としてクーデターが発生した。
王はクーデターの末に殺害されてしまった。王がいない状態では国が成り立たないため殺害された王の代わりに王の側近の一人だった者が新しく王になった。
その王は先代のような失敗をしないためにウェルノ王国内での錬金術を禁じた。国内にいた錬金術師は全員処刑され、錬金術に関する物も全て廃棄された。さらに、国内に錬金術に関する人あるいは物が入ってくることも一切禁じた。
その結果、ウェルノ王国は錬金術が一切発展しなかった。
しかし、近年錬金術を使用した兵器も発達している。その事を知った王国は今までの100年に渡って行われていた政策を一変した。だが今さら錬金術がまったく発達していない国に来る錬金術師などいるはずもない。しかも、国内では錬金術は卑しいものだ、という考え方が根付いておりまったく錬金術が広められない。そのため国を挙げて錬金術を広めることにした。そのためにできたのがこの錬金術促進部である。
ここまで話すとユリウスさんは部屋の奥を向いて大声で言った。
「おーーいユノーーこんな感じだったよね?」
すると、部屋の奥から髪型をボブにした25.6歳くらいに見える女性が出てきた。
「ええ。あっていますよ。っていうかそれぐらいのこと図書館にでも行って調べてくださいよ。」
「でも外に出たくないじゃん?」
「まだそれを言うんですか?そう言ってもう10年になりますよ。」
するとユリウスさんはこっちに向いて言った。
「紹介するね。この娘はユノ。私が作った人造人間で作ってから90年くらいになる。仲良くしてやってくれ。」
「よろしくお願いいたします。」
「はい。こちらこそお願いします。」
「他にも人造人間は2人いるけど今日はいないからいいか。」
と、ユリウスさんは呟いた。すると、突然思い出したように言った。
「ユリウスさんって呼び方は堅苦しいからやめよう。
代わりに素敵な錬金術師さんって呼んでくれると嬉しいな。」
すると、横からユノさんが言った。
「そんな変な呼び方じゃなくてもいいんじゃないですか?例えば、先生、教授とかでどうですか?」
「そうか。じゃあ、アリアちゃん先生、教授のうちのどっちかで呼んでよ。」
「はい。わかりました。」
「じゃあ明日から錬金術を教えていこう。今日は終わりにしよう。」
「はい。今日はありがとうございました。」
そして私は扉を開けると部屋から出た。今日1日のことを振り返ってみる。
私はひょっとしたらすごい人と関わってしまったのかもしれない。と思っていた頃の私はこれから起こる様々な事件のことなど知るよしもなかったのでした。