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病弱勇者と過保護な魔王  作者: ヤナギ
第一章 病弱勇者
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猫耳は最高


 フェニスに呼ばれて食堂に向かうと、昼食とは思えない豪華な料理が並べられていた。

 色とりどりの野菜から、魚をメインにしたムニエルやあんかけ、刺身に鍋なんかもある。量も多くて、豪華というよりは豪快かもしれない。



 その華やかさに俺もメディも目を丸くする。他のお客も何事かと見ている。(ちなみにランは、ウルマさんの所で今後の旅路を相談している)



「さぁエージさん。これが食べ物の真骨頂ですよ! 悲しい過去なんか忘れるぐらい美味しいにゃん!」


 何か勘違いされている気もするけど、せっかくの料理なので冷めないうちに食べることにした。



「いただきます」


 パク。もぐもぐ。ごくん。



 ぐすん。



 美味しすぎて涙が出てきたよ。味加減も抜群でどれを口に運んでも舌がとろける。噛むごとに個々の味がしっかりと感じ取れて、それでいてお互いの甘みを邪魔しない。

 何よりも、猫耳天使ことフェニスが作ってくれた事が最高のスパイスである。


「やばい、やばいわ。私の立ち位置が脅かされている?」


 メディは何かブツブツと独り言を言いながら、次々と料理を口に運ぶ。



「すっごく美味しいよフェニス。本当にありがとう!」

「ッ!?」


 フェニスは手に持っていたおぼんで口を隠し顔を赤らめる。そのまま火照った目でじっと見つめてくるけど、俺何かしたかな?


 なにかしたな、反省。




 かなりの量だったけど、あまりの美味しさに手が止まらずほぼ完食した。満腹のお腹をさすっていると、フェニスがお茶を持って来てくれた。


「ご馳走様ですフェニスちゃん」

「お粗末様でした」

「悔しいけど本当に美味しかったわ」

「ふふ、ありがとうございます」


 渡されたお茶を仲良く飲んでいると、フェニスがじっと見てから口を開く。


「お二人は姉弟なのですか?」

「いや、恋人」


 ぶはっ!?


 漫画のように盛大にお茶を吹くメディ。


「こ! こここっここ、こ、ここ、ここ!」

「ニワトリ?」


 俺のツッコミにメディのチョップが返された。


「いきなり何を言ってるのよエージ!?」

「ごめん、嫌だった?」

「嫌とかじゃなくて! 恋人って言ったら、その、手を、つないで、街でデ、デー、トしたり、ご飯、食べさせあったり。キ、キ、キ、キスを、する関係の事でしょ!? 恥ずかしいというか、こ、こんな所で堂々と言わなくても。・・・それでも、エージが望むなら、早いけど、こ、こ、恋人以上の、事をして、も」


 自身の髪に負けないほど赤くなるメディ。わなわなと震える手に持っている湯呑みにヒビが入っていく。


「フェニスちゃん、さっき食べた刺身はなんて魚なの?」

「あれはアゴネンの刺身にゃ」


 俺がフェニスの頭を撫でつつ猫耳をもふるっていると、メディが胸ぐらをつかんで揺らす。


「ねぇ、なんで話題変えたの? さりげなく猫耳触ってるよね? 私なんかより猫耳が良いのね、そうなのね!?」


「メディ、愛してる」

「んな!? 急に何を言いだすの! この街に来てから性格変わってない!?」


 俺はメディの手を掴み、ガーネットの瞳を覗き込む。ぴくっとメディが反応して静止する。


「メディ」

「な、なによ」


 ゆっくりと顔を近づけていく。隣にいるフェニスは、手で顔を覆いながら顔を真っ赤にする。だが指の隙間からしっかりと見ている。


「猫耳は最高」

「~~~~~~ッ!!」



 ぐんっっと腕を引かれると、俺の体は宙を浮いていた。フェニスの顔が驚愕に変わるのを見送りながら、俺はメディに背負い投げをされた。



「エージのバカァ! もう知らない! うわぁああぁん!」


 メディが泣きながら宿から飛び去っていくのを、割れたテーブルの上から見送る。



「い、痛い・・・ケホッ」




フェニス「大丈夫ですか?」

エージ「ゴホゴホ。少し辛いや」

フェニス「ではランさんに弁償してもらうにゃ」

エージ「俺の心配じゃない!?」



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