どうも、死神です
おや、こんにちはです
そうですね、だいたい21年ぶりです?
え、なんだか顔色が悪い?
うーん…心当たりはあるです、ストレスです
何か悩みがあるのかって?
ちょっぴり仕事が辛いんです
もしよければ、今日はちょっぴり愚痴を聞いて欲しいです
ペルセフォネ様をご存知です?
…え、知らない?じゃあハデス様は?
…ほっ、よかった。流石にハデス様すらご存知ないとなると、このお話の主題からして成り立たなくなるんです
ペルセフォネ様はハデス様の奥様なのです
むかーしむかし、神話の時代の頃にハデス様が地上から攫って(!)来たんです
で、愚痴って言うのはこの2柱のことなんです
実はですね、自分の仕事って、最近なかなか無いんです
YWHWさんの系列とか、悟りを開いた人たちとか、大手にシェア奪われちゃってるんです
ぶっちゃけ名前とか役職とか性格とか、そういう概念的な形で残ってはいても信仰って意味だと皆無に近いんです、うちのシェア
だから、自分やヒュプノス兄さんのような中、下級神はお仕事が無いんです
ああ、自分はたまーにお呼ばれして歌ってたりするです
みかん箱に乗って、鎌を女の子の姿にしてね!
…話が逸れましたが、本題はここからです
ここ最近、うちの冥府に来る人間もめっきり減ったので、自分暇してるんです
で、それを見たハデス様の一言
「お前、暇なら俺の手紙ペルセフォネに届けてこい」
はい、なぜ夫婦間で手紙?と思われましたね?
ペルセフォネ様は一年の4分の3をオリンポスで過ごされるので、冬以外は冥府にいらっしゃらないんです
正確には、ペルセフォネ様が冥府にいらっしゃるから冬になるんですけど、そこは置いておくのです!
兎に角そういう訳で、自分はお手紙を配達しに、オリンポスに昇ったんです
それで、ペルセフォネ様のところまで行ったんですけど、お手紙を見たペルセフォネ様の反応がね、とっても可愛らしかったんです
「まあ、ハデス様ったら…こんなに嬉しいお手紙を頂いたんですもの、すぐにお返事を書かなくちゃ!」
顔真っ赤にしてこんなことをおっしゃるんだもの、可愛いとしか言いようがないです
で、ここまでなら普通にいいお話なんです
けどね…いくら自分仕事ないからって、一日に5回も往復させることないと思うんです!
たったの5回と思うです?
けど、奈落の底にある冥府から天の上にあるオリンポスまで、1回往復するだけでもかなりきついんです!
冥府からオリンポスに昇るのって、人間に例えるなら、とっても急な階段を1000段以上登るような運動なんです!
オリンポスから冥府に戻るのも、まんまバンジージャンプなんです!
ひゅーん、ってそのまんま落ちてくんです!心臓にとっても悪いです!
自分、浮くことはできても飛ぶことはできないから、昇るのは体力的に、降りるのは精神的にとってもとっても辛いんです!
ヘルメス様に配達を代わってもらおうとも思ったんですけど、ヘルメス様は最近いろんな場所を旅してるんです
オリンポスにいらっしゃる神々の皆様も、ヘルメス様がどこにいらっしゃるのかはわからないそうです
だから、ずっと手紙配達は自分がやってたです…
すごいストレスで、円形脱毛症になったぐらいです…なんですかその目は、自分だって十円ハゲにもなるです!それくらい辛いんです!
けど、最近悪い事ばかりじゃないかな〜って思えるようになってきたんです
オリンポスの方にも、あなたのような顔見知りの方ができましたし、冥府と天上の行き来に慣れたので、手紙配達の必要のない冬場にはオリンポスに気軽に遊びに来れるのです!
え、サボるな?嫌だなー、これは正当な権利です
ハデス様に手紙配達をさせられることになった時、自分一人でサッサとトンズラしたヒュプノス兄さんに、死神の仕事を押し付けても罰は当たらないって、アテナ様とハデス様のお墨付きももらったんです
で、そろそろペルセフォネ様が冥府にいらっしゃるのも1月足らずです
ネクターの買い溜めとかしとくために、今日はオリンポスに来てるんです
うん?もちろんあなたに会いたいのもあるですよ?
けど、ネクターを買うような余裕は配達のときは流石にないですから、今のうちに買い置きしておきたいんです
え、自分で作った?うちに呑みにこい?いいんですか?やった!
あ、じゃあ外泊申請してくるです
え?なんでかってです?
冥府って門限あるんです。だから、門限より遅く帰る時は外泊許可取らなきゃいけないんです
うん?どうしました、そんな顔をして?
気にするなと言われましても…そうですか、わかったです
じゃあ、そうですね…2刻ぐらい後にここで合流しましょう
自家製ネクター、楽しみにしておくですよ?
タナトス:ギリシャ神話の死の神。もしくは死の概念そのもの。最近は手紙配達だけでなく、嫁といちゃつきたい冥府の王に自身の代行も押し付けられたりするようだ。
アンブロシアやネクターが好きなのを見るに、結構な美食家なのかもしれない。
ハデス様:ギリシャ神話における冥府の王。嫁さんに一目惚れして、いきなりさらって来た。
泣き落としでペルセフォネ様に冥府の食べ物を食べさせて、嫁さんを冥府に縛り付ける策士な一面も
ペルセフォネ様:ハデス様に拉致られた挙句、無理やり嫁にされてしまったお方。でも、今は結構ハデス様のことが好きだったりする。
大地母神の娘で、この世に冬が来るのはこの方が冬に当たる期間の間冥府にいるため。
娘が近くにいないと、お母さんやる気が出ないのよ…
娘を溺愛する母を持つと、なかなか苦労するようだ。
ヘルメス様:ギリシャ神話の配達担当。ゼウスの息子で、実は人間とのハーフだったり、生まれる前に母親をなくしていたり、そのためゼウスの太ももで胎児として過ごしたりしたなかなか波乱な生まれをしている。
現在は世界中を旅していて、オリンポスにはあんまりいない。
ヒュプノス兄さん:タナトスの兄で、眠りの神。そこから転じて、永遠の眠りで安らぎを与える死の神だったりもする。
タナトスに手紙配達を押し付けた引け目を感じていたが、そこに付け込まれて死神の仕事を全部押し付けられる。
どっちもどっち?
???:タナトスの知り合いでオリンポス在住。結構最近生まれたせいか、仕事や担当が割り振られていない、遊び駒てきな神様の1柱。
読者の皆様方次第では男にも女にも、タナトスの知り合いにも友人にも、恋人候補にもストーカーにもなるでしょう