過激なスキンシップがお好き BL
本編の合間に楽しめる息抜き間話です。
35歳の叔父(巽)と、甥の日常コメディ。
※叔父ですが、幼少期からの名残で「巽兄さん」と呼んでいます。
覇王 巽
35歳独身、覇王グループの末っ子
頭もよく、クールなイケメン 金持ち
有名な精神科医
元は、心理学者
プロファイリングの凄腕
警察に何度も協力して難事件を解決している。
こんなスペックの持ち主
女性なら、絶対ほっとかないはず……なのだが…
・*:.。..。.:*・'・*:.。. .。.:*・゜゜・*・*:.。..。.:*・'・*:.。. .。
「フユキ〜、たまには兄さんとゲームで遊ばない?」
精神科医としての優雅な微笑みを浮かべ、巽兄さんが差し出してきたのは一本のゲームソフトだった。フユキは怪しむように眉をひそめる。
「ゲーム? 僕、忙しいんだけど」
と冷たい態度
「まあまあ。ルールは簡単。最後まで画面を消さずにプレイ出来たら、フユキの勝ち。僕が何でもご褒美をあげる。でも……途中で電源を切ったら僕の勝ち。フユキからご褒美をもらうからね」
『ご褒美』という言葉に引っかかりつつも、巽兄さんの自信満々な顔が少し癪に障った。
有名な精神科医で、元々心理学者でもあるこの叔父は、フユキの性格など百も承知のはずだ。「どうせすぐに諦める」と高を括っているに違いない。
「……いいよ。切らなきゃいいんでしょ」
乗せられたと分かりつつも、フユキはコントローラーを受け取った。
画面が立ち上がり、オープニング映像が流れ始める。美しい男性キャラクターたちが、一人の主人公を巡って愛憎劇を繰り広げるストーリーのようだ。
(なんだ……BLゲームか)
グロテスクなホラーや過激な脅かし要素を予想していたフユキは、思わず胸を撫でおろした。恋愛ものなら耐えられない理由がない。これなら余裕で最後までいける、と確信した。
……甘かった。
ストーリーが佳境に入り、核心ルートへ突入したあたりから、画面の雰囲気が急変し始めた。効果音とともに、フルボイスの過激なスキンシップシーンが始まり出す。
『フユキ……ほら、ここが濡れてるぞ……』
「……っ!?」
イヤホン越しではなく、部屋のスピーカーから響き渡る低音ボイスに、フユキの動きが完全に止まった。
(おい……! なんで主人公の名前が『フユキ』なんだよ!?)
ハッとして隣を見ると、巽兄さんが「うふふ」と楽しそうに眼鏡の奥の目を細めている。初期設定の名前入力画面で、巽兄さんが勝手に打ち込んでいたのだ。
『フユキ……ここをほぐさないと……俺のものが入らない……』
「あ、ありえない……っ!」
スピーカーから流れるのは、あまりにもリアルで吐息混じりのボイス。恥ずかしさのあまり全身の血が巻き戻ったように顔が熱くなる。フユキは咄嗟に ソファの上にあった毛布を頭からかぶり、丸くなって悶絶した。
(やめて……マジでやめて……っ!)
毛布の中で耳を塞ぎたくなるが、ゲームを切ったら負けだ。しかし、聞こえてくる声の主——主人公を押し倒している『先生』と呼ばれるキャラクターのトーンや言葉遣いが、どう考えても目の前にいる巽兄さんにそっくりすぎる。
(てか! よりによって、なんでこのルートなんだよ……っ!?)
巽兄さんの誘導に乗せられて選択肢を選ばされた結果が、これだ。精神科医のプロファイリング技術が、完全にフユキをこのルートに叩き込むためだけに悪用されていた。
毛布の中で耳まで真っ赤にし、息を荒くして耐えるフユキ。
その時、スピーカーから最大級に甘く、妖しい声が響き渡った。
『フユキ……動くぞ……』
「ギィヤァァァァァーーーーーッ!!!」
パチンッ!!
耐えかねたフユキは毛布を蹴散らし、叫び声を上げながらゲーム機の電源ボタンを叩き切っていた。
部屋に静寂が訪れる。フユキの荒い呼吸だけが響いていた。
「はーい、僕の勝ちぃ〜♪」
巽兄さんは嬉しそうに手を叩き、ご機嫌そのものの笑顔をフユキに向けた。
タイトル画面の『過激なスキンシップがお好き。BL』という文字が、切られた画面の残像としてフユキの脳裏に焼き付いている。
フユキは肩を上下させながら、ギギギ……と首を曲げて巽兄さんを睨みつけた。
「巽……にぃ……っ!」
ぼかっ!!!
容赦ないフユキの拳が、巽兄さんの頬にクリーンヒットした。
「あぁ〜……あぁぁ〜〜〜♪」
殴られて壁に背中を打ち付けた巽兄さんは、痛がるどころか、恍惚の表情を浮かべている。
「……気味が悪い……っ!」
赤くなった顔を隠すように背を向けたフユキと、殴られたご褒美に大満足して「またやろうねぇ♪」と頬を押さえる巽兄さんであった。
ご覧いただきありがとうございました!
初めての投稿になります。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。




