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⭐️キュアアップ!✨  作者: モノクロ無彩色


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変身後の世界と初めての戦闘

――風が変わった。


変身を終えたひよりは、しばらくその場に立ち尽くしていた。大人の身体は、まるで自分のものじゃないみたいに軽くて、強くて、どこか不思議だった。


「……これが、わたし……?」


伸びた手足。落ち着いた大人の声。そして胸元に輝く魔法の紋章。


『ひより。この世界では“子どもが戦う”のは危険なんだ。だから、ひよりは“戦える姿”になったんだよ』


「戦える姿って……こんなに大人に……?」


ひよりは戸惑いながらも、自分の長い手足をそっと動かしてみる。


キュアの声はどこか誇らしげだった。


「う、うん……すごい……。でも、なんか……恥ずかしい……」


ひよりはローブの裾をぎゅっと握りしめた。10歳の心は、突然の“大人の姿”に追いつけない。


『大丈夫。ひよりはひよりだよ。 姿が変わっても、心はそのまま。だからこそ――』


キュアが言いかけたそのとき。


――ズシン。と、地面が低く震えた。


「……え?」


風が止まり、草の揺れがぴたりと静まる。ひよりの背筋に、ひやりとしたものが走った。


丘の下の草原で、黒い影がゆっくりと動く。赤い光が二つ、闇の中でぎらりと光った。


魔獣。


「な、なにあれ……!? アニメのより……ずっと怖い……!」


ひよりの声が震える。大人の身体でも、心はまだ10歳のまま。


魔獣がひよりに気づき、地面を蹴ってこちらへ向かって走り出した。


「ひっ……! む、無理……!」


胸の奥で、さっきまでの自信が一瞬で凍りつく。


そのとき――ひよりの胸元の紋章が、ふわりと光った。


『ひより』


キュアの声が、いつもより落ち着いて響く。


『大丈夫。ひよりは頑張れる子だよ。 でも……今はまだ、ひより一人じゃ魔力が足りない』


「……え?」


『だから――今回は、僕が力を貸すよ』


ひよりの胸元が、ぱあっと明るく輝いた。光がひよりの腕へ、指先へと流れ込んでいく。


「キュア……力を……?」


『うん。ひよりが“守りたい”って思ったその気持ちに、 僕の魔力を重ねるんだ』


魔獣がさらに距離を詰める。ひよりは震える手を胸元に当てた。


「……わたし……守りたい……! 怖いけど……逃げたくない……!」


『その気持ちがあれば十分だよ』


キュアの声が優しく、でも力強く響く。


『ひより、手を前に出して。 僕の魔力を……ひよりの“心”で撃つんだ』


ひよりは息を吸い、震える手を前に突き出した。


胸元の紋章が強く輝き、ひよりの指先に光が集まっていく。


「……キュア……一緒に……!」


『うん。一緒にいこう、ひより』


魔獣が咆哮し、ひよりへ飛びかかる。


ひよりは目を見開き、叫んだ。


「――いっけぇぇぇぇっ!!」


光が弾けた。


――バシュウッ!!!


眩い光の奔流が、魔獣の胸を直撃した。衝撃で魔獣の巨体が大きく揺れ、草原に叩きつけられる。


「……っ、はぁ……はぁ……!」


ひよりは肩で息をしながら、倒れた魔獣を見つめた。立ち上がる気配はない。


『ひより……勝ったよ!』


「……わたし……勝った……?」


ひよりの胸に、じんわりと温かいものが広がった。それは恐怖でも、混乱でもない。


――自分の力で“誰かを守れた”という実感。


「わたし……本当に戦えたんだ……!」


ひよりは思わず笑顔になった。その笑顔は、10歳の少女のままの、無邪気でまっすぐなものだった。


しかし――


魔獣の身体が、黒い霧となって消えていく。


「え……?」


『ひより、気をつけて。 魔獣は倒されると“魔核まかく”を残すんだ』


霧が晴れると、地面に小さな青い結晶が転がっていた。


「これ……?」


『魔核。魔獣の力の源だよ。 街ではお金として扱われることもある』


「お、お金……!?」


『ひより、冒険者になるなら必要な知識だよ』


「ぼ、冒険者……!? わたしが!?」


『うん。ひよりはこの世界で“戦える”んだ。 だから――』


キュアの声が、少しだけ優しくなる。


『街へ行こう。ひよりの“物語”は、ここから本格的に始まる』


ひよりは青い魔核をそっと拾い上げた。その小さな結晶は、ひよりの初めての“勝利”の証だった。


「……うん。行こう、キュア!」


風が吹き、ひよりのローブが揺れる。10歳の心と、20歳の身体。その両方を抱えたまま、ひよりは街へ向かって歩き出した。

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