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⭐️キュアアップ!✨  作者: モノクロ無彩色


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シャリンの魔道具店・裏手

ひよりが魔道具店の扉を開けると、店主の女性――シャリンは


「おかえり。早かったじゃない」


と艶やかに微笑み、店の奥にあるバックヤードへと案内してくれた。

バックヤードの奥を抜けた先は、広々としたダイニングキッチンに繋がっており生活感のある普通の住居になっていた。


「そこに座りなさいな」


促されるまま木製のテーブルにつくと、シャリンは手際よく温かいお茶を淹れてくれた。


「私はシャリン。この店の店主よ。あんたの名前は?」


「ひよりです」


シャリンはお茶を口に運びながら、ひよりの姿をじっと見つめた。先ほどまで綺麗だった藍色のローブが、あちこち白く擦れ、埃だらけになっている。


「ところでひより。あんた、服が酷いことになってるけど、一体全体どうしたの?」


ひよりは出されたお茶を美味しそうに飲みながら、事の顛末を話した。おつかいの帰り道、10歳の女の子・サーシャと仲良くなり、彼女の後をついて裏道の近道を通ってきたのだと。


それを聞いた瞬間、シャリンは驚きのあまり目を見張った。


「はぁ!? あんた、まさかあの『超極狭通路』を通ってきたの!? よく……よくその体であそこを通れたわねぇ……」


シャリンの視線が、ひよりの細いウエストと、そこから文字通りドカンと突き出た規格外の爆乳へと向けられる。タイトなローブに包まれた双丘は、座っている今もテーブルの上に乗っかりそうなほどの圧倒的な存在感を放っていた。


ひよりはその時の苦しさを思い出して、ううっと身を震わせた。


「本当に、壁に挟まれて死ぬかと思ったよぉ……。おっぱいがギューッて潰れて、息もできなくて……」


「あははは! そりゃそうでしょうよ!」


シャリンは愉快そうに大笑いした。


「私もね、大人になってからは、あそこは狭くて通れなくなったのよ。でも、あんたくらいのボリュームがあっても通れるなら、実は私もまだいけるのかしらね?」


「わたしはもう絶対に通りたくないです! 次に通ったら本当に挟まって動けなくなっちゃうかも……。服もミシミシいって、破れそうだったし……」


ひよりが涙目で訴えると、シャリンはさらに楽しそうに肩を揺らして笑った。


「ふふ、じゃあ次は別の裏道を使いなさいな。サーシャなら知っているはずよ。あの子たちがよく使う、もうちょっと広いルートがあるからね」


ひよりは「へぇ、そうなんだ」とコクコクとうなずいた。



【物置部屋の片付けと、エッチな古着】


「さてと。世間話はここまでにして、まずはそうだね。あんたの寝る場所を作らないとね」


シャリンは立ち上がると、ダイニングの隣にある木製のドアを指差した。


「もともとは私の部屋だったんだけどね、今は2階の方が日当たりが良いから、ここは物置になってるのよ。ベッドは当時のまま置いてあるから、さっき埃を魔法の『ウインド』で吹き飛ばして、お布団も『クリーン』できれいにしておいたわ。ちょっと片付ければ、寝る分には平気なはずよ」


シャリンはそう言って、ひよりに箒や雑巾などの掃除用具をいくつか手渡した。


「床に置いてあるものは、適当に重ねておけば通路ができるから。あとは窓を綺麗に拭くといいわ」


(わぁ、これってアニメで見たやつだ! 主人公が屋根裏部屋を掃除して、自分の部屋にするやつ……!)


ひよりは10歳児らしくワクワクしてしまい、


「はい! ありがとうございます!」


と元気よく掃除道具を抱えてドアを開けた。


――ガチッ。


「え?」


ドアを開けた瞬間、ひよりは一歩も中に入れず、その場で硬直した。

ドアを開けたら天井に届かんばかりの大量の荷物がギチギチのすし詰め状態で詰まっていたのだ。ベッドの「ベ」の字も見えない。


ひよりの頭が再び数秒間フリーズした。

頭の中で、キュアが乾いた声で呟く。


『……物置だね』


(うん……。物置だね、これ……)


まずは中の物をどう積み上げるか考えようとしたが、そもそも自分が中に入る隙間すらない。仕方なくひよりは、まず部屋の入り口付近にある荷物を、ダイニング側へと引っ張り出すことにした。


大人の長い手足を駆使して、せっせと荷物を運び出す。

中から出てくるのは、きらびやかで露出の激しい、大人の女性用の衣類の束ばかりだった。布地が極端に少ないドレス、透けるシースルーのキャミソール、胸元が大胆にくり抜かれた衣装――。


運ぶたびに、ひよりの胸元で爆乳が


「たぷん、たぷん」


と柔らかく揺れ動く。


『……基本、エッチな服ばっかりだね』


キュアが呆れたように言う。


(うん、そうだね……。シャリンさん、こういうのばっかり着てたんだね)


ひよりが衣類の山を見つめていると、後ろからシャリンが声をかけてきた。


「あぁ、それね。もう私は着ない古い服だから、全部あんたにあげるわよ。これからうちの店に出る時は、それを衣装として着なさいな」


(ええっ!?)


ひよりは心の中で飛び上がった。差し出された服の胸元を見つめる。どれもこれも、シャリンの今着ている服と同じように、胸の谷間が丸見えになるデザインばかりだ。


(ねねえキュア、これ、おっぱいが半分くらい出ちゃうよ!? いいのかな……エッチじゃない?)


キュアが頭の中で素早くアドバイスする。


『そうだね、確かにかなりエッチだけど……中には比較的まともな、エッチじゃない服が混ざってるかもしれない。せっかくタダで部屋も服もくれるって言うんだから、ここは貰っておいた方が絶対いいよ。ほら、お礼して!』


「あ、は、はいっ! 服までたくさん、ありがとうございます!」


ひよりは慌てて、シャリンに向かって勢いよく深々と頭を下げた。



【胸元のマナー、大人の矛盾】


「――ちょっと待った、ストップ!!」


シャリンの鋭い声が響いた。ひよりは深く頭を下げた姿勢のまま、ピキッと動きを止める。


「え……? なんずか……(何ですか)?」


「ひより。そのまま、自分の胸元を見てごらんなさい」


言われた通り、ひよりは上体を折ったまま、自分の視線を下へと向けた。

重力に引かれ、藍色のローブの襟元がガバッと大きく開いている。衣服を押し破らんばかりの2つの巨大な果実――20歳のみずみずしい爆乳が、下に向かって


「たぷんっ」


と大きく垂れ下がり、深く濃密な谷間が完全に丸出しになっていた。

ひよりは素直に、見たままを口にする。


「……胸が見えます」


「いや、『見えます』じゃなくてね! 見せちゃダメなんだよ、それは!」


シャリンはおでこを押さえて、呆れたように、けれど諭すように言った。

ひよりは頭を上げて姿勢を戻した。胸が元の位置に戻る。


「え? なんで? ダメなの?」


10歳のひよりには、自分の胸を見られることがなぜいけないのか、本質的な理由がわからない。

シャリンは腕を組み、自身の豊かな胸元を強調しながら言った。


「なんでって……あー、それは『マナー』だからよ! お辞儀をするときは、手で胸元を押さえて、谷間を人に見せないように隠すの。わかった?」


ひよりは不思議そうに小首を傾げた。そして、シャリンの着ている紫色のドレスに視線を向ける。そこには、隠すどころか、これでもかとばかりに堂々と、成熟した大人の美乳と深い谷間が晒されているのだ。


「でも……シャリンさんは、今も谷間をいっぱい見せてますよ?」


「これはそういうデザインの服だから、見せていいのよ!」


シャリンは悪びれもせず胸を張った。


「あんたが今着ている服は『隠す服』でしょう? 隠しているものは、隠したままにするのがマナーなの!」


ひよりはさらに混乱する。


「じゃあ……さっきシャリンさんが言った、店に出るときにあの古い服を着るんですよね? その時は、どうすればいいんですか? 谷間が出ちゃう服のときは……?」


するとシャリンは、ルージュの塗られた唇をニヤリと吊り上げて、堂々と言い放った。


「その時は、堂々とするのがマナーよ! 隠す服じゃないんだから、恥ずかしがったら逆に失礼でダメ!」


隠す服の時は隠すのがマナー。見せる服の時は堂々と見せるのがマナー。


あまりにも自分勝手で矛盾に満ちた「大人のルール」を突きつけられ、10歳のひよりは完全にわけが分からなくなってしまった。


「は、はぁ……。よくわからないけど……わかりました!」


よく分からないけれど、大人の世界にはそういう難しい決まりがあるんだな、と強引に納得することにした。


頭の中で、キュアがやれやれとため息をつき内心で


(……たぶん、ひより全然分かってないな。よし、あとは丸投げしよう)


『まぁ、郷に入っては郷に従え、だ。そういうマナーなんだから、これからはシャリンさんの言うことをしっかり聞くようにね』


「うん、マナーなんだね!」


ひよりは素直に頷くと、再び掃除道具を握りしめ、物置部屋のダンボールへと立ち向かうのだった。

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