表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GOOD LUCK  作者: risiyakaea


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/18

第17話『戦利と代償』

ゴブリンキングの巨体が、地面に崩れ落ちた。


次の瞬間――

その全身が淡い光に包まれる。


やがて無数の粒子となり、静かに霧散していった。


森の音が、ふっと消える。


「……消えた……」


タクミは折れた短剣を握りしめたまま、膝をついた。


胸の奥が、まだ焼けるように痛む。


「タクミ!」


リナが駆け寄り、その場にしゃがみ込む。


「無事なの……?」


「……なんとか。ギリギリ……」


浅く息を吐いた、その直後――


胸の奥で、何かが弾けた。


「う……ぐッ……!」


思わず地面に手をつく。


心臓が暴れ狂う。


血液が、体中を焼きながら駆け巡るような感覚。


次の瞬間。


頭の中に、あの澄んだ声が響いた。


【レベルアップしました】

【10 → 11】


【レベルアップしました】

【11 → 12】


【レベルアップしました】

【12 → 13】


――止まらない。


【レベルアップしました】

【13 → 14】


【14 → 15】


【15 → 16】


加速する。


【16 → 17】


【17 → 18】


「ぐぁ……ッ!!」


筋肉が膨れ上がる。


骨が軋む。


身体の内側から“作り替えられていく”ような異様な感覚。


視界が歪む。


吐き気がこみ上げる。


【……】


【29 → 30】


「はぁ……ッ……!」


ようやく、止まった。



「タクミ!? どうしたの、傷が――!?」


リナの声が震える。


「……違う……これは……」


歯を食いしばる。


(レベルが……一気に上がりすぎてる……)


全身を駆け巡る、圧倒的な力。


重さ。硬さ。速さ。


まるで別の身体になったかのような違和感。


(強くなってる……でも……)


(このままじゃ、意識が……!)


必死に意識を繋ぎ止める。


やがて。


燃え盛るようだった苦痛が、ゆっくりと引いていった。



「タクミ……大丈夫……?」


リナが不安げに覗き込む。


「ああ……なんとか……」


荒い息のまま答える。


「多分……レベルアップ、で……」


「……にしては異常よ」


リナの声は低かった。


「普通は、一気にそんなに上がらないもの」


「……だよな。でも……」


タクミは息を整えながら言う。


「ロードとキング……連戦だったから……かも」


完全に納得はしていない。


だが、それ以上の説明もできなかった。


「とにかく……耐えられた」


ふと視線を落とすと、地面に何かが残っていた。


「……あれは?」


タクミはゆっくりと手を伸ばす。


拾い上げたのは――


黒曜石のように緑黒の結晶。


中心で、赤い光が脈打っている。


まるで“心臓”のように。


「……ゴブリンキングの魔核……」


リナが低く呟いた。


その声には、明確な緊張が混じっている。


結晶の表面には、血管のような赤い紋様。


それが、時折ぎらりと光る。


美しい。


だが同時に、底知れない恐怖を孕んでいた。


「ゴブリンキングの……魔核……?」


「…伝説級のアイテムね」


リナは目を離さずに言う。


「こういうものが存在するという話があるだけで、実際に入手できた話は聞いたことがないわ……」


タクミは魔核をそっと握る。


冷たいのに、奥に微かな熱を感じる。


不気味な感触が、掌に残った。


「……?」


そのとき。


もう一つ、小さな“石”のようなものが目に入った。


(これは……?)


拾い上げた瞬間――


頭の中に、言葉が浮かび上がる。


『森の王の記憶』


「……なんだ、これ……」


「どうしたの?」


「いや……これ、持った瞬間に……」


タクミは眉をひそめる。


「“森の王の記憶”って、頭の中に……」


「でも、何かが見えるわけじゃない」


「貸して」


リナが手を差し出す。


タクミはそれを渡した。


「……何も起きないわね」


「……やっぱりか」


タクミは小さく呟く。


(俺だけ……なのか……?)


(これも……運、なのか……?)


胸の奥に、わずかな違和感が残った。



「……とりあえず」


タクミは息を吐く。


「倒せた……んだよな……」


リナはその横顔を見つめた。


まだ少年の面影を残す顔。


だがその瞳には、確かな変化が宿っていた。


揺るがない光。


「帰りましょう、街に」


静かに言う。


「……ああ」


タクミは頷いた。


二人は森を後にする。


傷だらけの身体で。


それでも、確かな一歩を踏み出していた。

読んでいただきありがとうございます。

初投稿ですので、ブックマークや評価をいただけると励みになります。


毎日更新予定です。

時間は不定期とさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ