表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの日の約束を、同じグラウンドで。〜最強キャッチャーと少女たちの青春ソフトボール〜  作者: ジャスパー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/17

第七話 激アツじゃん

 ーーーソフトボールの大会、とりわけチーム主催の準公式大会においてスケジュールが狂うことはほとんどあり得ない。


 トーナメントを1日で終わらせる関係上、小学生ソフトボールの1試合はイニング数ではなく時間で区切られる。もちろん規定されている七回を全うすれば終わるには終わるが………60分という短い時間でそれをこなすのは容易なことではない。


 そうであるから、恭と父親がお昼ご飯に持ってきたコンビニの袋が空になる頃には、もう未来達は既に二試合を終えて準決勝に駒を進めようとしていた。


「…………意外と見てるだけってのも飽きないもんだな。応援席なんて何が面白いのか今までよくわかんなかったわ」


 恭のボソッとした呟きにうんうんと満足そうに目を細める父親。思いの外食い入るように試合を見つめる様子が意外で、なかなかいい食いつきだと笑みが浮かぶ。


 既に準決勝が始まり、未来達のチーム、ーーー後攻の金川は既にポジションにナインが散らばっている。


「どうだい恭くん。ここまで見てきてさ。」


「まずあのクソ速えボールに同じ小学生が当てられんのがビックリだよ。あの左の………彩音のボール、ブルペンで見た時は掠る気すらしなかったんだけどな。」


「ははっ……まあ、野球と比べて球が大きいからね。当たるには当たるもんさ。ただ………」


  彩音の腕が風車のように回転し、ボールが手から弾丸のように放たれる。初球から果敢にスイングをかけていった相手バッターのバットに当たりはするが……。


「これもポップフライか。押し込んでるな。」


「そうまともに前に飛ぶ球じゃないよ」


 パワーとスピードで押し勝てているのか、高めのストレートにみな詰まらされ外野にすら球が飛ばない。ショートストップのポジションを守る未来が二塁ベース付近で手と声を挙げキャッチする。


 はっと息を吐いた彩音。テンポよくキャッチャーからボールを受け取って、投げる。受け取って、投げる。簡単にツーストライクとバッターを追い込んだ。


「基本的にストレート、高めのストレートでガンガン押していく。そしてカウントが整ったら……」


  遠目からでもはっきりとわかる変化。左バッターの背中、明らかなデッドボールコースから切れ味鋭く曲がっていくスライダーは、明らかに打者を退け反らせながらストライクゾーンに入っていく。


 ーーーストライクアウト。


 あっさりと一回表を三人で片付けた彩音。こちらを見つけて目が合うと、鼻を鳴らすようなドヤ顔を披露して来る。「どんなもんやコラ」と。目は口ほどにモノを言うと言うがまさにそんな感じだ。


「彩音ちゃん以外には、恭くんのお眼鏡にかなう選手はいたかい?」


「そうだな………まあ、明らかに異質なのはこの一、二、三番だろうな」


 一回の裏のファイターズの攻撃。リードオフマンはなんと女子。先程恭が話しかけられた綺麗系の女の子。二階堂瑠衣である。


「さぁて………今日もお仕事しますか」


 瑠衣の構えは独特だ。極端なオープンスタンスでダウンスイング。まるで肩で担いだバットをそのままミートポイントで下ろすような。極度にミートすることだけに特化したバッティングフォーム。そして投げられたボールとバットがコンタクトするその瞬間、瑠衣は既に左のバッターボックスからスタートしている。


「ただのショートゴロに見えるんだけどな」


 少しばかり高いバウンドにショートが前に来る……だが、もう遅い。ボールを捕って投げる頃には、もう既に瑠衣はファーストのオレンジベースを駆け抜けた後である。あまりにも恐ろしいスプリントスピードに恭も言葉が出ない。


「くそっ……打ち取った当たりだろっ!」


 悔しそうなショートとバッテリーの声が聞こえて来る。恭は見ているだけだが、これを相手チームとしてやられたらと考えただけではらわたが煮えくりかえりそうだ。


「スラップ打法だね」


「塁間が短いからこその走り打ちか。野球じゃ絶対コーチに直される奴だけど、こりゃインチキそのものだな」


 内野にボールを転がされた時点で詰み。いや、たった数打席だからその認識でいいのかすらまだわからないが、こんな打者にどうやって対処すればいいのやら。


「しかも瑠衣ちゃんの本領はここから。塁に出てから本番だからね」


 ソフトボールは野球と違ってベースから離れてランナーがリードを取ることがない。ベースの上で体勢を低くしながらまるで短距離走の走者のスタートのように投手が投げるのを待っている。知識としては知っていても、真剣勝負の場でそれが起こるのを見るのは今日が初めて。あまりのシュールさに最初は笑ってしまった。


 ーーーボールが投手の手を離れたその瞬間、初球から瑠衣は二塁に向かってスタートを切る。


(初回から好き勝手やらせるかよ……!)


 相手キャッチャーはスチールを読んでいたのだろう。あからさまに外したストレートをすぐさま握り変えて万全の体勢で送球する、だがわずかに瑠衣の足がセカンドベースに早く到達する。


「はっえええ!あいつマジかよ!キャッチャーの送球だってそんな悪い球じゃねえのに!」


 ソフトボールの盗塁は野球と違って純粋なキャッチャーとランナーのガチンコ勝負。ピッチャーのクイックの上手い下手や運の要素が存在しない、純粋な読み合いと技とスピードの勝負だ。読み合いでは完全に相手のキャッチャーが勝っていたはずが、それをも圧倒してあまりあるスピードに思わず恭の声も荒くなる。


「さて次は二番の梅津くん。キャプテンだけどあんまり目立たない縁の下の力持ちタイプだよね。」


「そうっぽいけど……俺的にはコイツがイチオシだな」


 見るからに理知的そうな風貌。右打席に入る梅津はダメージを負ったバッテリーをすぐさま揺さぶるようにセーフティーの構えを取る。判定はストライク、カウントはワンボールワンストライク。


「セカンッ!」


「うっへえ………危ない危ない」


 キャッチャーは偽走して大きく飛び出したセカンドランナーの瑠衣を刺しにいく。キャッチャーからの牽制を貰った瑠衣は間一髪セーフだった。


「うわぁ!危なかったね!まだまだ無理する場面じゃないだろうにねぇ」


「………いや、このワンプレーだけでかなりの情報アドバンテージは取れた」


 牽制、偽走、守備の動き。ボールが投げられた瞬間、恭の目が素早く相手の守備の配置を追う。


(右が空いた)


 梅津は今度は最初からバントの構えをすると、投手のモーション中、それも本当にギリギリのところでヒッティングに切り替える。猛然と突っ込んできたファーストの横を鋭く抜くと、先ほどの瑠衣の偽走に釣られてセカンドベース側に寄っていたセカンドも逆を突かれて動けない。


 スタートを切っていた瑠衣は瞬く間に三塁を回ってホームに突入。クロスプレーになるまでもなく、金川ファイターズが一点を先行する。


「いいね………アイツとは仲良くできそうな気がしてきた」


 そして遂に、三番である絢辻未来が右バッターボックスに入場。やはり注目選手なのか、集まってきたギャラリーも未来には熱視線を送っている気がする。


「…………しょーじき未来は今日ここまで二試合あんま良くないな。打点も犠牲フライの一点。めっちゃブレーキ」


「とほほ………あんまり言わないであげて。恭くんに良いとこ見せようとして空回ってるんだよきっと」


「俺のせいかよっ!?」


 ーーー様々な条件を考慮するとはいえ、恭には未来がこのチームの三番を打っているということがあまり解せなかった。身体は同年代の女の子にしては大きいが、男子の選手と並んで目立つわけではない。スイングもそこまで鋭くは見えない。


(1試合目が8対3、2試合目が10対0。こんな強打のチームでなんで未来がクリーンナップなんだ?)


 この打席でも、どこか硬さの見られる未来はショートゴロ。二塁、一塁と送られてゲッツーを完成させられてしまう。内野手の素早い動きを見るに、相手も相当鍛え上げられたチームのようだ。


「だはぁ!!!もーーーっ!!!せっかく恭くんが見にきてるのにぃぃぃ!!!」



 ………思った以上に妹の空回り具合が凄い。



 ▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


 ここまで三試合を、見てきて金川というチームの戦い方、チームカラーをなんとなく掴めてきた。


「まずみんなめっちゃ振り鋭いな。周りに比べて身体もデカい。4.5年中心でこれだけ体ができてるチームは早々見たことない。」


 チームカラーはズバリ、脳筋攻撃型野球だ。メガネキャプテンの打席を見ておっと思った恭だが、全体を見ればキャプテンが稀有な存在であったと認識できた。


「とにかく打球速度が速え。クリーンナップに回すまでに足で掻き回してランナーをためてそこから筋肉でなんとかする。実際、なんとかなってるし」


 スーパーエースの三橋彩音に三振を取らせて、ノッた打線がバチボコに相手を燃やしまくる。そんな大虐殺野球がこのチームの理想の試合。

ただ三試合も見ていればだいぶ弱点も露呈して来る。


(守備下手すぎじゃね?特にセカンドショート。なんで未来が二遊間なんて守ってんだ?)


 センスを感じない訳ではない。詳しく言うなら……めっちゃ運動神経の良いサッカー部がメジャーのファインプレー集だけ見てやる守備……みたいな。基本が疎かになったまま守備センスだけでなんとかしようとしている感じ。この三試合、二遊間だけでエラーは五個だ。

 それを見て彩音はすぐにキレるし、気持ちが浮ついて来るとフォアボールで一人相撲が始まる。完全無欠のエースに見えたが、思ったより精神面で脆い。


 だがそんなささやかな弱点すら、打線の火力というこの圧倒的なストロングポイントに覆い隠される。


「スッゲェ………この試合も八点目。多少点取られようが関係ないなこれ」


 どちらかと言えば恭は守備をメインにした守り勝つ野球を教わってきた人間だ。ここまで守備を疎かにして、息を吐くように失点をしてもナイン含めベンチにも何一つとして落ち込んだ様子もない。


 十点差がついたところでサヨナラコールドゲーム。最終スコアは14対4。決勝進出にさぞ喜ぶ妹や彩音が見られると思ったが………一旦ブルーシートに戻ってきた彼らの表情に笑顔はない。

 もちろん沈んでいるわけではなく……むしろ闘争心に燃えたぎった、手のつけられない獣のような。


「おっと、あっちの準決も終わったね。相手は多分、岩代かな?」


「…………つええのかな?」


「特に今年の世代は強いけど………それだけじゃないね。あっちの監督さんとウチの監督さんが高校の同級生でね。しょっちゅう練習試合やらなんやら組んでるからね。つまり……」


「ライバルってことか」


 その試合は遠目から見ても異質だった。まるで負けたら終わりの夏の大会本番のような尋常ではない緊張感。マウンドで両チームのエースが毎回火花を散らしながらすれ違う。


「随分キレとるな。えらい調子ええやんか」


「ふふっ。彩音ちゃんこそ、ぜーんぜんバットに当てさせてくれないんだから………それでこそだよ」


 恭にとっては彩音に続き人生で見た2人目の女子エース。岩代の背番号1、名前を四葉花凛というらしい。


彼女の投球スタイルはシンプル。右投げの癖のないウィンドミル。球種はソフトボールでは一般的と言われるストレートとチェンジアップの二つ。この緩急を活かしたピッチングスタイルは王道。ソフトボールでは珍しくもなんともないスタンダードスタイル。だが、それがなぜスタンダードとされているのか、その理由を恭は目撃する。


「う、腕の振りが全く同じじゃねえか。あんなんどうやって打つんだよ」


 ここまで圧倒的な火力を誇って相手を薙ぎ倒してきた未来達。だが花凛のチェンジアップに前に出され、ストレートの勢いに差される。ストレートは高めに、変化球は低めに。ピッチングの教科書のような王道スタイルのゴリ押しで制圧していく。彩音に比べたらそこまで速くないストレートもチェンジアップの組み合わせでほとんど前には飛ばない。

 

 低めにコントロールされたストレートと腕の振りが全く同じチェンジアップ。これは小学生でもプロでも関係なく、単純に『魔球』だ。野球でもこのようなチェンジアップを投げる投手はいないわけではなかったが、ソフトボールにおけるチェンジアップはまさに魔球そのものだと感じる。


「…………未来」


 次々と凡打を打たされていく強力打線。だがその中でも粘って球数を投げさせる打者が一人。三番に座る絢辻未来。指一本分ほどバットを短く持って喰らいつく義妹の姿に、恭は熱視線を送る。


 結局高めのストレートを振らされて三振してしまったが、それでも恭はうんうんと頷きながら拍手を送る。


「かぁ〜〜〜!結局全球ストレートで押し切られちゃったかぁ!未来ぃ……お父さん胃が限界だよぉ……」


「いや、アプローチは悪くないよ。しっかりクサいストレートをカットしてチェンジアップを待ててる。良い感じだ」


 三振しても表情にはもう出ない。どころかさらに視線が鋭くなって、深い集中に入っている。正面からその姿を見た時に、これほど気温が高いのに、ゾクっと背中に冷たいものが走った。捕手の本能が、このバッターはヤバいと。そう自分に告げている気がした。




 


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


 丹内哲治、この男がこの金川というチームを率いてから、来年で20年にもなる。

 

 年齢も50を超え、子供達と酸い甘いも噛み締めながら駆け抜けてきた。今目の前のグラウンドで戦うナイン、いやベンチ含めた全員が歴代最強の逸材達であると感じていた。

 下級生の頃から才能に惚れ込み、心身ともに鍛え抜いてきた子供達。その実力はきっとこの県どころか、全国にすら届きうると確信するほどに。


 (だが………ここまできてもお前が立ちはだかるのか。ユージ)


 相手ベンチで脚を組みながら何やら選手にボヤいているのは高校時代からの友人……いや、戦友か。いやいや、好敵手か。同じように二十年のあいだ競い続けてきた、駒野裕司という県内でも名の知れた名将。丹内とは真逆の、徹底した守備のチームを毎年作り上げて来るライバルは、今年も凄まじい鉄壁の守りを見せつけて来る。


「がぁぁぁぁぁ!!!!今のっ……センター前っだろうが!!!」


「しゃーない、しゃーない。リョースケ。切り替え切り替え」


「おめえもスラップ対策されて全然塁に出れてねぇっだろうが、瑠衣コラぁ」


 とにかく球際が強い。ヒット性の当たりも難なく捌いて一塁でアウトにされる。セオリー通り、教科書を体現したような基本を突き詰めた岩代のソフトボール。打線が振るわずにペースを持っていかれる自軍には徐々に焦りと苛立ちが見え始めている。


「ストラックアウッっ!!!!」


「スッゲェ!これで六者連続三振っ!」


「これが次世代最強サウスポー三橋彩音!掠りもしねえのか!?」


 ギリギリの土壇場でスーパーエースが耐えてはいるものの……ソフトボールとは流れのスポーツだ。相手のバッターが粘って得たフォアボールから、リズムは狂っていく。


「あっ!!!」


「回れ回れ!!!」


 ーーーツーアウト二塁三塁、ここでセカンドが平凡なゴロをまさかのトンネル。致命的な2点が終盤に入ってしまった。


 やっとやっと抑えて帰ってくるものの、皆の表情は渋い。誰も勝利を諦めたわけではない、ないが……四葉花凛という奇しくも三橋彩音と同時に現れた稀代のスーパーエースから二点も取れる気がしない。打ったとしてもこの鉄壁の守備陣を抜ける気がしないのだ。


「カントクっ」


「未来…………」


「顔怖い顔怖い。ただでさえヤ◯ザの親分みたいな見た目なのに。選手が萎縮しちゃうよ?」


 そんな中でも飄々と集中を崩さない。チームの主砲そして、チームの精神的な支柱、絢辻未来。最近やっと11になったくらいの女の子に指摘されて初めて、自分の表情筋が強張っていたことを自覚する。


「丹内さぁーーん。最終回でーす」


「…………はいはい」


 審判からこの攻撃が最後であると告げられる。チームに残された猶予はたったのスリーアウト。だが絢辻未来はいつものようにニコッと笑うと、再び鋭く目を細める。


「大丈夫。絶対なんとかするからねっ」



▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 ーーーーーー『天性のホームランアーチスト』。こんな言葉を、野球に触れていれば嫌でもよく目にする。


 バットでボールをジャストミートするのではなく、少しだけボールの下を叩いて強烈なバックスピンをかけ、揚力を発生させることでスタンドまで運んでいく。特有の超高弾道はその証だ。

 その言葉通り、このセンスは後天的に身につくものではない。だからこそ希少。だからこそ……ホームランアーチストの弾道というのは野球人の誰もが憧れる、天才の証明であるのだから。


 食い入るような目で祈るように見つめていた、最終回の妹の打席。


 ーーー鈍い音がした。


 

  ジャストミートとは到底思えない、一見ただの外野フライ。だがその打球は風に乗ってレフトがどんどんどんどん下がっていって、そして打球はフェンスを超えた。


 絢辻未来は決して体格に恵まれている訳ではない。男の子並みのパワーがある訳でもない。だが、バットをボールの下に乗せてスタンドに運ぶセンス、そしてそれを可能にする緻密なバットスイングのコントロール。その一点を、同世代では並ぶものもないほどに磨き上げて来たのである。



 


「かっこいい…………」


 思わず、立ち上がった恭の体が震えて感嘆の言葉が口をつく。拳を突き上げ、大歓声の中悠々とペースを回る。野球人が憧れ、夢見るその瞬間。それを可愛い女の子の身でやってのける。


「すごいっ!俺の妹すごいっ!カッコいい!マジかっこいいっ!ヤバいっ……ヤバいって!」


「お、おちおちおち落ち着きなさい恭くんっ!」


「これが落ち着いていられるかっ!」


 身を乗り出して、目を輝かせる恭。ゾクゾクして、ワクワクして……さいっこうに気分がいい。


「いいなぁ…………」


 それは今まで隠し通してきた、心の奥底から漏れ出た言葉だった。ライバル達との熾烈で、バチバチで、ヒリヒリした凌ぎ合い。意地と、プライドのぶつかり合い。お互いに勝利を目指して、だが不思議と勝利に気負う様子もなくて。ただそのぶつかり合いが、何よりも愛おしいと。


 


 彩音の言葉が脳裏に蘇る。

 

 勝ち負けだけじゃない。


 その意味は、まだ完全にはわからない……けれど。


 ーーー確かに恭の心は燃えている。


「…………激アツじゃん」


 消えかけていたはずの何かが、胸の奥で静かに火を取り戻していた。


 

 

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ