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血みどろ冷酷・女嫌いの辺境伯の元へ王命で嫁がされたけど、もしかして溺愛されています?  作者: 青佐厘音


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5 王太子の嫌味を言い返し、エンスタタイト領へ


  「残念だったな。式の途中で中止とは。花嫁を置き去りなんて……、可哀そうにな!」


  振り返ってみるとこの国の王太子が、私を待ち伏せしてわざわざ話しかけてきた。

 ニヤニヤと嫌な笑いをして、私を見下していた。


 「置き去りではありません。エンスタタイト辺境伯は、自分の役目を果たそうと向かっただけです」

 言い返すつもりはなかったけれど、辺境伯を侮辱するのは許せなかった。

 「なっ!?」

 言い返されるとは思わなかったのか、王太子は私を睨んだ。


 「急いでいますので、失礼いたします!」

 カーテシーをして王太子から離れた。

 後が怖いけれど、王太子の嫌味に付き合ってられない。


 「グラシア様! こちらです!」

 ネネに着替えられる部屋へ案内されて、手伝ってもらってドレスを脱いで着替えた。


 「ネネは後から、護衛たちとエンスタタイト領へ向かって」

 「はい! え? でもグラシア様は!?」


 シュル……と、きれいに編み込んでいた髪を解いて一つに結ぶ。

 「これからエンスタタイト領へ、向かう」

 乗馬服に着替えて部屋を出る。

 「そんな! 危ないです!」


 「あとはよろしくね。ネネ」

 「……はい。絶対に無茶をしないでくださいね!」

 一度決心したらよほどのことでは変えない性格を知っているから、ネネは何も言わずに頷いた。

 ネネの肩をポンと叩いた。

 

 部屋を出ると部下が、馬を連れて待っていた。

 緊急事態だったので、密かに用意してもらった。


 「グラシア様。必要な物はカバンに入れておきました。私達も行きます!」

 「……ありがとう!」

 部下数人が、駆けつけてくれた。

 「行きましょう!」

 馬に飛び乗って走り出した。


 「お気をつけて――! 無茶しないように! 私は後から行きます――!」

 ネネが手を振って見送ってくれた。

 「グラシア様に続け!」

 部下たちと一緒に馬を走らせた。


 エンスタタイト領の近くまで、演習へ行ったことがあるので皆は道のりを知っている。

 天気は悪くない。このままいけば、今日中にたどり着けるだろう。

 整備された道だけど、魔物が出る森を抜けなければならない。

 少し不安だけれど行くしかない。

 

 「離れず、ついてきて!」

 「はい!」

 私の他に五人の部下がついてきてくれる。

 それも精鋭部隊の者達だ。


 彼女らを育てたのは私だけどそれぞれが努力した結果だ。

 だけどこうして私を慕ってきてくれる。――嬉しい。


 「でもまさか、グラシア様が王命でエンスタタイト領の辺境伯と結婚するなんて、思っても見ませんでした!」

 部下の一人が緊張をほぐすためか話しかけてきた。

 「そうそう! あの王太子が、裏で仕組んだって聞きましたよ!」

 馬で駆けながら会話が出来るほど、彼女らは馬術に長けている。


 「あの王太子は碌な事をしませんね!」

 「本当に!」


 かなりのスピードで駆けているのに悪口はとまらない。

 「……誰が聞いているかわからないわ。気をつけて」

 「は――い」

 「わかりました――!」

 このスピードじゃ聞こえないと思うけれど、不敬なので念のために注意した。


 王太子には色々ムカつく……、いえ、助言をいただいたけれど。

 何が足元をすくわれるかわからないので、よけいなことは言わない方が身のためだ。

 可愛い部下のために、小言も言わなければならない。


 「あ! 森が見えてきました!」

 前方に森が見えてきた。ここを抜けなければエンスタタイト領に入ることが出来ない。

 エンスタタイト領は王都から手前にある魔物が出る森と、国境にある強い魔物が出る森に挟まれている。

 手前の森は比較的弱い魔物だが、集団で襲って来る厄介な魔物だ。

 エンスタタイト領の向こう、国境にある強い魔物が出る森はとても一対一じゃ勝てない魔物が出る。


 そんな森に囲まれた、エンスタタイト領に住む者達は屈強な者達だ。

 侯爵令嬢が、そんなところで暮らせるわけがないと大半の者は思うだろう。

 王太子もそう思っている。

 だけど私は、兄と魔物狩りなどをして剣の腕を磨いた。

 久々に腕が鳴ると言ったら引かれるだろうか?


 「離れるな!」

 私が先頭になって森の道へ進んだ。

 「はいっ!」


 途中、魔物の群れが襲ってきたが馬上で倒しながら進んで行った。

 数は多いけれど弱い魔物。

 馬を走らせて交わして進む。

 「さすがグラシア様!」


 何度か魔物の集団に遭遇したが、とまることなく森を抜けられた。

 一人では森を抜けることは難しかっただろう。

 「いえ。あなた達がいてくれた、おかげよ」

 「そうおっしゃって下さると、嬉しいです!」

 礼を言うと部下たちは、頬を染めていた。


 

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