表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
血みどろ冷酷・女嫌いの辺境伯の元へ王命で嫁がされたけど、もしかして溺愛されています?  作者: 青佐厘音


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/17

15 傍若無人


 

  「グラシア様! 大丈夫ですか!?」

 エルサと他のメイドさん達が心配して、駆け寄ってきてくれた。


 「ええ。大丈夫だけど……」

 ナターシャ様のことが気にかかる。どこへ行ったのかしら。

 落ちたクッションを拾って、ソファーの元の位置へ置いた。


 「ナターシャ様は、いつもこんな感じで怒鳴っているの? それとも今日は、たまたまなのかしら?」

 振り返って、エルサや他のメイドさんへ聞いてみた。

 「ええっと……。あの……」

 メイドさんはナターシャ様より爵位が低いか、平民のはず。言いにくいのは察した。


 「私がお返事いたします。……そうですね。ちょっとしたことでも、おしかりを受けてしまいます」

 エルサが答えてくれた。

 「そうなのね……」


 このお屋敷のメイドさん達は、良く働いてくれていると思う。

 お掃除も行き届いているし、所作もいい。

 魔物や魔獣と戦っている騎士たちは動作が荒いけれど、命懸けで戦っている者達にそこまで求めていない。

 お屋敷を守ってくれている、メイドさん達へのナターシャ様の態度は良くない。


 「ちょっとゼイン様とお話がしたいわ。先にお伺いをしてくれないかしら?」

 「は、はい」

 エルサが走ってゼイン様の執務室へ行ってくれた。


 「ネネ、大丈夫?」

 ネネはナターシャ様と言い争っていた。

 「はい! いきなりやってきて、『ここは私の部屋になる予定なのだから、今すぐインテリアを変えて!』とおっしゃって……。でもこの部屋は、グラシア様のお部屋ですから!」

 ネネは胸を張って答えてくれた。


 エルサが戻ってきて「『今なら、大丈夫』とおっしゃられました」

 「ありがとう。今から伺うわね」

 エルサに礼を言って、ネネに向かって話しかけた。

 

 「そうだったのね、ありがとう。ゼイン様とお話ししてくるわね」

 ネネの肩をポン……、と軽く叩いて笑いかけた。

 「はい」

 ネネの眉間のしわが無くなった。


 「エルサ。政務室へ連れて行ってくれるかしら?」

 「かしこまりました」

 エルサはお辞儀をして、私をゼイン様の執務室の前まで連れて行ってくれた。


 

 「こちらがゼイン様の執務室になります」

 エルサは執務室の扉をノックした。

 「エルサです。グラシア様をお連れいたしました」

 少しの間があって、「入れ」という声が聞こえてきた。


 「失礼いたします」

 エルサが先に執務室へ入って、私は後から続いて入った。


 重厚な机の上に書類が山ほど積まれていて、ゼイン様は椅子に座って書類にサインをしていた。

 側に側近の人と、ナターシャ様が立っていた。

 

 どうして、ゼイン様の執務室へ……?

 驚いているとナターシャ様は、また私を睨んできた。


 「ゼイン様。お仕事中、申し訳ございません」

 お仕事中に邪魔をしてしまって申し訳ないと思い、頭を下げた。

 「グラシア!?」

 ガタッ! と椅子から立ち上がって私を見た。

 

 どうやらゼイン様へ声をかけてから、私に気が付いたようだ。


 「少し、休憩をする! グラシア、お茶に付き合ってくれるか?」

 ゼイン様は、私が来て嬉しそうに近づいてきた。

 「よろしいのですか?」

 ちらっとナターシャ様を見ると、悔しそうな顔をしていた。


 「もちろんだ。行こう」

 「は、はい」

 ゼイン様は私の手を握って、執務室から出た。


 私の手を握るゼイン様の手は大きくて、ゴツゴツしてとても素敵な手だった。

 少し歩くのが早くて、追いつくのが大変だった。

 私も歩くのは早い方だがゼイン様の歩く幅が違うので、どうしても置いて行かれてしまいそうになった。


 「あっ! すまない。歩くのが早かったようだな。グラシアはドレス姿なのに配慮がなかった」

 そう言って歩く速度を緩めてくれた。

 優しいのね……。

 半歩前を歩く、ゼイン様を見上げて凛々しい横顔に見惚れた。


 途中で会ったメイドへ、お茶の用意をしてくれるように頼んでくれた。


 お庭が見える、大きな窓のお部屋へ連れてきてくれた。

 ゼイン様がその窓を開けると、そこからお庭へ出られるようだった。

 白いレースのカーテンが風になびいて、きれいだった。

 

 「お庭から風が入ってきて、気持ちが良いですわね」

 お日様は優しく部屋を明るく照らして、お茶をするには快適な場所だ。


 「気に入ってくれたなら良かった」

 きつい顔をしていたゼイン様の顔が和らいだ。

 優しい日差し。

 柔らかな表情を見せてくれて、頬が赤くなった。


 「好きな所へ座ってくれ」

 ゼイン様に言われて、二人掛けの低いソファーへ座った。

 「隣に、良いだろうか?」


 「はい」

 ゼイン様は、二人掛けの低いソファーの隣へ座ってきた。

 体が大きいので、ちょっと狭かった。


 お茶が運ばれてきて、私とゼイン様は静かにお茶を楽しんだ。


 「あの……、お仕事中でしたのに申し訳ございません」

 お茶を一口飲んで、話を切り出した。


 「大丈夫だ」

 ゼイン様のお茶を飲む所作は上品だった。

 大きな手で、小さく見えるティーカップが可愛い。


 ティーカップを置いてゼイン様の方を向いた。

 意外と近かったので動揺した。

 ゼイン様はゆったりとお茶を飲んでいる。

 

 「それで、ナターシャ様のことなのですが――」

 どのように話したらよいか、困ってしまった。

 しばらくの沈黙の後、思い切ってお話をしてみた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ