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血みどろ冷酷・女嫌いの辺境伯の元へ王命で嫁がされたけど、もしかして溺愛されています?  作者: 青佐厘音


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13 お屋敷にて


 

  「俺……いや、私は仕事がある。あとはエルサに案内してもらえ」

 「はい。ありがとう御座います」


 忙しいのに、お庭を自ら案内して下さった。

 不愛想だけど、ちゃんと私の話を聞いてくれる。


 控えていた側近の方と一緒に、ゼイン様は戻って行かれた。


 「私で申し訳御座いませんが、屋敷の中をご案内いたします」

 エルサがゼイン様に引き続き、案内してくれることになった。

 「ありがとう」


 ゼイン様の後姿を見送ってから、エルサに案内してもらうことになった。


 「では参りましょうか」

 エルサは、王都では女性にしては背が高いと言われていた私より、背が高い。

 王都では見ない肉汁たっぷりなお肉に、新鮮な野菜。

 幼少のころから鍛えていると思われる環境を考えれば……。

 エンスタタイト領の人々は王都の人より、体がたくましいのに納得できる。


 エルサを先頭に、私がお屋敷の中を歩いていくとお城で働く者達が道を開けてくれた。

 ゼイン様が宴の時に 『俺の妻になる者だ。俺と同等に接するように』とおっしゃってくれたためだ。

 でなければ、王都からやってきた侯爵令嬢なんて腫れもの扱いされるだろう。

 

 私の王都での噂は、ここまで届いているはず。

 『女のくせに、生意気』

 『はっきりものを言う女』

 『淑女らしくない侯爵令嬢』

 

 噂はどうにもならない。

 正々堂々としているしかない。


 エルサについていって、お屋敷の中を案内された。

 調理場まで案内されると、焼きたてのクッキーをいただいてしまった。

 「まあ! まあ! こんな調理場まで来て下さって、嬉しいです!」

 ニコニコと、嘘ではない笑顔で料理人さん達に歓迎された。


 「エルサ! お菓子が欲しくて、奥様をこんなところまでお連れしてきたんだろう?」

 エルサは、あきれ顔で年配の方に叱られていた。

 「バレてますね」

 苦笑して私に言うと調理場の人達は笑った。


 どうやらエルサは、幼いころからお菓子目当てで調理場に顔を出していたようだった。

 私は微笑ましくて笑顔になった。


 「わぁ……。奥様は美しい方だねぇ……!」

 そんな声が聞こえてきた。美しい? 聞き違いだろうか。


 「あっ……と! もう行きましょうか。ゼイン様に怒られる」

 エルサが慌てて調理場を後にした。

 「またいつでもいらして下さいね――! 奥様!」

 皆が手を振って見送ってくれたので、私も手を振り返した。

 奥様と言われるのは申し訳ないけれど、良い人ばかりなので嬉しかった。


 「礼儀作法のなってない者が、このお屋敷には多いです。どうか、お気を悪くなさらないでいただければと思います」

 エルサは、ペコリと頭を下げた。

 「気を悪くなんてしないわ。大丈夫よ。頭を上げてちょうだい?」

 お城では、陰口や本人の前で悪口を言われた。

 それに比べて礼儀作法なんて。

 「ありがとう御座います」

 お礼を言われた。

 

 「ただし……。このお屋敷を取り仕切る女主人として、最低限のことはやらせていただきたいと思っているわ」

 辺境伯夫人になったからには、女主人として最低限の指示をしないとゼイン様に迷惑がかかる。

 「もちろんです!」

 ホッ……としたような顔で、お礼を言われた。

 

 「……今までは、どなたがこのお屋敷の指示をしてたのかしら?」

 華やかさはないけれど清潔で、掃除が隅々まで行き届いていた。

 誰かの指示がないと、このように保たれない。


 「あっ……。親戚(はとこ)のナターシャさま、です」

 エルサはぎこちなく、名前を教えてくれた。

 「そう。ナターシャ様とおっしゃるのね。ご都合の良い時に、お会いしたいわ」

 私はニッコリと微笑んで言った。


 「ナターシャ様は、その……」

 はきはきと答えるエルサが言い淀んでいた。何か問題があるのだろうか?


 カッ! カツ、カツ、カツ、カツ……!

 ハイヒールの靴音が、こちらへ近づいてきた。

 そちらを見ると黄色いドレスに、赤色のリボンを髪につけた私より年下らしい女性が目の前にやってきた。

 石畳の床では歩きにくそうだった。


 「王都からやってきた()()()()って、あなた?」


 後ろにお付きのメイドを二人ほど引き連れてきて、いきなり私に【悪役令嬢】と言った。


 「……グラシア様。あの方がゼイン様の親戚(はとこ)のナターシャ様になります」

 エルサがそっと小声で教えてくれた。


 まだ私の知らない【悪役令嬢】という名前(二つ名)を知った。

 


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