第八話 ウンディーネって何?
ふわりとした風を感じて、目が覚めた。ベッドから起き上がろうとしたら、少しだけフラフラした。
「フランツェスカ!」「フランツェスカ様」
フリーダ様とニクシー様が駆け寄ってきた。
「おはようございます。フリーダ様、ニクシー様。」
「良かった…フランツェスカ、本当に、朝になって、目が覚めて…」
フリーダ様は悲しそうで、嬉しそうだ。
「大丈夫ですよ、目が覚めなければ、魔石になるだけですから。」
私は安心させようとして、そういったのに、フリーダ様は今までにないくらい怒りを顔に浮かべた。
「二度とそんなこと言わないで!」
「ごめんなさい。」
魔石を確保できれば、シュヴァルツヴァルトはもっと嬉しいと思うけど、なんでだろう。
起き上がると、少し、違和感があった。…ペンダントがない!
「ペンダント!ペンダントはどこですか?」
「ペンダントなら、隣のテーブルにありますよ。」
ニクシー様の言うことを確認しに、机を見た。ちゃんとキラキラした灰色のペンダントがあった。
「良かった。」
私は、ペンダントを握りしめた。このペンダントがあるから、フランツェスカになれたのだ。このペンダントをなくしたら、私は、私ではなくなるような気がした。
「フランツェスカ様、用意ができましたら、お医者さまのところまで行きます。」
「お医者様ですか?」
お医者さまとは、人の身体を見る人だ。確か、この屋敷にも何人かいたはずなのだが…
「はい。このお屋敷にはシルフの身体のことが分かる人がいらっしゃらないので、少し遠くまで行きます。」
「はい、わかりました。」
遠く…今度は何日かかるのだろうか…
ニクシー様と馬車に乗り込んだ。馬車に揺られながらウンディーネについての話をした。
「本日は、私の実家の近くのウンディーネの里まで、行きましょう。」
「ウンディーネですか?」
シルフ以外の魔法生物とは初めて会う。
「はい、ウンディーネは神聖な生き物です。」
「神聖ですか?人ではないのですか?」
今まで、魔法生物とは人間の道具として教えられてきた。けれど、昨日、人と同じものだと教えられた。今度は神聖な生き物?
「少し言葉を間違えましたね。ウンディーネは本当にすごい人たちです。優しすぎて、みんなから尊敬されている人たちです。」
「はい。」
優しい人は、私も好きだ。シュヴァルツタールの人たちとか。ウンディーネも人にやさしくしていたから、みんなから好かれているのか。
「ウンディーネは魔法を使って、氷を溶かしたり、人を治したりすることができます。」
「はい。」
私とは、また、違う魔法が使えるようだ。…まあ、私は魔法は今のところ使えないけれど。
「これから、ウンディーネのすごさについて、もっとお話しますがよろしいですか?」
「はい。」
魔法生物がなぜそこまで優しいとされているのか知りたい。
「まず、氷を溶かす魔法のすごさについて、お話しますね。人は、川が凍るととても不便です。水が使えなくなるので洗濯やお料理なども難しくなります。そこで、ウンディーネは神の使い…失礼しました、魔法を使って、氷を溶かします。すると、私達人間は水を使えるようになるのです。」
「すごいですね。」
魔法種族って、もしかして魔石にならなくても色々できるのだろうか…
「次に、ウンディーネは人の体を治すのに長けているのです。骨が折れても治してくれて、血が止まらなくなっても止めてくれる。それに、なぜか苦しんでいた人まで、元通りになったりもします。ウンディーネの魔法によって、私達はあまり死ななくなりました。大好きな人達とたくさんいることができるようになったのです。」
「本当にすごいですね。」
ニクシー様、もしかして、私のあった中で一番おしゃべりな人?
「更にですよ、これほどすごい力を持っていながら、私達を支配したりなどしないのです。人間は魔法が使えないから、ウンディーネの言うことを聞けとか言ってきません。なので、私達は、ウンディーネに対する信仰…つまり大好きでいることで、できる限り恩返しをしている…のが私の生まれ育った村なのです。」
私も、私のほうができるからと言って、他人に言うことを聞かせたい気持ちはあまりわからない。それがわからないのは凄いことなのだろうか…
「…話している間に、私の生まれ育った村の近くのウンディーネの集落の近くに来ました。」
今の時間は太陽がてっぺんの時間なので、思ったより遠くはなかったと、私は思った。
すると、突然、周りが見えなくなってしまった。私達、これからどうなってしまうのだろうか。




