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第九話 ウンディーネの里

 ニクシー様が急いで馬車を降りた。

 「ニクシーです。帝国の馬車で連絡もせずに来るご無礼をお許しください。ですが、どうしても見てほしい子供がいるのです。」

 すると、すぐに霧が晴れて、何人もの人たちが現れた。

 「なんだ、ニクシーか…」

 「いつも、シュヴァルツヴァルトの人たちは、村の人伝いで連絡してから来るからね…」

 「マンミンガムの人間が攻めてきたのかと思ったわ…」

 少し、人間とは印象の違う3人の人達は、ため息をついている。少し人間と印象の違う人達がウンディーネなのだろう。

 「本当に申し訳ありません。」

 ニクシー様は、深々と謝罪をしている。

 「で、その子供は?」

 ウンディーネたちは馬車に近寄ってきた。

 「フランツェスカ様、降りてきてください。」

 ニクシー様に従って、私は馬車を降りた。

 「シルフ!?」「どうして!?」

 ウンディーネたちを驚かせてしまった。

 「私はフランツェスカ・ヴァルヴィンド・フォン・シュヴァルツヴァルトと申します。えっと、シルフです。はじめまして。」

 私がカーテシーをすると、3人のウンディーネは顔を見合わせた。

 「…かわいい名前だね。私はゾヤ。」「俺はデーネシュ。」「僕はゲロルト。」

 しばらくしたら、自己紹介をしてくれた。

 「誰が連れてく?」

 「そこは女の子同士、ゾヤが連れてけよ。」

 ゾヤ様の言葉に、ゲロルト様が答えた。

 「じゃあ、診療所まで案内するよ。ニクシーとフランツェスカちゃん、着いてきて。」

 ゾヤさんに連れられて。診療所まで行くことになった。


 「フランツェスカちゃん、髪の毛、耳が隠れそうになってるから、耳の上から上の髪の毛はまとめておいたほうが良いよ。」

 「はい。」

 そうすれば、確かに、さっぱりしそうだ。あと、確か、フリーダ様もそうしていた。

 「失念しておりました。現在、フランツェスカ様のお世話をさせていただいているのは私ですので、このことは私に非があります。」

 「いや、なんで、ニクシーが謝るの?急いでいそうだから、入口では聞かなかったけど、フランツェスカちゃん、どこから来たの?シュヴァルツタールに限って、里からシルフを引き取るとかはしないでしょう?それに、フランツェスカって、この辺のシルフの名前っぽくないし…」

 「彼女は、マンミンガム帝国の奴隷でした。マンミンガムは最近になってようやく、魔法種族を人として認めることとなったので、解放されて、シュヴァルツヴァルトに引き取られることになったのです。」

 「帝国は、ようやく自分たちの過ちに気がついたの?」

 「…多分、外国からの圧力に耐えられなくなったからだと思われます。帝国も一枚岩ではありません。私の言えたことではないですが、帝国の、シュヴァルツヴァルト以外の予定にない来客には十分にご警戒くださいませ。」

 「もしかして、ニクシー、急に来て悪いなって思ってる?」

 「…はい。帝国の人間としては無礼を働いたと思っています。」

 「でも、その子、人間にはどうしようもないような病気なんでしょう?ウンディーネは病気の人を見捨てない。それは忘れないで。」

 そういったゾヤ様の目には確かな誇りが浮かんでいた。よく見ると、人間の目の黒いところが青くて、色がついているところにぐるぐるとした模様がある。

 「心に刻んでおきます。」

 「で、ニクシーとフランツェスカちゃんはどんな関係?」

 「私はフランツェスカ様の身の回りのお世話をさせていただいています。」

 「ふーん、フランツェスカちゃんのお世話係なんだ。ニクシーは、シュヴァルツヴァルトのお嬢様、フリーダちゃんのお世話もしてたよね?」

 「はい、今はフリーダ様とフランツェスカさまのお世話がかりをさせていただいています。」

 「…てことは、シュヴァルツヴァルトはフランツェスカちゃんを、貴族として育てようとしているってこと?」

 「はい、アーデルヘルム様もかなり悩まれたそうですが、フランツェスカ様をシュヴァルツヴァルトの養女として育てることを決意なさいました。」

 「…それ、帝国の他の人に狙われたりしない?」

 「そのようなことがないように、私が全力でフランツェスカ様を守ります。」

 「ふーん。ところで、フランツェスカちゃん。」

 「はい。」

 ゾヤ様は途端に私に話を振ってきた。

 「病気が治ったら、今度はニクシーのこと、フランツェスカちゃんが守ってあげるんだよ。」

 「守る…ですか。喜んでもらえるように頑張る以外に何をすればよいのでしょうか…」

 私がそう言うと、ゾヤ様は豪快に笑った。

 「フランツェスカちゃんの歳ならそれが一番だよ。でも、そうだね、守ると言えば、ニクシーを傷つけようとした人をぶっ飛ばすとか?」

 ぶっ飛ばす…やり方が全く思い浮かばない。

 「ゾヤ様、フランツェスカ様は今のところ、マンミンガムの淑女として教育しているので、戦いは教えてないのですよ。」

 戦えたほうが、良いだろうか。

 「戦い…どうしましょうか。」

 「…フランツェスカ様、今みたいにちゃんとお勉強することは、私達シュヴァルツヴァルトを守ることにつながりますからね!安心してくださいね。」

 「はい。」

 今は勉強を頑張ったほうが良いということだろう。

 「まあ、病気を治すのが一番大事だけどね。ほら、集落の診療所、着いたよ。」


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