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プロローグ

 私は暗い部屋にいる。

 暑い日にうるさいところで言われたことをやる日以外はいつもそこにいる。

 隣の房では、人間の見ているそばで、裸のシルフ(耳が長くて、魔法が使える種族はそう言うらしい。どうやら、私も『シルフ』だそうだ。)が二人いて、片方が片方に覆いかぶさっている。こうすると、シルフの赤ちゃんが生まれるらしい。

 暗い部屋のドアが開いた。経験則に基づくと、今日はとても最悪な時間を過ごすことになりそうだ。

 暑い日の朝以外に、暗いドアが開いた日は、外に連れて行かれて、私よりも大きいシルフの胸にある魔石をくり抜かれるのを見なければならないのだ。私はそれを見るときは、苦しくないように、少しだけ頭をふわふわさせるようにする。私よりも大きいシルフが人間に抑え込まれて、魔石をくり抜かれると、シルフはただの砂になる。そこから、人間が、のこった髪の毛や、たまに見つかる目の辺りにあったキラキラを拾ったあとに、私達は砂の掃除をしなければならないのだ。

 「魔法種族の奴隷制の撤廃の法案が施行された。ただ今より、魔法種族の保護を行う。」

 入ってきた人間がなんかよくわからないことを言っている。隣の房の人間は、なにか彼らになにか言っているが、鞭(後で知ったが、それは警棒というらしい)を入ってきた人間に取り出されて、大人しくなった。隣の房にいた二人のシルフは、立ち上がって、信じられないような顔で入ってきた人を見ていた。

 そして、二人にシルフは服を着させられた。

 私は人間に暗い部屋から連れ出されて、いつもとは違う、人の多いところに連れてこられた。そこにはシルフが並ばされていた。

 「シルフの男性が4匹。」

 「馬鹿!4名だ!」

 「失礼しました!シルフの男性が4名、シルフの女性が20名、シルフの子供が10名、無事保護が完了いたしました。」

 「よし、大人のシルフは、魔法種族安定支援センター行きの荷馬車に乗せろ。子供のシルフは、近くの駅まで荷馬車で送れ。」

 「了解しました。」

 そうして、荷馬車と呼ばれた、動物が後ろの箱を引いたものが私達の目の前に来た。人間とシルフと虫とネズミと猫以外の生き物を私は初めて見た。ちなみに、私は、猫が好きだ。見ているだけで疲れなくなる、私の知る限りで最高の生き物だ。後ろの大きな箱を引いている生き物は、猫よりは可愛くないが、ネズミや虫よりは可愛い、大きな変な生き物である。

 「子どもたち、さあ、荷馬車に乗って。」

 私は今までで一番優しく、箱に入るように言われた。


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