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夜勤族の妄想物語3 -6.あの日の僕ら2~涙がくれたもの~-  作者: 佐行 院


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87

守は早速仕事を開始した。


-87 3つのルールと朗報-


 2人は早速、新設された豚舎へと向かい、守は店主の指導の下で豚の世話をし始めた。ケデール曰く守は意外とセンスがあるとの事だ。


ケデール「おいおい、お前俺に嘘つきやがったのか?」


 ケデールはそう言いつつも顔がニヤついていた、どうやら新しい従業員の実力は店主の想像の斜め上を行っていたらしい。


ケデール「そうだ、今日は早めに店を閉めて呑もうか。守の事をもっと聞かせてくれよ。」


 守が久々の酒に笑顔を隠せずにいると、店の入り口から女性の声がした。


ケデール「お客さんだ、・・・ったく中の奴は何やってんだよ。はーい、今行きますね。」


 ケデールがその場を離れると守は可能な限りの事を行い、豚達の世話をし始めた。この世界の豚も日本の物と変わらない、そして・・・。


守「こいつら結構可愛いな・・・。」


 守が一言呟くと丁度店から戻って来た店主が応えた。


ケデール「そうだろそうだろ、愛着が湧いてくるだろう。俺もこの広大な土地に店を構えて良かったって思うんだよ。そうだ・・・、忘れてた。」


 突如何かを思い出したケデール。


ケデール「実はな、ここで牛や豚を育てるに当たってルールを3つ設けているんだ。」

守「「3つのルール」ですか?」

ケデール「ああ、この広大な敷地で牛、豚にストレスを与えず伸び伸びと自然に近い状態で育てる為の物だ。①可能な日は午前中、必ず外で放牧する。②化学肥料を使って育てた物を飼料として使わない。そして③、これが1番重要だ。この子達の世話をする時は絶対魔法を使わない。」

守「魔法が・・・、あるんですか?!」


 驚愕する守の横で店主は大爆笑していた。


ケデール「おいおい笑わせるなよ、魔法無しでどうやって生活するんだ。」


 夜7:00、早めに店を閉じたケデールは食堂の冷蔵庫からビールを取り出して守に渡した。


挿絵(By みてみん)


ケデール「守・・・、お前はこの国にどうやって来たんだ?」

守「入院中に毒殺されました、牛乳の中に入ってたみたいでして。」

ケデール「毒殺って・・・、差し支えなければ、詳しく聞いても良いか?」

守「実は俺より先に亡くなった母が投資家で、本人が所有していた持ち株を俺が引き継いだんですが、それを奪おうとした敵対する投資家に背後から刺された後毒を盛られまして。」


 守の発言に店主が顔を蒼白させ、数時間程呑み明かした後、2人は各々の部屋に入った。呑み過ぎたのかすぐに眠ってしまった守は、夢の中で誰かが呼んでいる事に気付いた。


声「宝田 守だな。」

守「そうですけど・・・、どうして俺の名を?」

声「私は全知全能の神・ビクターだぞ、当然の事だ。」


 守のイメージとは違い、眼前にはタキシード姿の男が1人。


守「でしたら、俺の恋人を知りませんか?森田真帆って言うんですが。」

ビクター「そやつなら確か・・・、俺の管轄外の世界にいるはずだ。ちょっと待てよ。」


 ビクターは懐からスマホを取り出して電話を掛けた後に守に告げた。


ビクター「どうやら時の流れにズレがあって、その真帆は既に結婚して子供もいるらしい。」


 守は少量の涙をこぼした、真帆が幸せそうで安心したのだ。


ビクター「そう泣くな、お前にも朗報だ。お前が愛した好美もこの世界におる。ただお前、この世界に来ようとするなと言われたんだろ?実は本人に口止めされていて居場所は言えないが特別に助言をやる、今いる店で働きながら店主に協力したらすぐに会えるぞ。」


 夢から覚めた守はこの世界に来て初めて、嬉し涙を流した。


守にとってこの上ない位の朗報。

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