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亮吾は真帆にタジタジだった・・・。
-84 必死な娘との楽しみ-
亮吾は娘から投げかけられたまさかの台詞にたじろいでいた。
亮吾「い・・・、いや、そう言う訳では・・・。」
その様子を見逃さなかった守は急いで恋人の父親の肩を持った。
守「認めてくれているみたいだよ、救急治療室で握手もしたから。」
守の言葉に安心した真帆は大きく深呼吸して落ち着きを取り戻した。
真帆「だったら良いんだけど・・・、何かごめん・・・。」
亮吾「良いんだ、元々パパの守君を責める様な言い方が悪かったからね。」
親子が談笑している所に警視総監が横から口出しをした。
龍太郎「亮吾、それは良いんだがお前は何しに来たんだ?まさか、昔みたいにサボりに来たんじゃないだろうな。」
亮吾「おっと、俺も用事を忘れてたから龍さんの事言えねぇな。一応守君の様子を見に来たんだけど退院の予定を伝えに来たんだよ。」
医師の言葉に1番に反応したのは娘だった。
真帆「パパ!!守はすぐ退院出来るの?!」
亮吾「真帆・・・、焦っちゃ駄目だよ。まだ何が起きるか分からないから用心は必要だけどそうだな・・・、5日後には退院出来るんじゃないかな。」
亮吾が言った退院予定までの期間は真帆が思ったよりも長かったらしい。
真帆「何でそんなにかかるの?」
娘の質問に冷静に答える父。
亮吾「食事とか元の状態に慣れるまで時間がかかるんだよ、真帆が守君とデートに行きたいって毎日の様に家で言ってたのは覚えているけど守君の体の事もちゃんと考えてあげないとね。分かったかい?」
真帆「うん、真帆待ってる。」
亮吾「良い子だ、後で苺ミルクを買ってあげよう。」
亮吾にとって真帆は何歳の扱いなんだろうか、ただ真帆にとって問題はそこでは無かったらしい。
真帆「真帆もう子供じゃないもん、大人だもん・・・。」
亮吾「うん、分かっているよ。大学も卒業したしちゃんと免許も取ったもんな。」
真帆「だから苺ミルクじゃなくて缶ビールが良い・・・。」
守「そっちかい!!」
子供扱いしないで欲しい、もう物を与えたら許すと思わないで欲しいと言うと思っていたらまさかの物品の変更、守は思いっきりツッコミを入れてしまった。
亮吾「ハハハ・・・、そうやってツッコミを入れる事が出来たらもう退院は近いな。」
守の言動に安心した亮吾、しかし油断は出来ない。
亮吾「でも手術をしてから間もないからいきなり常食は出せないよ、まずはお腹に優しい食事から摂って貰うからね。」
守「はい・・・、分かりました・・・。」
亮吾「どうした?何かあったのかい?」
守「いえ、ただ今夜の献立がトンカツとポテトサラダだったんで。」
亮吾「ポテトサラダはともかく、トンカツは今の君には重いと思うけどね。退院してから思いっきり食べなさい、今度美味しい串カツ屋さんを紹介するから真帆と行くと良い。」
真帆「デートの楽しみが増えたね、守。今はその為に我慢だね。」
真帆は守の背中を強めに叩いた。
守「痛ってぇ!!先生、今のは良いんですか?!」
亮吾「愛情表現って言う事で良しとしようか。」
龍太郎「お前は相変わらず娘に甘いな・・・。」
病室は一気に和やかな雰囲気に包まれた、これがいつまでも続くと良いのだが。
これからどうなる?!




