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夜勤族の妄想物語3 -6.あの日の僕ら2~涙がくれたもの~-  作者: 佐行 院


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78

父として組長は息子の様子をしっかりと見ていた。


-78 過去の優しい真相-


 躊躇いながら話す息子の様子を義理の父親は見逃さなかった、先程の幹部と同様に組長も大学受験に向けて必死に勉強していた豊の様子を見て影ながらに応援していたからだ。


組長(当時)「豊、無理していないか?お前の人生は他でも無くお前の物だ、お前の好きにして良いんだぞ。」

豊(当時)「無理なんてしてないよ・・・、本当に父ちゃんと一緒にいたいと思ってたんだ。」


 組長は即座に目の前の息子が嘘をついている事を見抜いた、目が泳いでいた上にあの日見た豊の眼差しを覚えていた為だ。しかし、その嘘が自分の為だと分かっていたので決して豊を咎めようとはしなかった。


組長(当時)「そうか、分かった。何度も呼んで悪かったな。すまん、ちょっと煙草を買って来てくれるか?」


 本人からの目線での昔話を語り終えた豊はゆっくりと目を開けた。


豊「それから数日後に例の取引と抗争があって、俺は組を追い出されたんだ。」


 すると、豊の話を聞いていた龍太郎が横から携帯を片手に声を掛けた。


龍太郎「豊・・・、そんな取引や抗争が本当にあったと思うか?」


 龍太郎の言葉に驚きを隠せない豊。


豊「ど・・・、どういう事ですか?」

龍太郎「ちょっと待てよ・・・。」


 龍太郎は何処かに電話して確認した。


龍太郎「おい剛毅ごうき、あの事を本人にそろそろ話しても良いか?と言うよりお前の口から話してくれよ。」


 電話の相手が了承したらしく、龍太郎はスピーカーフォンに切り替えた。豊は「剛毅」という名前に聞き覚えがあった。電話の向こうの男性は豊に優しく語り掛けた。


剛毅(電話)「豊・・・、元気にしているか?」

豊「父ちゃん!!」


 そう、電話の相手・剛毅は豊にとっての「父ちゃん」、阿久津組の組長だったのだ。


剛毅(電話)「豊、お前には本当に申し訳ない事をしたと思っている。許せとは言わないがせめてあの時の事を話させてくれ。」

豊「これは一体・・・。」


 困惑を隠しきれていない豊は訳が分からなくなっていた。


龍太郎「じゃあ聞くが、どうしてあの時現場にいるはずの俺があの橋の下にいたと思う?」

豊「偶然だったのでは・・・、なく?」

剛毅(電話)「実はな、赤江組の奴と龍さんに頼んで芝居を打って貰ったんだよ。」

豊「という事は父ちゃん、俺を騙したってのか?!」

龍太郎「待て!!剛毅はお前の為を思って俺達に頭下げたんだぞ!!」

豊「俺の為?!どうして?!」

龍太郎「お前には自分の心に正直に生きて欲しいと思ったからだろうが!!」


 龍太郎は豊の胸ぐらを掴んで叱責した、龍太郎の言葉に豊は涙した。


剛毅(電話)「豊、あの日お前が煙草を買いに行った後、俺は組員全員を呼び出して相談した。やはり全員、お前が真面目に勉強しているのを見ててな。お前には夢を叶えて欲しいと願っていたんだよ。そこで俺は龍さんと赤江組の組長に頭下げて頼んだんだ。」

龍太郎「実際、あの頃阿久津組と赤江組は互いに友好的だったし、剛毅はその上に堅気には決して迷惑をかけねぇって誓約書まで書いて来たんだぞ。豊、他の誰の為でも無くお前の為にだ。」

剛毅(電話)「図々しい話だったかも知れんが、お前の働き口等の相談をしたのも俺だ。龍さん、本当にありがとう。」


 電話の向こうで龍太郎に感謝して剛毅は泣いていた、店主兼警視総監は多くを語らず煙草を燻らせながら笑っていた。


挿絵(By みてみん)


龍太郎「馬鹿野郎、良い意味で堅気に迷惑を掛けやがって・・・。」


龍太郎は役に立てて嬉しかった。

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