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夜勤族の妄想物語3 -6.あの日の僕ら2~涙がくれたもの~-  作者: 佐行 院


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76

組長は見た目とは裏腹に義理堅く優しい人間だった。


-76 息子だから出来る事-


 目の前で唯一の肉親を撃ち殺された豊に同情したのか、組長は同じ目線に立つためにしゃがみ込んで頭を優しくゆっくりと撫でた。


挿絵(By みてみん)


組長(当時)「そうか、そりゃ辛かったよな。そうだ、これからは俺がお前の父ちゃんになってやる。一緒についておいで。」


 組長は組員に車を回させると豊を後部座席に招待した。


組長(当時)「そう言えばお前、名前は何て言うんだ?」

豊(当時)「渡瀬・・・、豊・・・。」

組長(当時)「良い名前だ、大事にしろよ。ちゃんと名前言えて、偉いな。」


 組長は再び豊の頭を撫でた。数十分後、車は阿久津家に到着した。組長は豊と手を繋ぎながら門をくぐった。


組員「お疲れ様です、組長!!」


 中にいた組員達が頭を下げていた。


組長(当時)「良いか豊、今日からこいつらと俺がお前の家族だ。安心して暮らすと良い、たださっきも言った通り親から貰った名前だけは大切にするんだぞ。」


 これをきっかけに豊は阿久津組の一員となった。

 数日後、外で1人遊びをしていた豊にある組員が声をかけた。


組員「豊、お前は俺達の事怖くないか?」


 顔に多数の傷跡がある組員は近くにある縁石に腰かけて静かに話しかけていた。


豊(当時)「お兄さん達の事を怖いと思った事は無いよ、父ちゃんが皆家族だっていってくれたもん。」

組員「豊・・・、お前良い子だな・・・。」

豊(当時)「どうしてお兄さんは泣いてるの?」

組員「だって組・・・、いや豊にはまだ早すぎるかな・・・。」


 組員が涙を拭いながら立ち上がると、豊は組員の足にしがみついた。


豊(当時)「教えて、父ちゃんに何があったの?」

組員「分かったよ、話すよ・・・。実はな、組・・・、いやお前の父ちゃんには昔、明って言う息子がいたんだ。お前の父ちゃんは明の学校の行事等には必ず出席する様にしてた、でも俺達は見た目がこの通りだから明は恥ずかしくなったのか嫌になったみたいで高校入学前にこの家から出て行っちまった。

暫くして、偶然その明に会った時に俺は聞いたんだよ。どうして家を出て行ったんですかって。すると・・・。」

明(回想)「俺な、父ちゃんや組員さんの所為で友達が出来なかったんだ。暴力団の家の人間だからって周りに怖がられて避けてられたんだよ、もうあんな思いをしたくなくて全然俺の事を知らない人ばかりの街でやり直す為に家を出たんだ。

この光景も誰が見ているか分からないから行くぜ、もう家に帰るつもりはないし見かけても話しかけるつもりもないから。じゃあな・・・。」

組員「そう言って明は走り去ってしまった、それから明が何処で何をしているのか掴めていない。ただ父ちゃんは探そうとしなかった、明が出て行った理由を父ちゃんなりに察したからだ。自分達の所為だって分かっていたんだよ、だから自由にしてやろうって気持ちで探さなかった。」


 組員は空を見上げて深呼吸し、豊の前にしゃがみ込んだ。


組員「豊・・・、俺お前に頼みがあるんだけど良いかな?」

豊(当時)「何?僕に出来る事?」


 組員はにこりと優しい笑顔を見せながら答えた。


組員「うん、豊にしかできない事だ。父ちゃんを元気づけてやってくれないか?」

豊(当時)「僕に・・・、出来るかな?」

組員「下っ端の俺達じゃなくて、父ちゃんの息子になってくれた豊だから出来る事だ。」

豊(当時)「うん、やってみる!!」


 これをきっかけに豊は組長をずっと裏切らずに活躍を続け、幹部になった。


豊(当時)「父ちゃん、組の方は安心してくれ。」


豊は幹部として活躍する事が組長(父ちゃん)の為だと思っていた。

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