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夜勤族の妄想物語3 -6.あの日の僕ら2~涙がくれたもの~-  作者: 佐行 院


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クリスマスの温かな思い出で和む守達。


-57 親孝行とは-


 王麗と真希子が店にある限りの鶏肉を揚げた物を肴にしてビールを楽しんでいる向かいで、サンタクロースに模したチキンライスや餡掛け炒飯を守と美麗が仲良く取り分けて楽しそうに食べていた。


守(当時)「母ちゃん、美味しいね。楽しいね。」

美麗(当時)「私、このお髭の所(餡掛け)好き。ママの料理で一番好きなんだ。」

王麗(当時)「あんたはそれ食べてる時本当にいい顔するね、母ちゃん嬉しいよ。」


 3人が談笑している中、真希子には気になる事が有った。


真希子(当時)「それにしても良いのかい?ありったけの鶏肉使っちゃったじゃないか、明日から店の方はどうするんだい?」

王麗(当時)「大丈夫だよ、明日には新しいやつが入荷するし賞味期限が近かった物を吐かせたかったから丁度良かったんさ。それに子供達も楽しそうにしているじゃないか、あんたも何も気にせず呑んでおくれ。」

真希子(当時)「それを聞いて安心したよ、それにしてもあんなアイデアをよく思いついたね。本当に豪華なパーティー料理になっちゃったよ、ただのチキンライスなのに。」

王麗(当時)「物は考えようだよ、それに自分が今着ている服がヒントになったんだ。結果オーライってやつだよ。」


 未だ終わりの知らせが来ない火葬場で王麗はあの日のパーティーでチキン等の食事を楽しんだ4人が決して大きいとは言えないが丁度いいサイズのホールケーキを仲良く食べた後、座敷で満腹になった守と美麗が仲良く眠っていた時の事を思い出していた。


挿絵(By みてみん)


王麗「そう言えばね、あの時真希子が守君の事を「親孝行者」だって言ってたよ。」

守「俺が?俺は母ちゃんに何もした覚えは無いけどな・・・。」

王麗「本人が言うにはね、不器用者だった自分が作った物を決して文句を言わずに笑顔で「美味しい、美味しい」って食べてくれていた事が本当に嬉しかったんだってさ。」

守「美味い物を美味いって言うのが「親孝行」だって?素直に言っただけなんだけど・・・。」

王麗「それが嬉しかったみたいだよ、やっぱり本人が言ってた通り何かと忙しかったからって母親らしい事を何一つ出来なかった事が悔しかったんじゃないかな、それでも守君がすくすくと育ってくれた事が何よりも嬉しい「親孝行」になってたと思うけどね。」

守「そうか・・・、ほぼ1日ずっとパートで働いてた母ちゃんの事凄いなって思ってたけど本人はずっと俺の事を考えていたんだな。実は俺さ、あんまり父親との記憶が無くて確かに「どうして自分には父ちゃんがいないんだろう」って思った事が何度かあったんだ。でも母ちゃんのお陰でそんな事も全然気にならない位に楽しかったとも思えるんだよ。」

王麗「そうかい・・・、そうやって真希子に笑顔を見せていた事が最高の「親孝行」になってたんじゃないのかい?守君が気付いてなかっただけなんだよ、当の本人である真希子がそう言ってたから間違いないよ。」

守「そうか・・・、俺こそ母ちゃんに何もしてやれなかったのにそんなに嬉しい事を言ってくれてたんだな。母ちゃん・・・。」


 王麗による思い出話の後、守が大粒の涙をまた流す中で真希子の火葬が終わったという知らせが入った。棺桶ごと焼けて骨だけになってしまった真希子を見てもう母には会えないんだという事を守は改めて実感した、この感情を抱いたのは好美の葬儀の時以来だ。


守「やっぱり慣れないもんだな、大切な人を亡くすって事はよ。」

真帆「慣れる事なんて出来ないんじゃないかな、誰にとっても別れは辛い物だと思うよ。」

美麗「真帆ちゃんの言う通りだよ、守君ほどじゃないけど私も辛いもん。実はね、真希子叔母さんとこんな思い出があった事を思い出したの。」

守「美麗と母ちゃんの思い出か・・・、良かったら聞かせてくれるか?」


 美麗は火葬場から屋外に出て大きく深呼吸をした後に語り始めた、美麗が高校生だった頃の優しい思い出・・・。

 ある日、王麗と龍太郎が「お使い(という名の捜査)」に出ていた時の事だ。美麗はお客さんも来ないと思うしすぐに戻るからと王麗に1人店番を頼まれていた、ただ当時の美麗が作れる中華料理は麺料理だけだった、それもお客さんには決して出す事の無い家庭の味。

 休日の時間を持て余していた美麗が店内で雑誌を読んでいると汗びっしょりの真希子が店へとやって来た、しかもかなりの空腹だった様だ。


美麗(当時)「おばちゃんいらっしゃい、でもパパもママもいないから何も出せないよ。」

真希子(当時)「そうかい、美麗ちゃんは何が作れるんだい?」

美麗(当時)「今だったら冷やし中華位かな・・・。」

真希子(当時)「暑いから丁度いいや、それくれるかい?」


 美麗は自信無さげに調理場へと入ると自分が知っている唯一の作り方で冷やし中華を作った、ただ見様見真似で作った物はやはり両親が作るそれに程遠い物だった。


美麗(当時)「自信無いけどこれで良かったらどうぞ。お金は・・・、いらないから。」


美麗が思い出した真希子との思い出とは・・・。

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