53
親友の言葉に嬉しくなる王麗。
-53 遺書と叱責-
守の言葉に再び涙する王麗、故人も同様に思ってくれていた事が本当に嬉しかった様だ。
王麗「最後の最後まで嬉しい事を言ってくれるじゃないか、それなのに何で・・・。神様も意地悪なもんだね。」
警視の言葉がより一層涙を誘ったらしく、守は立ち直れそうになかった。
そんな中、連絡を受けた真帆が病院に駆けつけて勢いよく守を抱きしめた。
真帆「守・・・、真帆に出来る事が有ったら何でも言ってね。真帆は守の味方だからね。」
王麗「真帆ちゃんだけじゃないさ、ここにいる全員が守君の味方だよ。」
守「ありがとう・・・、俺は1人じゃなかったんだな・・・。」
守が廊下の椅子に腰かけて何とか気持ちを落ち着かせようとしていると、事件の捜査を抜け出して来た美恵と文香が急ぎ足で駆けつけた。
美恵「守君、大変よ!!」
文香「勝手にやって申し訳ないけど遺品を整理してたらこれが出て来たの!!」
文香が懐から出したのは真希子からの遺書だった、守は静かに中身を確認した。どうやら弁護士の確認の下で本人が手書きで作成した物らしく、書面の右下には押印までされていた。
王麗「良かったら聞かせてくれる?何て・・・、書かれていたの?」
守は体を小刻みに震わせながら母の遺書を女将に渡した。
王麗「どれどれ・・・。」
遺書には真希子の持つ貝塚財閥の株券や土地、そして自らが管理していた家や財産全てを守に譲ると言う内容が書かれていた。
守「こんなの貰っても母ちゃんが戻ってくる訳じゃ無いだろう、結愛にも聞いたけどあっちの世界に母ちゃんがいたらしいんだ。好美と同じさ、もうここにはいないんだ・・・。」
美麗「守君・・・。」
美麗は両手を強く握って守を叱った。
美麗「何よ、いつまでもウジウジしてさ!!好美や真希子さんがあんたにずっと泣いて欲しいって言った訳?!」
確かにそうだ、2人は守に笑っていて欲しいとずっと尽力していたはずだ。特に真希子は母親として人生の大半を守との幸せな生活の為に捧げていた。その証拠に遺書でも自らの全てを守に譲ると書いてあったのだ、周りからすれば守は相当な幸せ者だ。
遺書には「宝田 守」と書かれていた通帳と印鑑が入っていた、どうやらこの様な事態がいつ起きても良い様に真希子が密かに貯金していたらしい。
守「そうだな・・・、取り敢えずこの金で母ちゃんの葬式をしてやらないとな。」
息子の発言を予想していたのか、故人は遺書にこうも書いてあった。
真希子(遺書)「尚、くれぐれも私の葬式は少人数で密かに行う事。私が貝塚財閥の筆頭株主だからと言ってマスコミに流さない事。」
遺書の最下部に書かれたこの記述にクスリと笑う王麗、遺書でも相変わらずの親友に笑わされていた。
王麗「真希子ったら、貝塚学園の事件で義弘を泳がせてた時もそうだったけど面白い事をしてくれる子だよ。渚と暴走族を追っかけまわしてた時も一手先を読んでいたもんね、最後まで突っ込む渚と登山口付近で退いてた真希子、2台で犯人を挟み撃ちにしてたっけね。その場で私達が手錠をかけてた事もあったもん、父ちゃんも覚えてるでしょ。」
病院の廊下で1人焦りの表情を見せる龍太郎。
龍太郎「ああ・・・、勿論覚えているが・・・。母ちゃん、今ので俺らの事がバレたぞ。」
王麗「へ?」
王麗が振り向くと刑事2人がずっと敬礼していた。
美恵「お2人が伝説の警視総監夫妻とは知らず、数々のご無礼、申し訳ありません!!」
珍しくやらかした王麗。




