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夜勤族の妄想物語3 -6.あの日の僕ら2~涙がくれたもの~-  作者: 佐行 院


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未だチャイナ服に慣れない香奈子。


-㊺ 涙雨か祝いの雨か-


 今回の2次会では敢えて高砂を作らず、回転テーブルでゆっくりと飲食を楽しめるようにした。いつもの松龍での楽しく酒を呑む香奈子、ただ自らが着る衣装が恥ずかしさを覚えさせていた。


香奈子「どうしてチャイナ服な訳?これって美麗の役割じゃないの?」

美麗「私も普段からそこまでがっつりとしたものを着るのは無いかな・・・。」


 理由は1つだけ、勿論龍太郎の趣味だからである。もしも自分の店で結婚式の披露宴やその2次会を行う事になったら花嫁に着てもらおうと用意していたのだった、ただ男性用の物を用意していなかったので少し違和感があるが。

 少し顔を赤らめる今日の主役を遠目に見ていた真帆がその姿を羨ましがっていた。


真帆「香奈子お姉ちゃん良いな・・・、真帆も守とあんな感じで結婚したいな・・・。」

守「う・・・、うん・・・。」


 チャイナ服姿の香奈子に学生時代の好美を重ねてしまっていた守、理由は他でも無く松龍でアルバイトを始めたばかりの頃の好美と出逢って守の恋が始まったからだ。

 ため息をつきながら紹興酒を呑む守を見た真帆が守の服を掴んで振り向かせた、恋人の表情は少しながら嫉妬心を感じさせた。


真帆「どうして真帆を見てくれないの、今の彼女は真帆なんだよ!!」

守「ご・・・、ごめん・・・。」


 再び紹興酒を口にする守、真帆は服を掴む手の力を強くした。


真帆「また好美さんの事を考えていたの?真帆は好美さんみたいにはなれないの?」


 真帆は体を小刻みに震わせ、大粒の涙を流し始めた。守は号泣する恋人にどう言った言葉をかければ良いのか悩んでいた。一先ず・・・、顔を近づけた・・・。


守「悪かったよ、そうだよな・・・。今の彼女は真帆、俺は真帆と新たな一歩を踏み出したんだよな。」

真帆「そうだよ、忘れちゃだめだって言ったじゃん!!」

美麗「守君、こんなお祝いの席で泣かせちゃ駄目でしょ!!・・・ってあらら。」


挿絵(By みてみん)


 守とキスを交わす真帆の涙の雫が床に落ちた瞬間、出入口から雨の音がしてきた。真希子は出入口から少しだが強まる雨を眺めていた。


真希子「あらあら、お祝いの日に雨だなんて・・・。」


 そんな真希子の言葉を聞いてそっと横に立つ結愛。


結愛「大丈夫ですよ、これは何処かで読んだ話ですけど結婚式は雨の日にした方が縁起が良いらしいですよ。」

真希子「そうかい、じゃあこれは神様からの祝いの雨って訳だ。」


 すると店のカラオケから1990年代に流行したバラードが流れ始めた、マイクを持つのは龍太郎だ。


龍太郎「改めて2人共おめでとう、俺からも1曲プレゼントさせてくれ。」


 しかし歌いだしの直前で曲が止まってしまった、リモコンを持っていたのは妻の王麗。


龍太郎「何すんだよ、母ちゃん。」

王麗「あんたは馬鹿かい、いくら雨でも披露宴に失恋ソングは駄目じゃないか!!」

龍太郎「いってぇ・・・、母ちゃんは今日も強いぜ」


 まるで漫才の様に息ぴったりの2人、会場は爆笑に包まれた。そのお陰で真帆も笑顔を取り戻した様だ。

 実はこれ、遠くから守と真帆の様子を見かけた松戸夫婦がわざと行った事で、楽しいはずの宴で悲しい表情をしていたからだ。

 2人は紹興酒をお代わりして今日の為に用意された特別料理を楽しんでいた、今回は小皿に自分で料理を小皿に取るバイキング方式を取っていたので洗い物も少なく、自動洗浄機と乾燥機にかけるだけだったので夫婦も宴を楽しんでいた。


裕孝「さてと・・・、たまには俺も・・・。」


 そう言ってマイクを取ると、新郎はリモコンを受け取って番号を入れ始めた。裕孝が歌うのは珍しい事なのでその場の全員がドキドキしていた・・・。


どうして全員がドキドキしているのか・・・。

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