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夜勤族の妄想物語3 -6.あの日の僕ら2~涙がくれたもの~-  作者: 佐行 院


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いつもと変わらぬ仕事をしていた龍太郎


-㉜ 高嶺の同級生との再会-


 麻婆豆腐の追加注文が入ったので、龍太郎が必死に鍋を振っている横をお手洗いを済ませた守が浮かない顔をして通った。

 守の表情を見た店主兼警視総監はさり気なく電話の内容について聞いてみる事にした。


龍太郎「おい守、さっきまでの元気はどうしたんだよ。結愛ちゃんは何て言ってたんだ?」


 結愛も守や正と一緒にちょこちょこ店に来ていたので龍太郎にとっては友達みたいなものだった為に普段から「結愛ちゃん」と呼んでいた。


守「好美の事故についてだったんだけど、どうやら義弘が関与しているらしいって言ってたんだ。」


 警視総監として義弘についてずっと捜査しているので龍太郎は勿論知ってはいるのだが、今は「ただの店主」として話をじっくりと聞く為に知らないフリをする事にした。


龍太郎「義弘って釈放されてからずっと行方不明になってる前の社長の事だろ?確か・・・、顔写真が新聞に載っていたよな。」

真帆「守兄ちゃん、「義弘」って名前が出てから辛そう。」


 義弘が独裁政治を行っていた貝塚学園に通っていなかった真帆は、正直あの頃の学園の内情について余り詳しくはなかった。


守「義弘のせいで多くの仲間が死んでいった、好美もその1人と言っても過言じゃない。俺は決してあいつを許せない、行方不明になっているらしいけどいつかもう1度復讐するって決めているんだ。」


 義弘の名前を聞いて美恵と文香が食らいつかない訳が無かった、食事をする手を止めてメモを取り始めた。


美恵「ねぇ守君、良かったら詳しく聞かせてくれない?」

文香「私達で良かったら何でも協力させて欲しいの。」

龍太郎「おいおい、ここは飯や酒を楽しむ場所だぞ。仕事に利用しないでくれよ。」

文香「ごめん龍さん、でもちゃんと事件について調べて解決させたいから。」

龍太郎「仕方ねぇな・・・、特別だからな。」


 そう言うと龍太郎は隠しマイクとレコーダーもスイッチを押した、警視総監として隠れて捜査を進める為だ。


美恵「守君、お願いします。」

守「結愛が警察とは別に工場長のデスクを調べた時に「義弘」の名義での指示書が見つかったらしいんだ。」

美恵「それって、手書きだったの?」

守「そこまでは聞けてないな、ちょっと待って。」


 守は携帯を取り出して結愛に電話を掛けた、美恵や文香に聞こえる様にスピーカーに設定した。


結愛(電話)「もしもし、どうした?」

守「すまん、さっき言ってた手紙なんだけどさ。あれって手書きだったのか?」

結愛(電話)「いや、パソコンで作ってあるみたいだけど。」

守「申し訳ないんだけどもう1度読んでくれないか?横に刑事さんがいるんだ。」

結愛(電話)「もしかして美恵さんと文香さんか?」

守「何だお前、2人を知ってんのか?」

結愛(電話)「仕事関係でよく話すんだ、何回かランチもしたことがあるんだぜ。」

守「そうか、その2人と今松龍にいるんだ。」

結愛(電話)「へ?松龍?だったら今から行くわ、丁度腹減ってるし近くにいるんだ。」

守「結愛来るって言ってるけど龍さん、良い?」

龍太郎「勿論だ、食いに来るなら歓迎だよ。」

結愛(電話)「ありゃ、スピーカーになってたんだな。龍さん、油淋鶏定食頼むわ。」

龍太郎「おいおい、そんなに近くにいるのか?」

結愛(電話)「もう着くよ、車の中から店見えてるからさ。」


 数分後、店の前に止まったドイツ製の高級外車の運転席から片耳にイヤホンを付けた結愛が降りて来た。どうやら先程の電話はBluetoothで行っていたらしい、ただその姿はまさに「流石大企業の社長だ」と言える・・・、はずだった。


挿絵(By みてみん)


守「この車凄いな・・・、やっぱりお前かなり儲かってんだな。」

結愛「え?これか?これはこの前万馬券当てたから泡銭で買ったんだよ。」

守「お前・・・、そんな趣味があったんだな。」


まさかの理由。

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