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夜勤族の妄想物語3 -6.あの日の僕ら2~涙がくれたもの~-  作者: 佐行 院


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龍太郎はずっと頭を悩ませていた。


-㉛ 不審な点-


 龍太郎には不審に思っていた事があった、今の今までどうして「貝塚技巧」関連の事件が表沙汰になっていなかったかだ。好美の事故があって以来、警察署内ではずっとこの事件でざわついているというのに。よく考えればトラック消失の事実も有名になったのは事件から数週間経った後だった気がした。

 そんな中、久々の休日を真帆と楽しむ守は松龍でランチを食べていた。


龍太郎「おい守、最近真帆ちゃんと一緒に見かける事が多くなったじゃねぇか。お前まさか、俺の娘捨てて浮気したのか?」

真帆「何言ってんの、龍さん。告白したのは真帆の方なんだけど。」

王麗「それにあんたの娘じゃないだろう、何回言わせたら気が済むんだい。」


 店主の言葉に頬を膨らませる真帆と、お決まりとなっているお玉でのツッコミをかます王麗。


王麗「ほら父ちゃん、あそこ見てみな。」


 龍太郎の目線の先で美麗が目に涙を浮かべて肩を震わせていた。


美麗「パパは私のパパだもん、好美のパパは徳島にいるでしょ!!」

龍太郎「悪かったよ、ほらお小遣いあげるから許してくれよ。」

美麗「ラッキー!!」


 守が目を凝らしてみると龍太郎がレジから取り出した2千円を受け取った美麗の逆の手には小さなメモが握られていたのが見えた、どうやら王麗の差し金による演技をしていたらしい。きっと後で山分けするんだろう、何とも現金な親子だ。勿論メモは龍太郎が分からない様に中国語で書かれていた。

一家の様子を見た恋人達が笑っていると、守の携帯に懐かしい人物からの着信が。


守「あれ?結愛だ。ちょっと出て来るよ。」

龍太郎「おう、裏庭使って良いぞ。」


 守は龍太郎に促されて裏庭に向かい、出てすぐの所にあるベンチに座って電話に出た。守は電話の向こうにいる大財閥の社長の声色からただ事では無い事を汲み取った、結愛は物凄く焦っている様子だ。


守「もしもし、どうした?」

結愛(電話)「「どうした?」じゃねぇよ、お前の元カノが死んだ事故な、どうやら俺のくそ親父が絡んでいるらしくてよ。」

守「何?!義弘が?!」

結愛(電話)「ああ、実は俺も警察とは別に工場長のデスクを調べてたんだがその時に「義弘」の名義での指示書が見つかったんだよ。」

守「指示書?義弘から?」

結愛(電話)「ああ、ざっと読むとだな、俺が会社の経費で取り付けた安全装置を全て売却して義弘の口座に入金しろって書いてあったんだよ。」

守「くそぉ・・・、義弘め・・・。」


 守は携帯とは反対側の手で拳を強く握り全身を震わせていた、そして体を震わせたまま電話を切って席に戻った。


真帆「守、何かあった?」

守「いや、大丈夫・・・。龍さん、水貰って良い?」

龍太郎「勿論、良いぞ。」


 その時、水を一気に飲んで何とか落ち着こうとする守の隣に偶然昼休みでランチを楽しみに来た美恵と文香が座った。


美恵「あら?守君、あんたまさか私の姪っ子の事を忘れちゃったの?」

守「いや、新たに一歩を踏み出そうと思って。ずっと泣いてる訳にもいかないだろうし。」

文香「それもそうよ、天国の好美ちゃんだってその方が嬉しいはずよ。」


挿絵(By みてみん)


 そんな中、文香がテレビで流れる貝塚技巧についてのニュースを見て聞いてみた。


文香「ねぇ、龍さん。どうして今の今までこの事件って表に出なかったと思う?」


 勿論刑事2人は目の前の店主が警視総監という事を知らない、ただ目の前にいるのはやたらと時事問題に詳しい皆の相談役である親父だ。


龍太郎「いや・・・、俺はただの中華屋の親父だぞ、分かる訳が無いだろう。」

文香「それもそうか、龍さんごめんね。」


「自分も調べている」なんて口が裂けても言えない龍太郎。

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