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夜勤族の妄想物語3 -6.あの日の僕ら2~涙がくれたもの~-  作者: 佐行 院


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守に幸せが再び訪れた中。


-㉘ 進展する捜査-


 久々の幸せに浸る守はゆっくりと顔を離した、息が荒くなっていたがすぐに落ち着きを取り戻した。2人は遠くから覗き込む圭に気付き少し顔を赤らめていた。


圭「今更何恥ずかしがってんのよ、暗い夜だけど道の真ん中で堂々とキスしてたくせに。見てるこっちが恥ずかしくなったわよ。」

守「良いだろうが、恋人と口づけするのは当たり前の事だろう?一先ず今日は遅いからもう帰るよ。真帆ちゃ・・・、いや真帆、じゃあね。圭もね。」

真帆・圭「うん、バイバイ!!」


 守は新しい彼女が出来たが故に笑顔を隠せなかった、真帆の笑顔を思い出すだけで今は顔がにやけついてしまう。今は先程のキスの余韻に浸っていたかった。

 次の日、署長から10人前の炒飯を作った直後の龍太郎の下に1本の電話が入った。


挿絵(By みてみん)


署長(電話)「お疲れ様です、警視総監。今お電話大丈夫でしょうか?」

龍太郎「ああ、勿論大丈夫だ。どうした?」

署長(電話)「先日の件なのですが、警察医による司法解剖と検視の結果、義弘の遺体は死後推定2週間との結果が出ました。また、結愛社長に頼んで義弘の口座に死亡する1週間前に7000万円もの預け入れがあったそうです。そこで預け入れに利用した銀行の店長から話を聞いてみたのですが、どうやら行方を眩ませている義弘に直接会った代理人が当時重箱に入った札束を積み上げて預け入れを依頼していたと言っています。」

龍太郎「やはりそうか・・・、分かった。ありがとう。」

署長(電話)「あの・・・、警視総監。犯人にはいつ会われますか?」

龍太郎「そうだったな、いつなら大丈夫そうだ?今から向かっても良いか?」

署長(電話)「勿論、どうぞ。」


 真剣な表情で会話をする龍太郎に美麗が声を掛けた。


美麗「パパ、餃子3人前注文入ったよ。」

署長(電話)「餃子焼いてから来られますか?そんなに時間かからないでしょう。」

龍太郎「ああ・・・、焼くだけだからすぐに・・・。あ・・・、すまん。少しだけだが包まなきゃいかんみたいだから少し時間貰って良いか?今日思った以上に餃子が出てたの忘れてたんだよ、美麗に頼んでから行くわ。」

署長(電話)「分かりました、じゃあ到着する寸前位にご連絡頂けますか?」

龍太郎「ああ、分かったよ。」


 龍太郎は餃子を急いで包んでいるとその様子を見た美麗が呆れた表情でため息をついていた。


美麗「パパ・・・、今日「餃子半額デー」なのにそれなりの量を準備してなかったの?」

龍太郎「すまん、まさかこんなに売れるとは思わなかったからやらかしたんだよ。実は今から焼く分だけ包んで焼いたら出前と用事に行かなきゃいけないんだ。悪いけどもうすぐ前半の営業が終わるから中休みの間に包んでくれるか?お小遣い奮発するから。」

美麗「嘘でしょ、今日安正とデートなんだけど。あ、迎えに来てもらうついでに手伝って貰おっと。」

龍太郎「あいつ、餃子包めんのか?」

美麗「一応教えたから大丈夫だよ、私とママ直伝。」

龍太郎「ははは・・・、そりゃ頼もしいわ・・・。」


 確かに龍太郎の師匠である張朴から直接餃子作りを教わっていたので王麗は龍太郎と一緒に本格中華を作れるし美麗はいつも餃子作りを手伝っているので技術面は大丈夫なのだが、実は人に物を教えるのが得意では無かったのだ。安正にちゃんと技術が伝わっていると良いのだが・・・。

 取り敢えず必要分の餃子を用意すると炒飯と一緒に余分に作った1人前の餃子を岡持に入れてバイクへと向かった、それを見た王麗がすぐさま反応した。


王麗「父ちゃん、「出前」かい?」

龍太郎「ああ、「炒飯と餃子」「両面焼き」、「五目」だ。」

王麗「分かった、お客さん待たせたらだめだよ。」


 龍太郎がバイクに岡持を固定して警察署に向かうと美麗が不審に思った点を母に尋ねた。


美麗「ママ、今の会話おかしくない?わざわざ「出前」なんて言わないしいつもは餃子をご飯ものの先に呼ぶし、両面焼きなんてうちしてないじゃん。」


 すると王麗が美麗を裏庭に連れて行き、秘密なので中国語で説明した。


王麗(中国語)「あれは暗号なんだよ、「出前」は「事件」、「炒飯と餃子」は「取り調べ」、「両面焼き」は「重要案件」、そして「五目」は「父ちゃんが行く」って意味なんだ。」

美麗(中国語)「そうなの?それなら先に言ってよ・・・。」


ずっと頭を悩ませていた事が解決した美麗。

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