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夜勤族の妄想物語3 -6.あの日の僕ら2~涙がくれたもの~-  作者: 佐行 院


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22/83

事件の調査中でもしっかりと居酒屋の女将としての仕事をする王麗。


-㉓ 向こうから来た-


 2人が裏庭で相談していると、店の電話が鳴り出したので王麗がベンチから立ち上がった。


王麗「ちょっと電話出て来るね。」

龍太郎「おう、頼むわ。」


 裏庭で1人になった龍太郎は煙草に火を付けてゆっくりと蒸かし始めた、店主が昼間の優しい風に当たりながら煙草を燻らせていると店内から王麗の声が聞こえて来た。


王麗「はいもしもし、松龍です。今お昼休みを頂いているのですが・・・、はい・・・。あ、ご予約ですね。大丈夫ですよ、お名前お願いします・・・、はい・・・、そうですか。」


 美麗と一緒で長年に渡り予約の電話を受けているので慣れた口調で受け答えしてメモを取る王麗、ただ今回の電話では少し嬉しそうな口調で話している様だ。


王麗「お時間はどうしましょう、19:00ね?勿論大丈夫ですよ、お席のご希望は御座いますか?あ、お座敷で・・・。ちょっと確認しますね・・・。」


 龍太郎は少し違和感を感じた、いつもは席の希望など聞かないのだが・・・。


龍太郎「このパターンは・・・、まさかな・・・。」


 王麗の電話は続いた、少し時間を延ばす様にしている様だ。


王麗「お待たせしました、お座敷大丈夫ですのでね、お電話番号お願い致します。はい・・・、はい・・・、ありがとうございます。呑み放題お付けしますか?」


 これもおかしかった、食べ吞み放題を付けるかどうかは店に来てから聞く事になっているからだ。


王麗「両方で・・・、分かりました。では19:00にお待ちしております、ありがとうございます。」


 龍太郎は裏庭に戻って来た妻に話しかけた、予約の電話にしては不審な点があったが龍太郎が想像していた通りの理由だったらしい。


龍太郎「どうした、長かったみたいだがもしかして逆探知でもしてたか?」


 裏庭の近くにあるノートパソコンには独自の逆探知システムがインストールされていた、勿論この事は夫婦2人以外は誰も知らない。秘密のフォルダに入れているのでこのパソコンを時々使う美麗も同様だ。


王麗「そうさね、念の為やっておいたよ。」

龍太郎「でもよ、「普通の予約」じゃあ逆探知なんかしないし席の希望なんて聞かないだろ?」

王麗「それが「普通の予約」じゃないんだよ、貝塚技巧の従業員らしき人が予約の電話をして来てね。」

龍太郎「でも席の希望を聞いたのはどうしてだよ。」

王麗「下手したら事件についての情報を聞けるかもしれないだろ?隠しマイクを仕掛けておくのさ、前からやっているだろ。」

龍太郎「久しく使って無いから忘れちまってよ、すまん。あれって俺もイヤホンを付けても良かったっけ?」

王麗「勿論だよ、あんたが聞かなきゃ意味がないだろ。」

龍太郎「確か・・・、録画も出来たっけか?」

王麗「本当にあんたは忘れん坊だね、よく警視総監なんかになれたもんだよ。」


 営業が再開して数時間後の19:00数分前に例の予約客が店を訪れた、勿論席に隠しマイクが仕掛けられているなんて思ってもいない。王麗が自らマイクを仕掛けた席へと案内した後に2人はこっそりとイヤホンを右耳に付けた。


挿絵(By みてみん)


王麗「こちらの御座敷をご用意させて頂きました、どうぞお使い下さい。えっと・・・、今から呑み放題を始めさせて頂いても宜しいですか?」

客①「はい、お願いします。」

王麗「こちらが呑み放題のメニューです、最初のお飲物はいかが致しましょう?」

客①「俺は瓶ビールで。」

客②「あ、俺も・・・。」

王麗「では瓶ビールとグラスを2つずつお持ちしますね、ではごゆっくりとお過ごしください。」


 王麗がビールを取りに行くとイヤホンから早速客達の会話が聞こえて来た、しかしビールを待つ間は事件に関する会話をしていなかった様だ。


貝塚技巧の裏事情は聞けるだろうか・・・。

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