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019 情報収集③

「これは、まだあんまり広まってねぇ話だが……」


 そう胡散臭い前口上で目の前に座っている男が話し出す。その顔は酒のせいか赤らんでおり、いかにも信用が置けない。


 普段だったらこんな男に銀貨を2枚も渡すことはないけど、今回はルイーゼのための情報収集の勉強だ。そういう意味では、男が報酬の上乗せを要求したこともいい勉強になっただろう。銀貨2枚はルイーゼのための勉強料。そう思うことにした。


「『コボルト洞窟』で、いくつかパーティが行方不明になってる」


 そう断言してみせた男に問い返す。


「行方不明?」

「そうだ」


 男は頷くと、続きを話し出す。


「今『コボルト洞窟』は新人冒険者たちで大層賑わってやがる。ギルドから告知がされるくらいな。その新人冒険者でもトップ層、ダンジョンの攻略ができるだろうってパーティが相次いで行方不明になってやがる」


 そんな話は聞いたことがなかった。新情報だ。ただ……。


「その情報のソースは?」


 男の情報を信じられるかと問われると、難しいと答えるしかない。今のままでは酔っ払いの妄言の域を出ない。


「……オレのダチがその行方不明になってる……。ダチはポーターもどきだが、もう何度も『コボルト洞窟』を攻略している。言っちまえば『コボルト洞窟』の案内人だ。ギルドからの信頼も厚い」


 その話が本当なら、男の友人は僕が目標にすべき人だ。ポーターもどきの中には、これまでの冒険の経験を活かして、ダンジョンの案内人をしている人たちがいる。主に初心者冒険者を相手に、安地の場所はもちろん、罠の位置やモンスターの特色なんかを教えてダンジョンの攻略に導く人たちだ。


 その中でも冒険者ギルドの信頼が厚いとなると、相当な熟練者だろう。もしかしたら『コボルト洞窟』を専門にしている案内人かもしれない


 そんな人が行方不明……? 嘘ならもっとマシな嘘を吐きそうなものだけど……逆にそう思わせて信憑性を上げるための嘘だろうか? 分からないな。


「そんな奴が行方不明なんておかしな話だろ? きっとなにかトラブルがあったんだ。そうじゃなきゃおかしい。くそっ! オレに戦闘力があれば自分で探しに行けるってのに……なんでオレはポーターもどきなんだ……。くそっ! 飲まなきゃやってられねぇ!」


 話していて感情が高ぶったのか、男がグビグビと酒を呷る。演技なら大したものだ。


「お前らが『コボルト洞窟』に行くのかどうかは知らねぇが、行くんなら気を付けるんだな」


 そうして男の話は終わった。


「情報ありがとう。助かったよ」


 僕はそう言い残して男の元を後にする。僕のすぐ後ろにはルイーゼが神妙な顔を浮かべて待機していた。


「お待たせ。まぁこんな感じだよ。できそう?」


 僕の問いかけにルイーゼは難しい顔を浮かべる。


「たぶんできると思うけど……あのおじさん、友だちが行方不明なのね……それでこんな朝から飲んだくれているのかしら……?」


 ルイーゼは痛ましいものを見るように男を見ていた。


「全部嘘かもしれないけどね」

「えっ!? 嘘なの!?」


 ルイーゼが目をまん丸にしてひどく驚いた顔を浮かべる。そんなルイーゼもかわいらしい。


「本当の可能性もあるよ」

「もう! どっちなのよ?」

「それを確かめるためにもいろんな人に話を聞くのさ。そうしていろんな情報を集めて情報の確度を増していく。それが情報収集だよ」


 ルイーゼの顔が一気に曇る。


「めんどくさ……地道な作業なのね」


 言い直したけど、もうほとんど「面倒くさい」って言ってたよ。


 そんなルイーゼに、僕は苦笑を浮かべて言う。


「まぁ地道な作業だね。でもね、こうして集めた情報が時に命を救うこともあるんだ。だから気は抜けないよ。次はルイーゼがやってみようか」

「あたし? 上手くできるかしら……」

「失敗してもいいさ。なんでもそうだけど、数をこなして上手くなっていくものだよ」

「そうね。やってみる!」


 僕はパーティの参加待ちなのか、暇そうにしている冒険者を指して言う。


「次はあの人に訊いてみようか」

「分かったわ」

「がんばってね」



 ◇



 その後、しばらく情報収集に勤しんだ僕たちは、ラインハルトと合流して集めた情報の精査をした。ラインハルトは女性冒険者やギルドの受付嬢さんなどの女性を中心に情報収集をしたらしい。しかも、その情報収集にかかった出費は驚くほど少ない。ラインハルトは、完全に自分のイケメンっぷりを理解していた。ちょっとズルく感じてしまうのは僕だけだろうか?


 同時に、なぜラインハルトが単独で情報収集していたのかも僕は理解する。イケメンの隣にルイーゼのような美少女が付いていたら使えない戦法だもんね。ラインハルトは、1人で情報収集した方が効率が良い。僕にルイーゼを預けたのも納得だね。


 僕の予想外に強かなラインハルトに、思わず苦笑いを浮かべてしまった。


 でも、まだ情報収集にかけられるお金が少ない僕たちにとって、ラインハルトの存在は、とてもありがたい。せせこましいかもしれないけど、節約できるところは節約しないとね。

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パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
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[気になる点] 男なら金しか要求されなさそうだけど、 女の子が同じことやったらセクハラされそう
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