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20 令嬢達のお茶会

「シャーロット様、もうお聞きになりまして?」

「ここ数日色々な情報が入っていますから。スフィア様、どちらの事かしら?」

「サミュエル殿下の事ですわ。」

「あぁ、短剣を下賜された事ね。公務でない限り、個人として恩情をかける行動は控えるべきという教えは、守られなかった様ですわね。そこまでしてルイーズの気を惹こうとされるとは。」

「神殿の者達には気の毒な事になりましたね。本当に残念ですわ。」

「いい経験をした、と心を改めましても、被害にあった方々の大事なものが失われ、もう戻らない事もあるのだと、悔いるべきですわ。確かペータース卿のみ対処に動かれていたとか。それにあのアウロラ様を治療に向かわせたと。」

「ええ、アウロラ様が論文を出されている治療薬をご存知ですか?古代種に関係しているので、直ぐに公にされるのは難しいそうですが、何でも今回、その論文に書かれている治療法を行ったのだとか。」

「ディセック教授が絶賛されたそうですわ。」

「研究棟で色々とご活躍されている事も聞きますし、殿下方が目をかけるなら、そういう生徒にすべきかと思いますわ。」

「私達が王宮に上がったとして、アウロラ様の様な方と交流を持ち続けたいものですわね。」

「ペータース卿はアウロラ様一筋とか。ペータース卿もあのルイーズがいる中に居ながら、引きずられていない所がご立派です。今度アウロラ様もお茶会にお呼びしたいですわ。」

「そうですわね。私お話したこともありませんし、楽しみですわ。

そう言えば、王太子殿下がそろそろ外遊からお戻りだとか。」

「ええ、ようやくですわ。最後の外遊地ラトゥナ王国でご婚約者のアリーチェ王女を迎えに行かれていらっしゃるのですよね。」

「ご帰還が遅くなったのは、そちらで何かあったのかしら?」

「表向きは体調不良ですけど、本当かしら?」

「まぁ、こちらにお越しの際は、早速お茶会にご招待致しましょう。」

「お人柄を知ることは重要ですものね。」

「王太子殿下にも早くお会いしたいですわ。」

「王太子殿下に色々ご報告したいですわ。」

「王太子殿下のお帰りで、サミュエル殿下もディラン殿下もお変わりになれば宜しいですけど···」



◇◇◇


「·····という訳だ。ルイーズ、申し訳ない。私の配慮が足りなかった。」


サミュエルは『タレッタ神殿』が襲撃せれた事を報告するため、王宮の薔薇園にルイーズを呼び出していた。


「そんな·····短剣···短剣はどうなったのです?」

「·····短剣か···おそらく国外逃亡を図るだろうから国境警備隊に検問を注視して行うよう通達している。」

「あの短剣は、王都の屋敷1つ分軽く買える程高額な物なのでしょう?なんて事なの···」

「ルイーズ·····それと怪我を負ったアンナ神官は順調に回復しているそうだ。」

「そうですか·····命があって良かったですわ。」

「私は共に行ってやる事は出来ないが、ダンテに言って、『タレッタ村』に直ぐにでも見舞いに行けるようにしようか?」

「いえ、結構です。今はとてもそんな気になれません。」

「そうか···」

「気分が良くありませんの。これで失礼します。」


ルイーズは悲しみよりも怒りの方を強く感じているらしく、いつもの柔らかさはなく、その表情は硬い。

共に呼び出したダンテに、ルイーズを寮まで送るよう預ける。


ルイーズに呆れられただろうか·····

ディランには「抜けがけするからだ」と非難されるし、その無力さに嫌気が差す。



「ごきげんよう、サミュエル様。」


ふと聞き慣れた声が聞こえる。


「シャーロットか·····」


王宮にはジェンセン公爵家と懇意にしている者が多い。

おそらく侍女の誰かが知らせたのだろう。


「こうやってお会いするのは久しぶりですわ。」

「王子妃教育か。」

「はい。先程までスフィア様と受けておりました。」


ルイーズが帰って良かったと胸を撫で下ろす。

王子はそれぞれ有力貴族を後見人として持たねばならない。

私の場合ジェンセン公爵家だ。

故にルイーズを良く思わないであろうジェンセン公爵家から彼女を守らねばならない。


「ルイーズ·オヴァフ男爵令嬢が来られていた様ですね。」

「ああ、シャーロットももう聞いているのだろう?『タレッタ村』での事を。」

「はい、伺っております。神殿の者達は残念な事でございました。」

「どうせお前も私の事を、甘い人間だと笑っているのだろう?」


「·····私達の様な力のある者が誰かの力になろうとするならば、方法を選ばねばなりません。」



「·····情けないな。」

「·····サミュエル殿下····」

「·····。」

「ルイーズ様と傷を舐め合ってる場合ではありませんわ。」

「·····。」


「我がジェンセン家はサミュエル殿下の後見の役割を担っております。どうぞご命じ下さい。」

「シャーロット····」

「お茶の用意をさせましょう。久しぶりにあちらで辛い思いをした子供達のためにも作戦会議を致しましょう。」


シャーロット·····

久しぶりに見た笑顔は、昔から見てきたものと同じ、安心させる微笑みだった。

読んで下さり有難うございます。

また、ブックマークをして下さってる皆様、いつも有難うございます。

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