食事、初言、そして大自然
遅れました申し訳ありません。次の部分も並行で執筆中、誘惑にボコられました、恥ずいです……
毎日同じ問題で迷うと、知らず知らず一年半が過ぎていき、南へ向かう獣潮が終わり、ジークフリートはついに家で寛げる一時を得た。
「んん、空気から温もりが伝わってくるし、モンスターの集団も見えなくなった。今年の南下獣潮もこれで終了だな。」
話しているのはジークフリート。ここ一年の間、彼の体調は更に悪化していた。一年前と比べて彼の体は一回り細くなっているし、茶髪の中にも白が混ざった。
「今年は無事死者ゼロで乗り切ったよ。死者ゼロだよ?すごいわ!」
守備軍と城壁守衛からの損害報告に目を通しているクラリスの太腿に、ベアトリスが座っている。当然彼女はただ座っているわけではない、中身の青年もその報告の内容を分析している。
「それでも負傷者はいるはずだが……どうだ?」
「どれどれ…軽傷者数十名、重傷者…四名…!例年の五分の一になってる、しかも重傷者たちの命に別状はないよ!」
「んん……よし、訓練所の効果が出たようだな」
「新兵器も大いに役立ったらしいわね……獣群の一部の移動経路を変えたという報告があるよ?」
「本当か?!、それはすごいな!」
「でもやはり試作機だから、耐久性の問題があるわ。破壊力も一射毎に下がっていく報告があるよ。」
話を聞いたベアトリスの目に光が巡った
正直兵器の設計はよくわからないけど、このままでは耐久性の改善は多分難しい。二人分の長さで太ももより太いパイクを二キロ先まで撃ち出せる弩だから、アームには凄まじい応力が掛かる。
「……しかし原型機のテストで上げられた連射速度の問題を、まさかリズの手真似で解決法を見つけたとはなぁ。」
「ええ、ほんとね。『多人数で操作すればいい』、単純だけど効果的、でも破壊力の降下は改善しないとね……あらリズどうしたの?抱っこして欲しい?」
太ももの上で手を上げた娘の動きを感じ取ったクラリスは報告文書を机に置き、最初よりずっと巧くベアトリスを抱き上げ、そして何かを思いついた様に期待の顔を夫に向けた。
「ねねジークフリート、リズが最初に言う単語、パパとママのどっちになるかな?」
「えっ?」——いきなりの別事で、ジークフリートの反応は一拍遅れた。
「あっ、それか。んん…どうだろう、普段から聞いている言葉からすると……ああ〜。「おむつ」とか、「ご飯」とか、もしかすると「お嬢様」が出てもおかしくないぞ?なぁアンナの嬢ちゃん」
「えっ?えと…っその…」
「アンナちゃんに揶揄わないのっ。」
「あはははは……」
「でもそうだね……アンナちゃんは毎日リズの世話をしてるんだし、一番多く聞いた声と言えばそっちね。でもやっぱり最初は「ママ」がいいな〜早くお口を開かないかな〜」
「そうだな、早く聴いてみたいものだ〜」
そんなに期待しなくても……って、妹の初言を聞いて酸欠するくらい興奮した自分が言える事じゃないっか、四歳だったけど、まあ、いいタイミングあったら適当にやるか——強いて言えば、ベアトリスは遠に話せる。この前までは筋肉の発育がまだ不十分だから基礎音節しか出せないけど、今ならよほどハードな単語じゃなければ問題ない自信がある。
「にしても、今年のソーシャルシーズンは目の前か……」
「二年ぶりの社交界……どうなっているのかしら。」
社交界……上流っぽい単語が出てきたな…って、傍観者気取りでどうすんだよ俺、自分もいずれそこに入るんだろう…うまくいけるかわかんないけど、教師があったら貴族の作法を出来るだけ覚えよう
皇帝からの招待状は一週前に来ている。伯爵として、ジークフリートは臣下、仕来りが故に行かねばならない。
「ああ〜!そういえば!」——又何かを思いついたクラリスは今度、ジークフリートに寄ろうと上半身を前に出した。
「いい?今度こそ補佐官や文官になりそうな人材とか凄腕浪人とか、それらしい情報あったら聞いて来て、絶対だよ?」
「あはは…、今はどこもそんな人材を欲しがると思うが……できるだけ聞いてみるよ。」
苦笑いしながら窓の外に向けたジークフリートの横顔は、覚悟を決めた漢の顔であり、満足にあふれた男の顔でもある。そして妻の方に振り向いた
「ところで、お前も行くか?」
「当たり前でしょう?あなた付き合いの長い友達が居たらすぐ酔っ払いになるんだもの。去年なんか戻った後も一週間ほど酔ってたじゃない、その体でよく飲めるものねっ」
「あはは……」
指を頬に当てるジークフリートを放っておき、不満そうなクラリスは立ち上がって顔を明るくした。
「まあそれはいいとして、そろそろ時間だし、ご飯にしよっか。リズもお腹空いて来たかな〜……アンナちゃん、昼食のメニューはなに?」
「今日は…えっと……主食にマッシュポテト、肉料理にグレーギスの腿肉のハーブロースト、魚料理にアインハイゼ鮭のソテー、スープはトマトを主体に各種野菜を入れた具沢山スープ。お嬢様のためにクレーギスの挽き肉炒めとベリーソース、アインハイゼ鮭の角切りも用意しました。」
「うん、美味しそうね♪じゃあ行こっか♪」
。。。。。。
瞬く間に一週は過ぎ、出立の日がおとずれ、フラワル家の出席者を迎えに派遣された竜車の列が来た。
それを目に映すベアトリスの中に驚きしかなかった。
飛竜で引っ張らる箱馬車ってすごいな……って、あれ?こっち見てるんじゃねぇ?
「毎回毎回大袈裟だな……アングティグアで引くワゴンは……ん?」
何かに惹かれたか、なぜか飛竜二頭どもは御者の転向指示に従わず、真っ直ぐ一行の方へ寄って来た。
「……ジークフリート。」
「下がっていろクラリス。アンナ、剣を。」
「こちらです。」
「お前も下がれ。」
「はい。」
アンナは背負っていた分厚い両手剣を主人に渡し、そのあと女主人の前に着いた。前に立つジークフリートは剣を肩に担ぎ、腰を低く構え、戦闘態勢に入った。
母親の懐中でこの場面を注視するベアトリスの外は固まっているが、中は怒涛の如く叫んでいる。
おい!人間はいいとして、あんなもんと戦うなら構えもクソもないだろ!てかなんで戦いの選択肢があるんだよ、逃げるんじゃないの?!
ベアトリスから微かな震えが伝わったか、クラリスは迷いのない目でベアトリスに笑いかけた。
「大丈夫よリズ、パパは強いんだから。」
いいや問題はそこじゃないだろう……って、そういえばこの世界の人間の強さってどれくらい…?
アングティグアたちはまったく侵略的な行動を取らなかった、むしろ逆に、落ち着いたペースで悠々と近づいてきている。やがて二頭はジークフリートの前で止まり、頭を上げてクラリスの方を見た。
好奇心をつられた様に、ただ首を振り回し、いろんな角度からクラリスを観察した。
「ジークフリート様、これは一体……」——アンナが下がると同時に前に上がった近衛兵たちもこの状況に戸惑った。なぜならこんなに穏やかなモンスターを彼らは見たことがない。
「ん……これは……」——飛竜の様子をじっくり観察したジークフリートは落ち着き、剣を下ろした。
「…もう平気だ、下がっていろ。」
「しかし……」
「そんなに警戒しなくて良い。奴らを見ろ」——そう言われた近衛兵たち疑いの目でジークフリートの視線を追い、飛龍の翼と顔をよく見た。
「翼膜は収まっているし、牙も剥き出していない。落ち着いている証拠だ。」
「はぁ…」
「いいからいいから、俺を信じろ」
「…はい」
ジークフリートの命に従って、近衛兵たちは構えを保ちながらゆっくりクラリスの後ろに戻り、そして問題ないと確認した後ようやく構えていた大盾を降ろし、ランスを再び地面に突き刺した。
「アングティグアたちよ、なにか探しているのか?」
言葉が通った様に、飛竜たちは逞しい翼足を踏み出し、ジークフリートの横を通して頭をクラリスの前まで突き出した。
二頭が見つめているものはクラリス、いいや、正確に言うとクラリスの懐中に居るパニック中のベアトリス。
無理無理無理無理無理……なにくんくんしてんの、舌当てんな、鼻押し付けんなぁあ!——ベアトリスは心の中で叫んでいるが、実の所、飛竜たちは優しくすりすりしているだけ。
そしてそれを間近で見ているクラリスの顔に焦りはおらず、むしろペットと子供のじゃれ合いを見るような気分だった。
「こら君たち、挨拶は軽くしないと。」
目を瞑っていたベアトリスもショックで目を丸くして、抵抗していた両手を止めた、すると、二頭の押し付けも軽くなった。
え?挨拶?これが?っ猫かよ……話に聞く限り知り合い…か?——ベアトリスの頬を触れた後、二頭はクラリスにもすりすりしに行った。クラリスも暫く会えなかったペットを撫でるように、片手で二頭を順番に撫でた。
「久しぶりね〜元気?よしよし〜いい子ね〜」
しばらく撫で撫でしてもらって満足した後、アングティグアたちはまた御者の指示に従い、ワゴンの扉を一行の方向に向き、その後伏せて待機に移した。そんな二頭の行動を全て目に入れたジークフリートは思わず笑い出した。
「やっぱりお前が面倒を見ていた子たちだったか、本当に母親と見做されたな〜ひょっとしたらさっきのは、リズのことを妹だと思って愛着が湧いたからかもな〜」
「そうね〜そろそろ行かないと間に合わないわよ?」
「あ〜ははっ、そうだったな。」
「荷物は積み終わりました、いつでも出立できます。」
え?アンナさん?何時積んだの、速っ!
「よーし、では、参ろうか!」——こうして一家は帝都に向かうのであった。
。。。。。。
出立してから三時間、ベアトリスはアンナとクラリスの間に座っている。今は昼食の時間、ベアトリス一家は止まった竜車の中で食事をしている。
気持ち悪い、よく食えないわ——飛竜で引く客車とはいえ、振動の緩衝器になれるものは柔らかいシートくらい、馬車での旅が慣れていない恵にとっては地獄だ。
「ん……高価物だらけの料理か、金が余ったら国民のために使えばよかろうに……」
「帝都は畜産業に適している地形だし、ミルクもバターも当地では安いよ。でも、馬車の旅で食べる物にしては確かに贅沢ね……」
そんなことを言いながら、二人が食べているのは——ハーブバタートースト、何かの霜降り肉のワインシチュー、そして野菜のクリームシチュー。どれもフラワル家のメニューに出なかった物である。それでも親の言葉と微妙な態度にベアトリスは困惑した。
これで高価?まぁ確かに毎日食える物じゃないけど高価は言い過ぎじゃあ……あっ、そういえばここって異世界だった。普段食べ物の差がほとんどないからつい向こう視点で…——するとしたら恵は改めて考えて、納得した。
そういえば、この世界ってフリーザや冷蔵庫がいないもんな……バター、ワイン、牛乳、どれも低温で保存しないといけない物、ここだと旅の途中でこんな料理は相当コストかかるよな……強そうな飛竜で車を引く理由には見えないけど。
考えているせいか、ジークフリートとクラリスの口数は普段より大分減った、とはいえ二人は食べ物をおろそかにしておらず、一口一口大事に食べていた。
普段から口数が少ないアンナもベアトリスに「ああ〜ん」する以外、ただ立派に侍女の責務を果たしていて、馬車の中の空気は凝る一方だった。
気まずい……誰も話さない食事って気まず過ぎ……!なにか……あっ、そういえば——そしたら、幼いベアトリスはアンナからスプーンを取って、スプーンをアンナに向いて、生後初めての言葉を口にした。
「ああーん?」
一時、全員の動きが止まった。
「かわい〜〜〜〜〜!!」
そして、あまりもの尊さで胸がパンクしたのである——両手を頬に当てて瞳がハートの形になったクラリスを始め・手で口を覆い,驚きで目を丸くしたアンナ・そして圧倒的喜悦で表情が固まったまま涙と鼻水が流れ出したジークフリート。
思いつきだったけど、とんだミスだ……気まずさは無くなったけどこんなリアクションされると精神的に恥ずかしいわ…——そう思っている恵だが、とりあえず無垢な幼児を演じ、昼食を盛り上がらせたのだった。
数時間後、夕方が過ぎて青白い明かりが窓に通し車内を照らし始め、それに気づく恵は窓から外を覗き、思わず息入れた。
これは!都市化が進めてない田舎の星空も綺麗だけど、これは一味違うな……これが、異世界の夜空…!
どこまでも透き通る紺藍、輝かしく果てしなき銀河、光の紗幕を世に降り注ぐ月、そして空から降り掛かって来る様な、満天の星……旅で数々の美景を見てきたけど、これに比べればどんな絶景も凡俗の風景に過ぎないな……!
「旦那様、今日はもう遅いですし、川の近くで野宿になされませんか?」
「ああ、そうしよう、馬車の中は窮屈だし、月の明かりも入眠の邪魔だしな。」
入眠の邪魔?こんな絶景が?……はぁ…俺がどんなに感動しても、こっちの人にとって、見慣れた光景に過ぎないか…——食事の次に、少女は再びここが異世界であることを思い知らされ、心の中で消沈していた。
。。。。。。
翌朝、ベアトリスはテントの出入り口に座って、朝食の準備をする人たちの姿を眺めていた。
『(重そうな打撃音)』
ん?——アンナが荷物車から出て、付き添いの料理人と侍者たちと一緒に食事の準備を済ましていくところ、何かの音がベアトリスの耳に入った。それはかなり重みのある足音、窓から音の方に覗くと、恵は飛竜すりすりに次ぐインパクトを受けた
っなんじゃありゃあ!,邸と同じくらいの大きさじゃないか!てか群れてる群れてる!
客車の向こうに深そうな川があり,料理人たちはそこから水を取ったり,野菜を洗ったりしている。その川の向こう岸には大量のモンスターが川に接近して来た。竜脚亜目の恐竜と似た外見で尾の端に巨大な棍棒の様な構造,一歩出すたびに地面から揺れが感じる,そんな物が数十頭もいる。
でもよく見ると群れの真ん中に小さいのもいるな……幼体と未成年か?
「おおっ、子育て中のカジェルドンか、これは稀に見る光景だな。」
「縁起がいいわね〜今年はいい事が起きそうっ」
音を聞いたか、ベアトリスの両親もテントの奥から出て川の向こうを眺めた。そして二人にカジェルドンと呼ばれたモンスターたちも、特に向こう岸の人間たちに構わず、水を飲んだり、体を浸かったり、普通に動物らしく生活している。
アンナたちが上流の方に居てよかった……あれが浸かった水でスープとか出されたらシャレにならん……
そんな考えが浮かぶ間に、カジェルドンたちの側面少し離れた場所にワニが現れた……いいや、ワニより、あれはもう『竜』と呼ぶ方が正しい
「おおーっ、パルティクス!日光浴するところは初めて見たなぁ、本当に口を開けるんだ…昔に見たのは罠に掛かって、慌てる姿や怒る姿ばかりだから、こんな光景を見る機会はあまりなかったが…」
「こうしてボーッとする所を見ると、ちょっとかわいく思でしょう?ふふっ」
かわいい?あれが?
パルディクスと呼ばれたモンスターは横にいるカジェルドンたちと比べても衰えない身長を有し、首も長く、足は体の横下の方へ生えていて体を支え上げられる……つまり、陸上でも動きは鈍らなく、その顎の猛威を思うがままに振える。
「こうして見ると、モンスターもモンスターの生活があるもんだな。」
「いっそのこと外に出て一緒にしちゃう?日向ぼっこ♪」
「それはいいな…そうだ!、リズも連れ出そう、丸一日馬車の中は大変だし、普段も仕来りであまり室外に連れ出せないし、ちょうどいい機会と思わないか?。」
「いいね!」
歓喜な顔で即答したクラリスはいきなりの大声に驚いたベアトリスをテントの中からから連れ出した。そしてテントから出る途端、緑の匂いと太陽の温もりで、三人の心と体は一気に落ち着いた。
いきなり連れ出されたけど……まあ、羽を伸ばせるチャンスだし、いいっか。
「うん!やっぱり、大自然に身を置くのが最高のストレス解消ね。」
「ふっ!…あ〜大地はいいな……おやっ、ここからアンナたちが見えるね、順調に進んでいる様だ。」
獲物の血が抜き尽きるのを待つと同時、料理人たちは袖を巻いて解体刀を研ぎ、アンナは大太刀の手入れをしていた。
「あらっ、いつの間にクレーギスを仕留めたね。アンナちゃん、腕を上げたようね。」
「なんせ俺が手配した訓練をこなせる者だ、才能のある子だよ。」
まるで凄腕な剣客だな…じゃなくて!、あんなバカデカイ剣どこに隠したんだ??…あっ、そういえば荷馬車は二台あったか……
「はぁ〜!疲れた〜疲れた〜ほんっと疲れたぁ〜。」
専属侍女の普段に見えない姿でベアトリスが心の中で考えを巡らせる間、ジークフリートは剣で適当にサイズの合ったの岩を両断しそれにかけ、対してクラリスはテントから少し離れた芝生で座り 穏やかな微笑みで太ももを軽く叩いた。それを目の隅で捉えたジークフリートは軽く息をつけて、気力がない様に立ち上がって妻の傍に寄り添い、膝枕についた。
「……いつもありがとな、君が一緒にいてくれるからここまで持ち堪えたよ。」
「膝枕をしてあげてるだけよ、おおげさね……それより今年こそ、助太刀になれる人を一人だけでもスカウトして来なさい。」
語気は厳しくないと言えど、その落ち着いた声に問答無用の強硬さが纏っていた。
「肝に銘じます…」
「よろしい」
この場面、なんか毎日酔っ払いになって戻って来る夫に対する妻の説教みたいだな…——顔は外に向いていたからジークフリートの表情は見えないけど、その緊張そうな声はハッキリ聞こえる。
「…まだ時間はあるから、少しでも昼寝しなさい。あとで起こすから。」
「ありがとう……」
「ふっ…いいから寝なさいっ」
笑い出した妻に頭を撫でられ、男は体の力を抜いた。気づいた時、ベアトリスは既に父の均一で平穏な呼吸音を聴こえた。
こんなに明るいのに秒で入眠か、よほど体を酷使したんだろうな……あっ——娘の思索を知らないクラリスはベアトリスの背中を軽く叩き始め、寝かしつける様に赤ん坊を顔に寄せて優しく囁いた。
「よしよし、おねねしましょうね〜、よく寝る子はよく育つのよ〜」
俺は寝なくてもいいけど……、日向ぼっこしながらこうされると眠いな…——こうしてベアトリスは頭を振り続け、やがて眠気に堪えずアングティグアの注目の中で眠りについた。再び目を開けた時、彼女は既にアンナの懐中にいたのだった。