プロローグ
自分を信じれなくなったのはいつからだろう。
可能性を感じなくなったのはいつからだろう。
出来ることも出来なくなったのはいつからだろう。
それは多分、あの日からだ。
「照橋京也さんね、えーじゃあまず自己PRをお願いします。」
「はい、私の長所は行動力です。旅行する時なども予定を決めずにまず動く事からーーー」
「はい、結構です。本日はありがとうございました。」
あぁ。またこれだ。今度もまた駄目なのか。
全身にかかる重圧に乾き切った手の汗。
ずっとエアコンの空間にいた自分に
これでもかと光を強める夏の太陽。
昔は夏が好きだったのにと思う心が嫌になる。
今置かれてる環境全部投げ出して、逃げられたらいいのに。
こんなことを考えていたら気づけば
大学4年の時を迎えていた。
一般的な大学にいるそこら辺に
湧いて出てくる言わば量産型の大学生だ。
今までは量産型である事を推奨されて来たのに
企業というのは残酷で、何かと個性を聞いてくる。
そんな環境に馴染めないのが俺、照橋京也だ。
もしこれが転生される世界ならもうフラグは立ってるぞ?
と疑ったことすらある。
なんも考えず、出されたものだけをこなし
目先だけの利益を得ていた自分には良い天罰だったのだ。
申し込んでいた企業から落とされたメールだけを残し
俺はひとつも内定を貰うことが出来なかった。