表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元奴隷の冒険者  作者: 隣人
〜奴隷の少女編〜
9/15

006 2つ目の試験 ※挿絵あり

最初の資格試験をクリアしたバンルは、ステラと一緒に洞窟の中を歩いていた。


ピチョン…ピチョン…と洞窟内で水滴が地面に落ちる音が何回も響いてくる。その水滴がバンルの首にピトッと落ちる。


「冷たっ!ちっくしょーウザイなぁ」


「あははは!水滴に怒っても意味ないって」


「ヘイヘイわかってますよ……で、次の試験は何をするんだ?」


「ん〜、もう少し進んだら分かるよ」


しばらく洞窟の中を歩いていたバンルとステラは、大きな空洞にたどり着く。


「……ここが目的地か?」


「うん。あともう少し待てば……」


ダダダダダッ……

急に何か大勢で走ってくる音が聞こえてきた。その音はバンル達の方にどんどん近づいている。


(なん)か来るな」

バンルはポッケに手を入れたまま周囲を警戒する。


(あらら〜…結構多めかも。数は…30匹ぐらいかな?まぁ、でもバンルの実力ならこれぐらいが妥当でしょ)


…シーン……

何故かさっきまでの激しい音が急に静まりかえる。それと同時に岩陰から鋭い視線が感じてきた。


「グルルル……」

周りに30匹のグレーウルフがいる。さっきの激しい音や岩陰からの鋭い視線はこの魔獣によるものだった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

・グレーウルフ

低級の魔獣だか群れをなして行動している為、冒険者は足跡を見つけたら遭遇しないよう()ける。

毛の色は灰色で目が赤い。30匹の討伐難易度はC

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「おいおいステラ。試験始める前に魔獣に出会っちまったぞ」


「いーや、これが試験だよ」


「んえ?」


警戒してた気力が抜ける


「2つ目の試験は討伐試験。ここにいるグレーウルフ全部倒すことができたら試験クリアさ」


「あー……なるほど。だから魔獣の足跡がある道ばかり進んでたのか」


(へー…ちゃんと気付いてて私についてきてたんだ)


「じゃ、私はここで見てるから頑張ってねー」


「おーけー。ちゃっちゃと片付けてくる」


バンルはゆっくりと歩き出し、グレーウルフの群れに近づく。そしてバンルは臨戦態勢に入った。


「グオォォン!!」

先に5体のグレーウルフが攻撃を仕掛けてきた。低級魔獣の割に、意外にも統率がとれた攻撃をしてくる。バンルはそれを不思議に思いながらグレーウルフの攻撃を避け続けた。


「グガァ!」

グレーウルフの牙がバンルの顔の近くまで来る。


スッ……ドゴォ!

挿絵(By みてみん)

グレーウルフの攻撃を避け、腹に思いっきり蹴りを入れた。


ズザザザ……

蹴りを入れられたグレーウルフは岩陰で隠れてる群れの方まで蹴り飛ばされる。それに驚いたグレーウルフ達の隙をついて間合いをつめた。


「よぉ…狼ども」


ドカッ!…バキィ!ドゴォ!と音がなるほど拳や蹴りをいれまくる。間合いをつめたバンルは、体が固まっているグレーウルフの群れを次々と倒していった。


「グガァァ!」


猛攻し続けるバンルの死角から攻撃がきた。


「うおっと…」


死角からの攻撃を避けた瞬間、それを狙っていたのか他のグレーウルフ達が大勢で攻撃をしかけてきた。だがバンルは連続できた攻撃も無傷で避ける。


(ふぅ…先から統率のとれた攻撃ばかりしやがる。この群れのボスが指示をだしてやがるな?)


バンルはこの群れの中にボスがいると考え、少しずつバンルはグレーウルフの数を減らしていく。


(身体能力もそうだったけど戦闘センスも凄いな〜。う〜ん…格闘の技術だけなら私より上かもしんない)


ドカァッ!!

バンルは最後の1体に顔面を思いっきり殴って倒す。


「ふぅ…こいつでザコは最後か。後は……」


すると スタ…スタ…と空洞の別の入口からボスと思われるグレーウルフが現れた。他のグレーウルフ達より2倍近く体が大きい


「でたな〜ボス狼」


手首の骨をパキッと鳴らし、バンルは戦闘態勢になる。


「さぁ…いつでも来な」


バンルがそう言った直後、グレーウルフのボスが走り出した。


シャッ!

先にバンルが攻撃をしかけるが、壁を蹴って攻撃を避ける。バンルの真上を飛び越え着地した瞬間、すぐに振り返って攻撃をしてきた。


「あぶね!」


鋭い爪で切りにきた攻撃は"シャッ"と風をきる音がした。だがバンルはまた間一髪で避ける。数本切れたバンルの髪が、地面にひらりと落ちた。


「…こいつは少しマジになんないとダメだな」


そう言った瞬間グレーウルフの方へ向かって走りだす。

バンルは走りながら地面に落ちている小石を数個拾い、ビュンビュンとグレーウルフに向けて小石を投げる。だがグレーウルフは小石に1個もあたらず全て避ける。

その避けた瞬間を狙っていたのかバンルはグレーウルフの頭上にいて、かかと落としをした。

しかしグレーウルフのボスはそれも避け、かかと落としは空振り地面に"ゴォォン"と音が響きわたり少し穴ができた。


「いー…足が痺れた。クッソ今のも避けれんのか」


バンルの足が痺れた隙を狙い、グレーウルフのボスは隙だらけの背中を噛み付こうとした。


チャキ……

バンルの服の袖からナイフが出てくる。


「んじゃー格闘おわり」


そう言ってバンルは背中を向けながら物凄い速さでグレーウルフの喉をザシュッとナイフで斬った。


「出し惜しみせず、1番得意のやり方で殺る……」


そう言った直後、グレーウルフの喉からドバっと血が吹き出しそのままドサッと地面に倒れ落ちた。


「いやー流石ボス。ザコ狼共とは段違いに強かったな」


腕を振りナイフについていた血がビュッと地面に飛び散る。


(何あれすっご!攻撃される前に、後ろ向きの体勢のまま恐ろしい速さで喉を斬っちゃった…格闘系かと思ってたけど、メインは暗殺系なのか)


「おーいステラ。終わったぞ〜」


「はいはーいお疲れ様」


グレーウルフとの戦いが終わったバンルは、ステラの方へ戻る


「いやぁ、流石にあの数は疲れた。肩こったぜ」


「はぁ〜疲れてる?嘘つけ」


(あんな数のグレーウルフを相手に余裕の表情。さては戦い慣れてるな。結構レベルをあげた方なんだけど、意味なかったみたいだね……)


「ふぅ…さてと、それじゃあ次が最後の試験だよ」


「ようやっとラストか…んじゃ、さっさと終わらせようぜ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ついに戦闘シーンがでてきて嬉しいです。ただがむしゃらのバトルじゃなく、考えながらのバトルが凄く良いです
[一言] 初のバンル戦闘がカッコよすぎました! 今回も楽しく読ませてもらいました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ