008 腕相撲による賭け勝負 ※挿絵あり
資格試験を終えシルバーの冒険者になったバンルは、お祝いでステラとお酒を飲みに集会所の場所まで戻ってきていた。
「着いた着いた!あそこ」
ステラが指さした酒場の場所は集会所から歩いてすぐの場所だった。
「集会所からめちゃめちゃ近いな」
「まぁね。私達冒険者にとっては仕事終わりにお酒飲みたくなるから凄く助かる」
「だろうな。んじゃ早速入ろうぜ」
カランカラン
ガラス扉を開けて酒場に入る。店の中は広く、沢山の冒険者達が客としてお酒や料理を食べていた。
「おーっす皆の衆〜」
「おー!ステラじゃん」
「今日は遅かったね」
「もう飲み会始まってんぞー」
ステラは店にいる冒険者達に挨拶をする。それに反応した冒険者達が言葉を返してきた。
「皆元気そうでなにより。私達今からお酒飲むんだけど空いてる席ある?」
「席なら丁度あそこがあいてるぜ」
「サンキュー!んじゃあバンル、あの席でじゃんじゃんお酒飲みまくろう」
「おう」
バンルとステラは席に座る。それと同時にネズミ型の獣人族の女性店員が注文を聞きに来た。
「よっすーステラ。ん?その子初めて見る顔だね」
「よっすテミー。彼は今日冒険者になったばかりのルーキーなんだ。名前はバンルっていうから宜しくしてやってね」
「そっかそっかルーキーか!よろしくねバンル君。注文何にする?」
「どーも。とりあえず俺はビール8本頼むわ」
「結構飲むね〜。私はレモンサワー3本お願い」
「おっけーちょっち待っててね。マスター!ビール8本とレモンサワー3本です!」
「……ok」
テミーという女性の店員は大声で注文内容をこの店のマスターに伝える。テミーがカウンターの方へ行った後、会話を聞いていた酔っ払った男の冒険者が近寄ってきた。
「へぇ、お前今日なったばかりのルーキーなのか。俺も冒険者だからよろしくな!ルーキーならランクはブロンズか」
「いんや、私が試験監だったんだけど、彼は裏審査にクリアしたよ」
「いぇーい(棒読み)凄いのか知らんけど」
「マジか裏審査クリアしたのかよ!名前バンルって言ったっけ?よし!俺と腕相撲で勝負しよーぜ!」
「オーケー!受けて立つ」
バンルは男の腕相撲勝負を受け、腕まくりをする。
やる気満々のようだ。2人ともテーブルに肘をつけ、腕相撲の体勢をとる。
「裏審査クリアしたからってルーキーには負けねーかんな」
「何ぃ?ナメんなよ〜」
「おい皆!ジェイクがルーキーに腕相撲勝負するってよ!」
近くにいた別の冒険者が店にいる冒険者全員に聞こえるよう大声で言う。それを聞いた冒険者達が観客としてワラワラと集まってきた。
「賭けだ賭け!俺はジェイクに2万だ!」
「ジェイク負けんなよー!4万賭けてやっから!」
「俺はルーキーに2万!」
「ジェイクに6万だな」
「5万だ!ルーキー頑張れよ!」
観客として来た冒険者達が賭け事をし始めた。
「なになに賭け勝負始まんの?!私も混ぜてよ!」
注文の品のお酒を運んで来たテミーが、客の盛り上がっている内容が賭け事だと知り、テミーも賭け事に混ざる。
「んー、どっちにしよ。ステラはどっちに賭ける?」
テミーはお酒を飲んでるステラにどちらに賭けるのか聞く。
ゴクゴク…ぷはぁ!
「私はバンルに20万」
「えぇ!?そんなに賭けるの!マジで?」
「マジマジ、大マジ」
「んじゃあ私もバンル君に賭けよっと。8万!」
ステラの賭け金の額が高く、周りにいる冒険者達がザワつき始めた。
「……ルーキーに30万」
「うおー!マスターが30だした!」
「この勝負あついぞ!」
この店のマスターも賭けに混ざり、ステラよりも高い賭け金を出してきた。周りの冒険者はより盛り上がる。
「よーし、ステラ!スタートの合図任せるわ」
ジェイクという冒険者がステラに合図を任せる。
「おっけー。んじゃ2人ともいくよ〜」
この言葉を聞き、開始直前に2人とも腕に力が入る。準備万端のようだ。
「レディー…………ゴー!!」




