若葉の坂
土曜日の午後は、
会えなくなった友達に、
会いたくなってくる。
ほっとすることがあると、
昔の話をしたくなるのは、
それが、優しいからだ。
四月半ばの、雨上がりの、
若葉の坂を、
サラサラと風が滑っていく。
思い出の日々に、
戻りたくなる季節が来た。
土曜日の午後なら尚更だ。
歌っている友達に、
会って来ようか。
創作の話が楽しいから。
彼も同じなんだから。
違うかな……違わないかな。
うん、不要不急になるんだね。
不思議、偶然というのか、
友達からメールが来た。
ラインなら部屋歌ライブ送るって。
ラインはしてない。
相変わらずの一人の日々。
サラサラと風がまた滑っている。




