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将達の真価

「よく分からんが死ねば同じだ!全軍かかれ!!」


 レクサスが普通の者には視認できない速度で移動してユウキを撹乱させようとした。


 リザードマンの部隊は再度ボブ隊と衝突し乱戦状態になった。先ほどのノーデストとユウキのやり取りを見ていたためか、若干士気が低い。


 レクサスはユウキに対して合間合間に槍による一撃を加えると、何度も突き付けてきた。


 シュ!ヒュッ!



 辺りには風切り音が幾度となく響き渡る。《点穴》により魔力の流れから攻撃位置を特定して回避していた。


 さながら武闘演舞を見ている様な光景であった。



「なっ!」


 レクサスは驚きの声を上げるがユウキは気にも留めず、ノーデストを投げつけ高速移動していたレクサスにぶつけた。



「うぐ、ノーデスト!おのれ貴様ぁぁぁぁ!!」



 レクサスは近くのリザードマンが持っていた槍をひったくると、二本の槍を構えた。


「ここまでやるのは久しぶりだ・・これでも見切れるか!?」



 レクサスは魔力を全身から迸らせ黄色の魔力を全身から放出されると威圧するように両手の槍を引いた。次の瞬間レクサスが文字通り消えた。



 《俊敏の軌跡》は彼の固有血技である。


 その能力は魔力により筋肉のバネを強靭かつ柔軟性にも富んだ物に補強する。


 普段の戦闘では視認範囲から消える程度の出力にしているが、本気を出せば風を切る音さえしなくなる程高速に動ける。



 左右の槍を器用に使い、抜け駆けに斬撃を繰り返すが、ユウキはさばきながら魔力の痕跡を辿る。


「速いな、だが!」


 ユウキは天性の俊敏さと点穴でなんとか躱しきるが、その速度が徐々に速まっていく。そしてレクサスはユウキの前で停止した。



「はあぁぁぁ!!」


 二本の槍で高速に槍を打ち出す。ユウキの力を持ってしてもこれは見切りが出来なかった。



 縦横無尽に繰り出す槍の連撃に、ユウキも魔力を使い全身の能力を向上させて応戦した。ユウキからは真紅の蒸気が放出され赤と黄色の魔力が衝突する。


 《真・ストロング》



「人族風情がぁぁ!」


「だあぁぁぁ!!」



 ユウキは槍を捌きながらレクサスに連撃を加えていかが、レクサスの動体視力も半端ではない。


(くっ、このままじゃ速度で押し切られる!)


 一合一合打ち合うたびに、ユウキの体には切り傷が刻まれていく。そんな時、ユウキは不思議な感覚に陥った。


 レクサスの斬撃スピードが落ちてきていたのだ。魔力の予測は精度が上がり5合先まで危険域を粒子で予測する。



 隙を見つけた。


 レクサスが左手を突き出して右手を引いた瞬間に懐に入り込んだ。レクサスの表情がスローに強張るのを感じ取っていた。



 そう、あたかも周りの時間が遅くなったような、そんな感覚であった。



(なんだこれ・・戦場の戦士達がゆっくりと動いている・・・)



 だがユウキは考えることを止めた。構わず両手に風を纏うとレクサスの腹に思いっきり掌底を放った。


「終いだ!烈風掌破!!」


 ドウッ!



 衝撃と風撃がレクサスの腹を突き抜けて行った。攻撃を食らったレクサスは白目をむきそうになるのを耐えていたが、槍を杖にして立つのがやっとであった。


「おのれ・・まだ終わらんよ・・・」


「流石に凄い耐久力だな。だがゴブリンに対して無意味に牙を向いた瞬間から、お前達は終わっていたんだよ。」



 そこでノーデストが声を発した。


「ハッ!勘違いするな。今度は最大出力で消し飛ばしてやる!」



 ノーデストは両腕に魔力を込めると激しく発光した。ユウキはそれを見ると止めようとしたが、リザードマンが盾になりそれを阻んだ。



「何度もいいようにはさせない!」


 数十体のリザードマンが全方位からユウキに攻撃を仕掛ける。レクサスは力を振り絞って跳躍すると死角となっている上空を潰しにかかった。



 ユウキは前方のリザードマンに向けてファストブローを叩き込むと、その場で回転して周囲をなぎ倒す。



 《旋転打衝》


 360度風圧と遠心力でカバーする技で、風を圧縮開放することで裂傷と圧殺を行う技だ。


 ユウキの半径20mに居たリザードマンが宙を舞い、味方同士が激突して吹き飛ばされていく。



 レクサスは回避するとその足でユウキに背後から一突き。


 シュッ!



 だがユウキはこれを脇で受け止められる。更にユウキは槍を掴んで地面に叩きつけて地面を隆起させた。


 《アースシザー》


 バァァンン!!



「ガハッ・・・今だ!」


 ユウキの側面から接近したノーデストが全力の一撃を放った。



 《リミテーション・フレアバースト》


 ノーデストの手がユウキに触れた瞬間、2つの炎のサークルが魔法陣と共に展開された。


 一つがユウキの胸の辺りを拘束するように締め付け、一つが両腕を拘束した。



 次第に空気が圧縮されるような現象が起きて、炎が渦を巻きながらノーデストの前に収縮されて行くのをユウキは拘束された状態で確認した。


「なんだこれ・・・魔力が上手く練れない!」


 ノーデストがニヤリと笑った次の瞬間、けたたましい爆音と共にユウキのいた位置が炸裂した。



 ズガァァァァン!!!



 ユウキは爆炎に吹き飛ばされ、200mも離れた位置に落ちた。



「ふふ、ははははは!!油断などするからそうなる!」




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